モンスターズクラブ
 監督: 豊田利晃   
 出演: 瑛太、窪塚洋介、KenKen、草刈麻有、ピュ~ぴる、松田美由紀、國村隼 
 公開: 2012年4月21日
2013年4月15日。DVD観賞。
見た記録程度の簡単感想で。(注:あんまりいいこと書いてませんっ )
 監督がアメリカの爆弾魔・数学者のユナボマー(セオドア・ジョン・カジンスキー)の犯行声明文にインスパイアされて作ったという本作。
 (ユナボマーについては説明面倒なのでこちらへ→ 「セオドア・カジンスキー」by Wikipedia)
 このセオドア・カジンスキーの「ユナボマー・マニフェスト」のような犯行声明文が作中にも出てくる。
 出てくる…というか、この作品のほとんどが彼が頭の中で作っている犯行声明文で出来ていると言っても過言ではないかも。
 雪に閉ざされた山小屋で1人暮らす主人公の淡々とした自給自足の生活。
 …と、淡々とした彼の心の中の声。
 ……と、たまに出てくる妄想…かモンスター。
 それだけで出来ている映画。
 72分の短い作品。
 …だけど、ウトウトした… 
この映画にすごく感銘受けたとかいう方はすいません。
決して全く理解できないわけではなく、主人公の理想が解らないわけでもない。
 しかし、美しい悪夢のようなモンスターや幽霊、静かな雪景色、綺麗な瑛太…は見ながら気持ちよく寝るのにちょうど良かった。
 いや、瑛太が見たくて借りてきたんだけど。
 ただ、瑛太のお父様はこの作品を作っている時に亡くなられたそうなので…。
 映画の内容と併せて考えると何ともやり切れない気持ちになる。
 真実の自由を求めて管理社会を破戒する…。
 縛られた生活には確かに自由はない。
 でも、縛られる事で社会人はある程度の安心や安定を持って生きている。
完全な自由と引き換えに得る物は孤独。かも知れない。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
ネタバレと言っても…上に書いたことがほとんど全ての映画なので。
垣内良一は世間から隔離された山奥の小屋で1人で生活している。
 両親は亡くなり、兄は自殺し、弟はバイク事故で死んだ。
 肉親は都会で暮らす妹1人。
雪に閉ざされた山の中で彼が何をしているのかというと、自給自足の生活をしながら爆弾を作って要人に送りつけていた。
現代社会に生きる人間は、規則や既定の紐で縛られており、自分とは全く関係のない人物によって運命を左右されてしまう。これは偶然ではない。
産業テクノロジーシステムが機能するためには大きな組織によって我々の生活が縛られるのは必須条件なのだ。
社会による管理はいつの間にかわれわれの思考回路にまで入り込み社会が望むような行動をとりたいと我々があたかも自発的であるかのように感じられるようになる。
 自由とは力だ。
 もし誰かが自分をコントロールしているとしたら、それは自由ではないのである。
悪臭にまみれた社会生活を放棄するのが最良の道である。
だから爆破してしまおうというのは大変乱暴な考えだ。
しかし、彼がそんな思考に陥るのには家族が壊れた事が関係あるのだろう。
 家族が失くなった事で、彼は自由になった。
 恐らくそれは大変な孤独だったのだろうけど…たぶん、彼はそうは思いたくないのだ。
この人のやっている事を見ながら、自分と同じような孤独をみんなに味あわせたいという叫びが聞こえるような気がしたよ。
それは、瑛太が演じているからなのかも知れない。
拒否しているような顔をしながら、拒否しているように見せながら、本当は繋がりを求めている。孤独だから、死を求める。だから、兄や弟の幽霊や死神を見る。
妹には一緒に死ねとは言わない。
彼女は彼女で「そこ」で生きていくことを認めている。
 縛られる事を拒否するのは縛られたかったから。
 爆破したいと思うのは、本当は壊れたくなかったから。
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