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『ボヘミアン・ラプソディ』善き思い、善き言葉、善き行い

ボヘミアン・ラプソディ

原題 : ~ Bohemian Rhapsody ~

『ボヘミアン・ラプソディ』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: ブライアン・シンガー、デクスター・フレッチャー
キャスト: ラミ・マレック、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、ベン・ハーディ、ルーシー・ボーイントン、トム・ホランダー、アレン・リーチグ、ウィリム・リー、アーロン・マカスカー、ミッチェル・ダンカン、エース・バッティ、マックス・ベネット

日本公開日

公開: 2018年11月9日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2018年11月12日

1980年代、バリバリに洋楽を聞きまくって生きていたのに、クイーンのことは、ちょっと遠巻きに見ていた。曲はもちろん聞いていた。黙っていても耳に入って来るほど溢れていたのだから。

この映画も行くか行かないか迷った。フレディー・マーキュリーへの興味はそれほど無かったから。

結果、2018年度一番かもしれないほどの感動を得た。フレディー・マーキュリーへの興味がなくても、クイーンなんて知らなかったとしても、そんなことは関係なかった。

これは愛と家族と音楽の物語。

 

◆あらすじ(解説)
1970年、ロンドンで生活する青年フレディー・マーキュリーは、昼間は空港で働き、夜はライブハウスに入り浸る生活を送っていた。そんなある日、ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンドのボーカルが脱退。そこで彼は、自らを売り込みに行くことに。(ぴあ映画生活より引用)

世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、劇中の楽曲には主にフレディ自身の歌声を使用。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲誕生の瞬間や…(映画.comより引用)

 

フレディー・マーキュリーの伝記的物語

大意では、この作品はフレディー・マーキュリーの伝記となる。

物語が史実とあちこち違っていようが、

主人公がフレディー・マーキュリーで、「Queen」を結成し、世界へ誇るイギリスのロックバンドに成長し、エイズに罹り、1991年11月24日に、45歳の若さで亡くなった。

という事実はもはやネタバレとも言えないので……そこを前提とした感想のみで。

感動しかないラスト21分間

クイーンの結成やサクセスストーリーは意外なほどアッサリ目。

あまり苦労の様子なく彼はブライアン・メイとロジャー・テイラーに出会い、ボーカルとして仲間になり、あまり苦労の様子なく売れていき、あまり苦労の様子なくテッペンへ駆け昇る。

そこへ乗って来る楽曲と楽曲作りの様子にワクワクする前半。

華やかな世界の中で思い通りに生きられないジレンマと孤独に苦しむ後半。
 
……と、音楽グループ物語として切なく思い出すのは『ジャージー・ボーイズ』

どうして人間はこうも欲づくめなのだろう……。

 
そういう物語の先に「LIVE AID」の21分間がある。

音楽と人間関係の集大成。

楽曲はおそらく誰もがどこかで聞いたことがある曲ばかりで。音楽の盛り上がりと、物語の盛り上がりでグチャグチャになって泣きながら聞き入る。

「家族」と「愛」の物語

「でもクイーン、あまり好きじゃないし」という方もおられるかも知れませんが、音楽ありきの物語では決して無く、人間物語として泣かされる。

どんな位置まで上り詰めても得られ切れない幸福感。

特に才能も持たず天上に上がれない私達でも、学校で、職場で、家で……それぞれに感じる孤独感を、世界のテッペンにいた人でもこんなに味わっている。

生まれ、反抗心、才能、性……その闇の深さに、ワガママな孤独っぷりに、涙する。

吹き替えなのに歌っているようなキャストの凄み

フレディー・マーキュリーは当初、サシャ・バロン・コーエンに決まっていたという。(『アリス・イン・ワンダーランド』のタイムさんね)

風貌だけ見たら、そちらの方がフレディー・マーキュリーに似ていたかも知れない。

しかし、ラミ・マレックは憑りつかれたかのごとく凄かった。
 
楽器を弾いているかのように演じる、という演技も大変なものだとよく思うけれども、「歌う」演技ってものすごく大変だと思うのですよ。大抵は「歌ってない」「その口から歌声が出てない」感が見えてしまう。

でも、この歌声が本人のものではなく充てているもの……とは全く思えなかった。

フレディー・マーキュリーの歌声はラミ・マレックの口から確かに出ていた。

「LIVE AID」のシーンは丸々再現

帰宅してからQueenの「LIVE AID」の映像を某所で見て、あのシーンが丸々本物の再現だったのだと初めて知った。

『ボヘミアン・ラプソディ』LIVE AID

ちょっと鳥肌立った。

これを踏まえて(笑)もう一度観に行こうと思っています。

楽曲

上にも書いたけれども、1980年代はバリバリ洋楽ばかり聞いていた時期で、テレビ神奈川で真夜中に放送していたMTVをビデオに録って集めたりしていた。(懐かしすぎる……)

けれども、私の興味はクイーンには無く、カルチャー・クラブやホール&オーツやトンプソン・ツインズ(どハマり)が神だった。

この映画を観て、もっとQueenに触れておけばよかったと今さら後悔した。

 
作品中に使われた楽曲は、

「somebody To Love」
「Bohemian Rhapsody」
「Love Of My Life」
「We Will Rock You」
「Radio Ga Ga」
「We Are The Champions」
「Don’t Stop Me Now」

など、クイーンを知らない人でも「ああ」と思う曲ばかり。
 
聞けば、あの 

ドンドン パン!
ドンドン パン!

をやりたくなること請け合い……。

 
なので、私はもう一度必ず観に行きます。

 

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以下ネタバレ感想

フレディー・マーキュリーがインド系の人で、そういうコンプレックスを抱えていたとは初めて知った。
 
民族に関する孤独。抜け出したい欲望。血筋の嫌悪。差別から脱却したい気持ちは名声へと向かう……。
 
メアリーには心から同情した。

最初にメイクしてあげたあの時、目覚めたのではないかという気がして……『リリーのすべて』のタイツと重なった。
 
窓際に置かれたランプの合図。女として愛されないのに妻として束縛は続く。甘えている……けれども、甘やかせてあげてほしい。
 
孤独の深さに涙した。
 
最終的には「家族」は、みんなフレディーを許して愛してくれた。

確執のあった父が望む「善き思い、善き言葉、善き行い」。そこも認められたラスト。

 
人間としても音楽家としても幸せな最期だったのだろうと。

そう思うと、短い命も救われる。

 

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comment

  1. スギヤマさん

    >Queenバージョンの20世紀フォックスのファンファーレで鳥肌が立ち

    あれは珍しい企画でしたね!おっ……おおーー!と思いました。のっけから感動しますよね。

    >ファンとしては、存命中にはエキセントリックな風貌を含む言動にハラハラもさせられたけど、
    彼はとてもキュートな天才でした。

    曲は数々聞いていて好きだったけれどもフレディ自身にはさして興味なかった私ですら、興味持たなかったことを後悔したんですもの。ずっとファンだった方にとっては、どんなにか……と思います。お察しします。

    劇場で観られるうちに、何度でも行きたいですね。

  2. スギヤマ より:

    40年来の生粋のファンです。

    Queenバージョンの20世紀フォックスのファンファーレで鳥肌が立ち、
    冒頭のラミ・フレディの背中を見て、号泣してしまった私が映画について冷静な判断も感想も述べることができるはずもないのですが、、、

    懐かしいフレディの声を聞いて、一緒に観ていた(遺伝子レベルで聞かされていた)息子も又感動して泣いていました。
    Queenにさして興味もなかった旧友から、とても良かったとメールが来ました。

    ファンとしては、存命中にはエキセントリックな風貌を含む言動にハラハラもさせられたけど、
    彼はとてもキュートな天才でした。亡くなったときは本当に悲しかった。
    そのフレディに又逢えた気がしました。

    感無量です。