映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『クライマーズ・ハイ』地獄は現場にあるのか職場にあるのか

クライマーズ・ハイ

  

 

公開: 2008年7月
監督: 原田眞人
原作: 横山秀夫
出演: 堤真一、堺雅人、山崎努、尾野真千子、遠藤憲一、田口トモロヲ、小澤征悦、高島政宏、マギー、皆川猿時、西田尚美、矢柴俊博、でんでん、野波麻帆 、堀部圭亮、滝藤賢一、矢島健一、樋渡真司、山田明郷、大鷹明良、中村育二、螢雪次朗



クライマーズ・ハイとは、

登山時に興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺する状態

を言うらしい。


1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落。
死者520人の大惨事。


この映画は、その事故を追う映画ではなく、当時その事故を追った記者達を描く映画である。


同じく原田眞人監督が撮った「突入せよ! あさま山荘事件」を思い出す。あの映画も、事件を追った映画ではなく、当時事件に関わっていた警察内部の様子を描いた物だった。


テンポは「あさま山荘」の方が良くて、見やすかった気がする。

こっちは、登場人物と、2つの時代を行き来する背景と、新聞社内の人間模様と、主人公・悠木に関わる人間模様と。。。

とってもエピソードがいっぱいで、ちょっと気を反らせたりすると着いていけない部分も多い。


事故自体に関する描写は、わずかである。

だから、その部分に興味を持って行った人は、肩すかしを食らうかも知れない。


新聞社内の男達の権力争いとか、過去の栄光への拘りとか、嫉妬とか。。。ああ、男の世界もドロドロしてるんだね~。。。


しかし、良い記事を書く事に取り憑かれ、少しでも良い記事を載せたいと邁進し、チェック、Wチェック、に従って裏を取るために真実を握る物にかじりつき。。。

そんな熱い世界を見ることが出来た。

俳優陣の競演も素晴らしい。
仕事に真っ直ぐのめり込む堤真一の姿はまるで演技ではなく、ドキュメントを見ているようだった。

堺雅人の好演も言うまでもなく。。。
  

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妖怪のような、セクハラじじいの山崎努は、もはや怪演の域。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


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もう、あの事故から20年も経つのか。。。
忘れられない凄惨な事故だった。

当時の新聞は、あの事故の記事で埋め尽くされた。

新聞はテレビ欄しか読まないバカ学生だった私も当時は毎日、新聞にかじりついた。


事故に遭われた方が最後にジャンボの中で走り書きした遺書は、断片的だが未だに頭に残っている。


パパは本当に残念だ
きっと助かるまい
原因はわからない
今5分たった
もう飛行機には乗りたくない

どうか神様たすけて下さい



最後に、この遺書を悠木の前で読み上げた佐山。

「明日の一面に載せましょう」

あれから悠木は、結局、辞表を撤回したのか。。。
それは、謎のままだが。。。

私は戻ったと思っている。


親友・安西の息子と谷川岳、一の倉沢を登り、足を滑らせて、一度は自分は負けた。この壁は越えられない。と、あきらめた悠木に

もう一度、足を掛けてやろう

と思わせたのは、下見登山で父のために息子が打っておいてくれたハーケン。



あの時、佐山が持ってきた、この一枚の遺書は悠木が再び壁を越えるためのハーケンにはならなかったか。。。


ネタを見れば、良い新聞を作りたいと思ってしまうだろう。踏み倒されても、踏み倒されても、書くことがある限り彼らは書き続けるだろうし、載せることがある限り載せ続けるだろう。


過去の1週間とリンクして、描かれた谷川岳のガンとしてそびえ立つ山壁はゾクッとするほど臨場感があった。

越えなくてはならない山。

人生に、それは何度訪れることだろう。

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