『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』正義は胸に秘めておくくらいがちょうどいい

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

監督: 本広克行  

出演: 織田裕二、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、柳葉敏郎、伊藤淳史、内田有紀、小泉孝太郎、小林すすむ、北村総一朗、小野武彦、斉藤暁、佐戸井けん太、滝藤賢一、川野直輝、真矢みき、筧利夫、小栗旬、香取慎吾、大杉漣、水野美紀
公開: 2012年9月7日

   

1997年、ドラマから始まったこのシリーズもついにラストである。

1997年といったら15年前だ。ウチが楽天でブログという物を始めたのが2005年。ドラマや映画の簡易感想も日記のように書いていたHPを始めたのでさえ2000年。それよりも前から始まった作品だという事だよね。当然、連ドラのレビューは1本もない。

でも、その15年の間に映画も見たし新作スペシャルも見たし連ドラの再放送も見てきた。

それまでヒーローもののようだった刑事ドラマをサラリーマンドラマに変えた「踊る」。事件を解くことよりも警察署という組織の人間関係を時に面白く時に恐ろしく描いてきた「踊る」。

当時はまだ数少なかったネットを使った犯行や解決などをエピソードに盛り込んだ「踊る」。

スタイリッシュな音楽と映像と共に猟奇的な映像も時には映し出し、犯罪者の心の闇に焦点を合わせてきた「踊る」……

別にヒーローでもなく、特にカッコ良くもない、人の良い、しかし正義感には溢れすぎた青島くん。この青臭さと子どものような笑顔が今も変わらない、そういう安心感でいっぱいになった「FINAL」だった。

また色々と批評されるんだろうなぁと思うけれども、私はすごく楽しかったよ。15年分の思い出と楽しさがあった。
この音楽が劇場で響くのもこれが最後かと思うとOPから涙が出た。感傷的になりすぎ。

でも、スタッフも…本広監督も充分にこの作品への15年分の愛を意識して作っていたと思うの。
たぶん、シリーズ中一番カッコ良いOP映像にも連ドラからの記録が溢れている。
   

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そして、今回のストーリーは、「俺は現場で、あなたは上で頑張り続ける」約束をした青島と室井の集大成でもあり、この2人どうなるんだろ?とファンに思わせつづけたツンデレなすみれさんと青島の集大成でもあり……。

色々な意味で、もう感無量~な「FINAL」だった。
  

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ワクさんも、ちゃんと出ているしね。「THE MOVIE3」では、ワクさんの甥なんていらねーー、と、ちょっと思っていた伸次郎@伊藤淳史だけど、今回は、良い女房役になりそうだな(もう後はないけど)と思った。
「3」ではわざとらしいほど出てきた「和久ノート」の出番が少なめになって、かえってその方がワクさん自身を思い出せたりもしたし…。

「3」で、うーん…と思っていた新キャラの面々も、何だかスッカリ馴染んでしまって愛しいキャラに変わってる。王さんなんて、もう絶対に必要な人だし、栗山も変わった新人なりに頑張ってるよね。今回はカワイイ。
   

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ユースケの湾岸署署長は今だに慣れないけど、今回は雪乃さんもちょこっと出ているし、昔の一面も見る事が出来たから…まぁいいか。

今、関東では連ドラ版の再放送をやっているんだけど、テーマはこの頃から変わっていないんだな、としみじみ思った。

「事件に小さいも大きいもない」…つまり、目の前にある事に全力で立ち向かう事。組織や他人の言葉に流されずに正義を貫く事。

そういう湾岸署のメンバーをシッカリと目と心に刻み込むための「FINAL」。

このシリーズをずっと応援してきた方は、ぜひ劇場で観てください。

エンドロールで流れる「小林すすむさんの思い出とともに」……小林すすむさんの遺作にもなった今作。小者だけれども優しくて、すみれさんに思いやり深かった中西係長。お疲れ様でした。
   

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ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


いつも訓練やイベントのシーンから軽く始まるお約束の冒頭シーン……今回は寅さんみたいに夢オチなのかと思っちゃったよ。そーですか…潜入捜査で夫婦ですか。

「踊る大捜査線」といえば、青島と室井という2人の男の役職やしがらみを乗り越えた友情物語。お互いがお互いの場所で正義を貫こうという誓いが、捻じ曲がった正義のせいで排除されそうになる今回…。
   

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このドラマでとことん描かれてきた「正義」の行方も一応の完結を迎える。
これは不祥事じゃない。悲劇だ。

想いきり黒幕顔しつつも、膿を排除しようという本質的なところに間違いはない横山邦一・情報技術執行官大杉漣さん、カッコ良かったな。

まぁ、腐った権力というのは取り去っても取り去ってもウジのように湧いてくるもので、今後あの世界の警察がどうなっていくのかは解らないけれども、きっと良い方向に進むのだろうと思わせてくれた会見シーン。 最終回らしい決着のつけ方だったと思う。

全ては6年前の事件の後始末…

正義なんか全くない人たちもいれば、正義感が変な方向に向きすぎて自分たちが何をやっているのか気付かなくなっている人たちもいる。

「3」のレビューで、小栗旬なんて今さら要らない的な事を書いちゃいましたが、こんな役割を担っていたとは…。だから続く物は続けてちゃんと見ないと、どうなるか解らないって話ですね。

ただね~…自分的には「FINAL」の大きな不満点を挙げるなら、それは小池@小泉孝太郎が犯人一味にされた事!!

どうして小池じゃなきゃならなかったんだろ…

だって「2」から、ずっとずっと一緒にやってきたメンバーじゃないか。
「交渉人 真下正義」の時なんか地味なスクリーンの中の唯一のイケメンだったじゃないか。

そんな小池が今さら犯人だなんて切なすぎるよ…これは、トラウマ級のショックだった。

どの倉庫に真下の子どもがいるのか…の推理は、ちょっと青島くんの超能力頼りみたいになっちゃって、賛否分れるだろうな、と思いながら見てた。

あと、予告の青島くんがパッタリ倒れて「さようなら」のシーン…あれは釣りすぎだと思うぞ。ああいう釣り方はいかん。「臨場」に続いてこれもか!?と一瞬思っちゃっただろ…。

そこ以外は…もう最後まで、前半楽しく、後半ハラハラとドキドキと感動と…で包まれた本広監督らしい映画だと思った。

今は、もうただ懐かしくて…もう一度見たい、いや、何度でも見たい。

青島くん、15年間お疲れ様!!
みんな、みんな、お疲れ様でした!!

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・交渉人 真下正義

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