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『イニシェリン島の精霊』感想 対岸の戦争

イニシェリン島の精霊

原題 : ~ The Banshees of Inisherin ~

『イニシェリン島の精霊』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: マーティン・マクドナー
キャスト: コリン・ファレル,ブレンダン・グリーソン,ケリー・コンドン,バリー・コーガン

日本公開日

公開: 2023年01月27日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2023年1月28日

海と空に囲まれた美しい島のはずなのに、冒頭からバカンス感はまるでない。わけも分からず、ある日突然「お前が嫌い」と言われるのは、何という悲しみと憎しみ。

何かのメタファーだとか考察だとか、考えずに見ても十分に恐い。

このレビューは短感です。後ほど追記します。

あらすじ

本作の舞台は本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さな島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言を…

https://filmarks.com/movies/99722/reviews/148107994 より引用

理由のわからない戦い

アイルランドの孤島・イニシェリン島の人々は常に対岸の「訳の分からない内戦」を見ている。原因のハッキリしない内戦。人の争いは対岸から見た時、こんなものなのかも知れない。

島民のパドリックとコルムは、対岸の内戦よりももっと分からない戦いに入っていた…。

始めはコメディのようなものなのかも知れないと思いながらボーっと見ていた。が、その内2人の争いは頑固で異様な姿になっていく。

原因もよく分からないまま、面白がったり予言したりする傍観者たち。そうして、やがて思いもよらない無害のものが巻き込まれていく。

対岸のアイルランド内戦

1923年。対岸で起きているのは「アイルランド内戦」

イギリスの自治国としてのアイルランドから、アイルランド自由国として建国するための戦い……であったはずなのだが、自由国に含まれなかった北アイルランド6県の反発、条約賛成派と反対派の争い、など事態は複雑化されていった。

劇中でも語られる。「昔は簡単だった。敵はイギリス。単純だった。今は何と戦っているのかわからない。」

結局、この内戦はイギリスからの独立戦争の時よりも遥かに犠牲者を出すことになる。

まさにこの対岸の内戦が物語の中にある。ケンカの原因は「そんなこと?」「狂ってない?」なのに当人は大真面目。そして多くの無関係な犠牲が……。

老人の自分探し

メタファー的な見方をせず、目に映る部分だけ見れば、老いて「自分探し」を始めた男にみんなが巻き込まれていく騒動。

死と隣合わせの渦中では、自分の寿命や、やり残したことについて誰もが考える。

だからと言って「無駄なお喋り」を切り捨てるのはどうかと思うけれど。

それだって豊かな時間の一部のはずである。

人を傷つけて良いことなどあるはずがない。

恐いわ、指……


以下ネタバレ感想

自分の指を切って、気に食わない男の家のドアに叩きつけるとは、どういう精神なのだろう。

どんなにか痛いだろうと思うのだが、これは痛み分けということなのかしら。

痛いのはお前だけではない、お前が近づけば俺も痛いのだ。

ならば、ただただ平和に生きればいいだけではないか。

誰も痛くないように。

指を食って、のどに詰まらせて死んでしまった可哀そうなロバ。

『イニシェリン島の精霊』感想

彼は何も悪いことをしていなかった。

自分が自由に自分の思想を貫きたくても、そこまでして得た自由に何の幸福があるのだろう。

この物語が何のメタファでもないただの老人の頑固物語だとしたら。

狂っている。

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