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『ファースト・マン』止まないラ・ラ・ランド

ファースト・マン

原題 : ~ First Man ~

『ファースト・マン』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: デイミアン・チャゼル
キャスト: ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、パトリック・フュジット、クリストファー・アボット、キーラン・ハインズ、オリヴィア・ハミルトン、ルーカス・ハース、イーサン・エンブリー、シェー・ウィガム、コーリー・マイケル・スミス、クリス・スワンバーグ、ルーク・ウィンターズ、コナー・コルトン・ブロジェット、ルーシー・ブロック・スタッフォード

日本公開日

公開: 2019年02月8日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2019年2月13日

 

先週、金曜ロードショーで久々に「ラ・ラ・ランド」を見て、ちょうど頭の中で「Someone In The Crowd」がグルグルしている状態でこの映画を観たら、もうそういう気持ちにしかなれないのだった。

とにかく物すごく物すごく好きだとしか言えない、今

 
「セッション」のように厳しくて、「ラ・ラ・ランド」のように切なロマンス。

あらすじ

人類の夢であり、未来を切り開いた月面着陸計画。史上最も危険なミッションを成功に導いたアポロ11号船長アームストロングの視点で壮大なスケールで描くー……(Filmarksより引用)

史実の月面着率「アポロ11号」物語

「アポロ11号」とは、世界史上初、人類を月面着陸させる事に成功した宇宙船のことで、この映画の主役・ニール・アームストロングはその船長である……などという話は特に書かなくてもほぼ伝わっている事で。

だから、この映画の結末(いや、ネタバレになるのでここには書きませんが、決してそれは結末ではない)は、ほぼ分って見ているわけだけれども、これ、

やったーー着陸だーー上がるぜーーUSA!!USA!!

とかいうノリのものとは全く違う。

 
上げ上げよりも、全体に漂う切なさ。

成功お仕事物語よりも、積み重なる困難に泣きたい……。

「セッション」宇宙編

困難なことがたくさんあった。
人類で初めて月面に降り立つ栄光。
その栄誉を与えられることが、まるで死刑宣告のようで。

だって、「どの段階ではどんな事が起こる可能性があるか」それをジックリと……本当にジックリと見せられていくから。

「困難」の描き方は、それこそ「セッション」のようにヒリヒリする。

ソ連との攻防、当時の世評、アメリカの経済状況など、あまり描かれて来なかった事も描かれている。

予告で評価すると間違える

確かに「お仕事物語」であり、偉業を成し遂げた男の物語である。

確かにこの映画の予告は、そんなふうにバリバリの使命感で溢れている。

けれども、そこじゃないの。

この映画の予告から「それ」が綺麗に取り除かれていることに驚く。

ニールはこの物語開始時点から充分に鬱々としているし、「それに憑りつかれ続ける物語」なのに。

ある意味、恋愛映画

音楽は「ラ・ラ・ランド」に引き続き、ジャスティン・ハーウィッツ。

「Someone In The Crowd」の主旋律が頭の中をグルグルしている状態で観たら、もう続きのようにしか見えない。

劇伴からは全く壮大な宇宙の神秘も男の汗臭い戦いも感じられない。

そこにあるのは、ただただ「愛」である。

戻れない時を取り戻したい切なさ。

もう二度と会えないものへの執着と愛。

 
「ファースト・マン」は間違いなく「ラ・ラ・ランド」の異空間。

甘く、切なく、やるせなく……宇宙に置いてきたモノを思い続ける。

 
凄いわ。デイミアン・チャゼル。

人類の歴史に名を遺す偉業を、それを成し遂げた男の愛の昇華として描く。

その儚さに泣いた。

 


以下ネタバレ感想

 

本当に……冒頭から月面着陸シーンまで、流れるように語られ続けているのに、予告はよく一番大切なカレンを削り続けたね。ネタバレ防止だとしたら取り捨てが上手すぎる。

 

『ファースト・マン』感想 カレン

 

ニールはカレンを失った事実を受け止められずに仕事を続けてきた。

がむしゃらに月へ向かって突っ走り続け、仲間の死を見送り、危険だと知っても怯まず進む。

妻にも子どもたちにも語らない「死」。

ニールにとっては、恐らく、帰る事が出来なくてもかまわなかった。

そこには、カレンが居るから。

ジャネットは分っている。なぜ夫が亡くなった娘の話をしないのか。

「死」と隣り合わせに居る現実を息子たちに語らないのか。

だから、爆発する。

別れの言葉を生きている者に語らずに旅立つのは不誠実だと。

 
初めて月へ降り立つ。

そこにはカレンは居なかった。

ニールは生きていた。
生きている。

だから。

そこにカレンへの思いを置いてくる。

 

何というロマンス。
何という切なさ。

月に初めて降り立った男の、極めて私的な死へのロマンス。

ここで断ち切って、やっとニールは生きている妻子の元へ戻るの。

 

だから。
この映画で一番重要なのはラストシーンなのだと。

そう思うのだった。

 

これは、まがうことなき、最高の恋愛映画だ。

 

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comment

  1. BROOKさん
    >アメリカ万歳的な作品ではなく、あくまでニール視点で描かれていたストーリー

    でしたね~!
    予告では、そこの所は分らず、月面着陸成功物語を期待した方々の評価が厳しいだろうなという気がします。

    月面での回想シーンと、あのシーンは切なかったです。ああ、やっと吹っ切れたなぁと……(泣)

  2. BROOK より:

    アメリカ万歳的な作品ではなく、あくまでニール視点で描かれていたストーリーで、そこに人間ドラマを上手く織り混ぜていたように思います。
    たしかにカレンのことは予告編では一切語られていませんでしたよねぇ…
    そのことを全く知らないでの鑑賞で、さらには月面での“あのシーン”…もう素晴らし過ぎました!