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『グリーンブック』ブラック手帳の意味を知る

グリーンブック

原題 : ~ Green Book ~

『グリーンブック』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: ピーター・ファレリー
キャスト: ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ、ドン・スターク、セバスティアン・マニスカルコ、P・J・バーン、ブライアン・ステパネック、ニック・ヴァレロンガ、イクバル・テバ、Ninja N. Devoe、トム・ヴァーチュー

受賞

第91回アカデミー賞 作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞受賞。

日本公開日

公開: 2019年03月01日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2019年1月23日(試写会)

 

「グリーンブック」とは何の事なのか知らずに見た。1962年。人種差別は全く大昔の話ではない。

 
それにしても、ヴィゴ。ずいぶんな身体を作ったもんだなぁ……。あんな風にピザ食べる人、初めて見た

あらすじ

時は1962年。ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は腕っぷしはもちろんハッタリも得意で、ガサツで無学だが、家族や周囲から愛されていた。

ある日、トニーは「神の域の技巧」を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のコンサートツアーの運転手として雇われる…(Filmarksより引用)

 
黒人差別の描写に憤ることしきり……。

黒人用旅行ガイド=グリーンブック

「Green Book」とは何ぞやという話だけれども、何も知らずに見た自分の場合は知らなくて正解だったかも知れない。なんせ主人公もよく知らずに旅をし始め、徐々にその黒さに辟易としていくのだから。

けれども、ネタバレというほどの話ではないので(そもそもそこから入らないと感想書くのも難しいし)一応書いてみた。

 
「グリーン」というから、何も知らずに爽やかな風景を想像していた。とんでもない。Black Bookじゃないか。

「Green Book」とは黒人用旅行ガイドブックのことで、その内容はもちろん黒人に素敵な宿を紹介する物ではなく、「その地域で黒人が使う事を許される宿」や「使う事を許されるレストラン」「トイレ」などをガイドしたもの。言い換えれば、「ガイドに記された場所以外は使用してはいけない」ということである。

「黒人専用トイレ」がある背景は『ヘルプ 心がつなぐストーリー』『ドリーム』と同じ。

ホワイトハウスで演奏した実在する有名音楽家

しかし、ドクター・シャーリーは大統領に招かれたことがある有名音楽家である。

『ヘルプ』『ドリーム』では登場する黒人女性は市井の人だった。けれども、今回は有名音楽家なのだ。

それでも、白い上流社会の人々は穏やかで上品な笑顔で人種差別をなさる。

 
その表裏の様相が見どころ。

黒人差別の激しい南部へ

奴隷解放運動が高じて南北戦争が起きたくらいなのだから、奴隷制度を推進してた南部での黒人差別は凄い。
 

ナイトクラブで用心棒のような仕事をしていたトニーが運転手として採用されたのは必然である。

ドクター・シャーリーは、なぜわざわざ南部へ演奏に行ったのか。

彼の真意を知るシーン。切ない思いに涙した。

コメディセンス溢れる演出

しかしストーリーは決して堅苦しくもお涙でもなく、人の本質の温かさを描く。笑えてホロッとの優しさがあった。

運転手として採用されたトニーは、イタリア系アメリカ人。トニー自身にも黒人に対する差別意識はあった。

有名音楽家であるがゆえにエリート意識の高い真面目黒人ドクター・シャーリー。野蛮で学が無くお行儀悪いトニー。
 
 『グリーンブック』感想

 

「感動して泣こう」と意気込むよりも、品の良いドクターと、ガラは悪いが人の良いトニーのデコボコロードムービーを楽しむつもりで観て正解。
 

優しさに心洗われる秀作。

 


 

以下ネタバレ感想

 

最近、いい映画はたくさん見ているけれども、グッと来ることは少なくて。涙腺枯れたのかなと思っていたけれど、久々にウワーーっとなった。孤高の人の氷が溶けていく感じには幸せ貰える

 
上品に拍手をし、自分のサロンにドクターを招く人々が裏では「黒人用のトイレ」「黒人用のレストラン」をにこやかに強要する。

ドクターは、だからこそ南部へ行きたかったんだね。
 

黒人が白人に認められ、差別なく受け入れられる社会を作りたい。自分の音楽で国を変えたい。

けれども、回っても回っても「黒人」である自分を見る眼は変わらず。

白人には「黒人」としてしか見てもらえず、黒人には「上流に居る輩」として奇異の目で見られる。

どっちにも居られない切なさ。

けれども、頑張っても報われない気持ちを、運転席に座る野蛮な白人は受け止めてくれた。

手紙の書き方を教わって素直に喜び、自分の音楽を心から誉め、自分のために怒ってくれる。

玉座も地位も要らなかった。

自分の部屋に戻って、たった1人の白人の「友」を得た喜びと、別れた寂しさを噛みしめるドクター。

 
ああ、ここにトニーが訪ねて来てくれないかなぁ……と祈るように待ったラスト。

ドクターが自分からトニーを訪ねて行った所で涙腺崩壊するさ。

 
こんなに気持ちの良い映画は久しぶりに観たと思った。

季節外れの素敵なクリスマスに感謝。

 

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★前田有一の超映画批評★
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comment

  1. BROOKさん
    >ドロレスのラストの言葉…
    「手紙をありがとう」で、締めたのも非常に良かったと思います

    そうーー、余分な所がないんですよね。
    ハラハラさせたり悔しがらせたりクスッとさせて……温かい涙で〆る。いい脚本でした。素敵な映画でした^^

  2. BROOK より:

    コメディ畑出身のファレリー監督が撮影した作品とは思えないような感じでしたね♪
    アカデミー作品賞を獲得したのも納得。

    ドロレスのラストの言葉…
    「手紙をありがとう」で、締めたのも非常に良かったと思います。

    とても心地良い余韻の残る作品でした。