少年と自転車~ LE GAMIN AU VELO ~
 監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ   
 出演: セシル・ドゥ・フランス、トマ・ドレ、ジェレミー・レニエ、オリヴィエ・グルメ 
 公開: 2012年3月31日
2013年2月14日。DVD観賞。
ラストまでは、親に捨てられた子供と彼に愛の欠片を与えようとする里親との触れ合いに入り込んで見ていた。
 シリルは父親から育児放棄された子供だ。
 父はシリルを施設に預けて家も引っ越した。携帯も捨てた。シリルの自転車も売った。
そこまでされても、「親」を追い求め、親の愛を信じたがっている子供の姿が痛々しい。
そんな中で、シリルは自力で里親を見つける。
 なぜ美容師のサマンサがシリルを引き受けたのか、その多くは語られない。
 ただ子どもが好きなのか。
 自分の過去に何かあるのか。
説明する描写は何もない。
とにかく、無口な映画である。
 少年がいつも着ている赤いシャツと、少年の愛車である黒いMT。どんなに切ないシーンでも輝く緑の街。
 色が自然でありながら、とても鮮やか。
あまり多くを語らないので、色々と考えながら見る事が出来る。
 どんな親だって、子どもは親を愛してる。
 保護してくれる者がいなくなるという不安と恐ろしさが、シリル役のトマ・ドレくんの表情や目に映し出される。
 激しさも切なさも表現する小猿のような愛おしい子役さん。
 里親は、実の親以上の責任も見せてくれた。
 「親であること」の姿勢と責任を見せてくれる作品でもある。
 ただね…ただラストが自分的には納得できなかったのだ…。
 何で、あそこで切るの?
 「えっっ!これで終わり!?」
 と、思わず言っちゃったんですけど…。 
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
あいつの面倒は見れない。重荷なんだ。会いたくない。
完全にシリルを放棄する父親。
 なぜ里親になってくれたの?
 あなたが望んだから。
サラっというサマンサ。
親になったからには逃げない。
シリルが同じ身の上だと言われた事で親近感を持って従ってしまった犯罪に、サマンサはちゃんと責任を取る。
 バットで殴って強盗を働いてしまった相手の父親は和解に応じ、息子は和解に応じなかった。
 その事で…きちんと許してくれるまで謝り続けよう…という結末になるんだと思ってた。
 しかし、ここでこの映画は、もう一組の親子の姿を見せる。
 責任を取る事を子どもに教えない親だ。
 これは、本当に居そうな話だけど…。
 ただね…。
 あのラストで、私は心の痛みよりも精神的な余韻よりも、シリルの身体の方を心配してしまったよ。
 木から落ちて頭を打って、親子を責めずにフラフラとただ去っていくシリル。
 あの後で、容態が急変して死んでしまうとか…そんな変な想像まで働いてしまう。
 シリルとサマンサと2人で自転車で走って、2人でサンドイッチを食べて、バーベキューの計画を立てて…。
 そこで終わりで良かった気がする…。
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