『七つの会議』7つとは何なのかという話

七つの会議

映画『七つの会議』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: 福澤克雄
キャスト: 野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、藤森慎吾、朝倉あき、岡田浩暉、木下ほうか、土屋太鳳、吉田羊、小泉孝太郎、溝端淳平、春風亭昇太、立川談春、勝村政信、緋田康人、世良公則、鹿賀丈史、橋爪功、役所広司、北大路欣也

日本公開日

公開: 2019年02月01日

レビュー

☆☆☆

劇場観賞: 2019年2月6日

いつものTBSのあのチームの、いつものやつである。でも結局、いつもガッツリ見ちゃうんだよね(ちょっとウルっと来たりすらしてしまう)。

私が好きだった重厚なNHKドラマ版と全く違うアプローチ。全く違うドラマみたい。

そして、あれはあれでこれはこれで、面白かった。

あらすじ

テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名企業犯罪小説を、野村萬斎主演で映画化。中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下される…(映画.comより引用)

原作の主人公は八角ではない

「八角ではない」わけでもないのだけれど。

原作は8編に渡る短編で、主人公はそれぞれにある。

2013年のNHKドラマ版では原島が主人公になっている。(演者・東山紀之。映画版は及川光博。)

ドラマ版は突然花の一課長になった原島が「問題」に気づき、売上やら「問題」の調査やら、正義やら、社内の立場やらに直面して悩み続ける非常に重くて胃が痛い社会派物語になっております。お時間のある方はぜひソフトかオンデマンドで。

【七つの会議】NHK土曜ドラマ 第4話(最終回) 感想
詳しくは投稿をご覧ください。

TBS「半沢直樹」チーム

池井戸潤原作で福澤克雄監督といったら、TBS日曜劇場でお馴染み「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「陸王」…のチームである。全部見ている人は「あ~~……」と思う事だろう。

このチーム、キャストも毎回、主演だけ余所からお迎えしてお馴染みの福澤班で固めてみました、みたいになっている。

今回のキャストも見た顔ばかり。ある意味、安定感。ある意味「また」(笑)

香川照之(「半沢大和田常務~」「ルーズヴェルト」池井戸原作ではないけれども福澤班のドラマには「小さな巨人」など他にも出演)、及川光博(「半沢」)、片岡愛之助(「半沢」)、音尾琢真(「陸王」)、朝倉あき(「下町」)、岡田浩暉(「半沢」「下町」)、緋田康人(「半沢」)、須田邦裕(「半沢」「ルーズヴェルト」)、木下ほうか(「下町」)、土屋太鳳(「下町」)、小泉孝太郎(「下町」)、立川談春(「ルーズヴェルト」「下町」)、世良公則(「下町」)、北大路欣也(「半沢」)

こはぜ屋の「あの人」もさりげなく登場しているよ!

いつもの「赤い」バック(笑)
映画『七つの会議』感想 大和田常務じゃなくて北川

演出も「半沢」味

いつものようにナレーションが入り、ジョジョかっ!ってほどのセリフ説明、音楽で盛り上げ、顔芸がいっぱい……「またこのキャストか、またこのキャストか」と思いつつ、次第に話に引き込まれていく。
 映画『七つの会議』感想 殿さん…じゃない

福澤監督の演出はとても分りやすい。誰が悪人なのか、最終的にはどうなるのかまで何となく察せられてしまう。けれども、それがこの班制作ドラマの高視聴率のキモだと思う。

実際、いつも過疎っている行きつけの劇場にかなり人が入っていた。みんな色々と倍返ししたいんだね。

(そして、テレビドラマのあれこれよりも今作はちょっと展開に意外性がある。原作知らずの方はそこも楽しめると思うの。)

「七つ」の会議の意味は

特に「7つ」の意味は原作でも明かされない。ただ、恐らく原作は7編プラス解決篇(?)……なので、そういう意味でも「7」なのだろうなと。

・原作には「問題」に立ち向かう、あるいは巻き込まれる主要7人が存在するので、そういう点でも「7」。(その内何人かは映画版ではエラく軽い存在になっている)

・原作には主要な会議が7つある。「定例会議」「環境会議」「計数会議」「連絡会議」「営業会議」「役員会議」「御前会議」。

映画版の「七つ」については↓のネタバレ欄で。

「正しいこと」と「保身」の狭間

大きな権力に逆らっても正しい道を選択する勇気を持つこと、行動すること。

定型でも、そういう事を正しく描いてくれるドラマは気持ちいい。

顔芸が多くても「ドラマティック」の本質は外さない。見応えある1本。

 


以下ネタバレ感想

 

映画版に会議は7つもない気がするけれども、会談も含めて7つ考えてみた。

劇場版「七つの会議」の7つの会議

1.冒頭の定例会議
2.人事会議(描写は坂戸の面談だけど)
3.役員会議
4.経営会議(ドーナツ)
5.営業会議(ねじ六癒着疑惑報告)
6.屋上会議(事情を知る者の話し合い)
映画『七つの会議』感想 屋上会議

7.御前会議

(無理くり、7つ出来た!)

原作やドラマ版との違い

冒頭はナレーションとモノローグと名前紹介テロップの嵐で、どうなるかと思った……けれども、しばらく見ている内に、「八角を主人公に添えるとこうなる」という描写としてOKだと思った。
 

映画版では探偵のようにコミカルに隠蔽を嗅ぎまわっていた原島だが(一課の仕事はしなくていいの?(笑))、原作では隠蔽工作のために走り回っている。

保身や出世のためではなく、本心から「会社のために」。映画ではそこがバッサリ抜け落ちているので、「隠蔽をリークした八角やった!カッコイイ!」としか思えないし、消費者としては隠蔽が「悪」だなんて当然の事なのだから納得してサッパリしてしまうのだが。

実際は大きな会社が潰れればたくさんの人が路頭に迷うのである。何も知らない可愛い部下もその家族も。(確かに八角主人公なら可愛い部下も家族も居ないから個人的な煩悩が減るよね……)そして「ねじ六」のような小さな下請けも。(ねじ六は原作では ねじ六だけで1章使われるほど深く描かれているのに本当にバッサリ削ったよねぇ~~)

NHKドラマ版では、原島のその苦悩がガッツリと描かれていたので、見ている方も何が「悪」なのか分らなくなる苦さがあった。

 

映画版は、そういう苦悩はドライに飛ばして「悪は悪」だと主張する。まぁ、それが正しい。

旅客機や列車のシートまで手掛けているのに隠蔽しようとする殿様企業の体質は決してフィクションとは言えず。戦う人たちを描くという部分は、原作と多少違ってもきちんと反映された。

エンディングの「隠蔽は無くならない」は事実だろうな。人間が人間である限り嘘は無くならない。けれども、正しい事を目指す。

萬斎さんならではの響く語りEDだったと思う。

 

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