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『ちいさな独裁者』丈が足らない

ちいさな独裁者

原題 : ~ Der Hauptmann / The captain ~
映画『ちいさな独裁者』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: ロベルト・シュヴェンケ
キャスト: マックス・フーバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ、ベルント・ホルシャー、ワルデマー・コブス、アレクサンダー・フェーリング、ザムエル・フィンツィ、ウォルフラム・コック

日本公開日

公開: 2019年02月08日

レビュー

☆☆☆☆

観賞: 2019年11月04日(DVD)

 
タガが外れた人間の想定以上のエゲつなさ。でも、あまりの無法っぷりに現実味なさすぎ…と思っていたのに、えっ実話!?

このレビューは短感です。後ほど追記する可能性はあります。

あらすじ

丈の長い軍服 借り物の権力第二次世界大戦末期の1945年4月命からがら部隊を脱走したドイツ軍兵士ヴィリー・ヘロルトは、拾ったナチス将校の軍服を纏った事で、威光までも手に入れるそして、彼は狂気じみた独裁者と化していくのだが………(Amazonプライムより引用)

えっ、実話?

原題は「Der Hauptmann」=大尉 である。(“Der”はドイツ語では”a”や”The”のような冠詞であり、特に意味はない)

邦題に「小さな」と付いていたので子どもの話なのかと想像していた。けれども、そういう「小ささ」ではなかったのね。とても小さい範囲で独裁国を作った凡人の話である。凡人……のはずだったのにね。

あまりにスイスイ事が運ぶので丸っと創作だと思いながら見ていた。実際の主人公のその後が語られるラストのテロップに「えっ!?」と言ってしまったよ……。そして思わずWikiる。

ヴィリー・ヘロルト(ドイツ語: Willi Herold, 1925年9月11日 – 1946年11月14日)は、ドイツの兵士。第二次世界大戦末期、一兵卒でありながら将校の身分を詐称し、多数の敗残兵を指揮下に収め、彼らと共に収容所を不当に支配して囚人の虐殺を行った事で知られ、「エムスラントの処刑人(Der Henker vom Emsland)」の異名で呼ばれた。(「ヴィリー・ヘロルト」by Wikipedia)

戦時の混乱があったからこそ

初めの内は、「いつバレるのかバレたらどうしよう」とドキドキしながら見ていたのに、「いいかげんバレろや!」と叫びたくなった。

1945年4月は第二次世界大戦終戦直前の話。統制されていたはずのナチスドイツも後方に行くに従いどんどん規律が乱れてくる。当然、脱走兵も現れる。軍服の本当の持ち主はどこへ行ったのだろう。とにかくヘロルトは「形」を手に入れた。

身分証明は当然あるわけだが、終戦直前だったからこそ無法地帯に近かった。無法社会は恐い。戦争のせい、というよりも、人間は枠から外れたらこんなになってしまうのかって……。

そして、人間一個を印象付けるのは「形」なんだなって。

そしてヘロルトは恐らく、みんなが望む通りに執行した結果、出来上がった悪魔だったのだと思う。

美しいから惨酷

氷のように青白く冷たい画。そこで起きる凄惨な描写はホラーよりも恐ろしい。

小さな嘘はバレなければエスカレートしていく。

人間の残虐性はどこまで成長するのか。観たくないものをイライラしながら観察する名作。

 

 


以下ネタバレ感想

 

脱輪した車と、大尉の軍服を見つけたのが始まり。

 
「大尉殿の服の丈が合って良かったです……」

最初に付いてきた脱走兵も、後から合流した脱走兵も、みんな気づいていたでしょ。ヘロルトが脱走兵である事。
 

脱走兵たちは、ヘロルトと出会って付いていくことで「部隊に所属して脱走の処罰を免れる」という名目を見つける。
 
収容所では、どうせ金もなくて囚人の扱いに手をこまねいていた。邪魔な上官も処分できて一石二鳥。ヘロルトが偽物だろうが、面倒を片づけてくれる人材がいればそれで良かった。

しかし、ヘロルトは暴走しすぎ、たくさん殺しすぎた。

抵抗のない人間を骨の山にすることは、すでに悪魔の所業。

 
結局、あの収容所からは195人の遺骨が回収されたという。

こんなに共感できず、早く捕まれと祈りながら見る主人公は滅多にいない。

それでも、彼の中に時折「自由」を感じてしまうのだから、人間って恐い。

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