マンク ~ 破戒僧 ~~ LE MOINE ~
 監督: ドミニク・モル   
 出演: ヴァンサン・カッセル、デボラ・フランソワ、ジョセフィーヌ・ジャピ、セルジ・ロペス、カトリーヌ・ムシュ、ホルディ・ダウデール、ジェラルディン・チャプリン、ロクサーヌ・デュラン、フレデリック・ノアイレ、ハビビ・ギル・ヴァレ、ピエール=フェリックス・グラヴィエール、マルティーヌ・ヴォードヴィル 
 公開: 2012年3月24日
2013年2月19日。DVD観賞。
 アンブロシオは赤ん坊の時に教会の前に捨てられた。
 右肩に大きな手の形のアザを持つ赤ん坊を見て、修道士たちの中には悪魔の使いかも知れないと恐れる者もあった。
 悪魔の刻印かマリアからの贈り物か。
 拾われ、育てられ、やがてアンブロシオは街中の人々から尊敬され崇拝される気高い僧として修道院のリーダーになる。
厳しい戒律を守り続け、他者にもそれを強要する一方で、情け深い顔も見せる修道僧。
 光と影で彩られた教会の佇まい、茶がかった街並み、白いタイルに赤いドレス。
 クラッシックな映像が美しい。
   
    
 それと反して堕ちていく修道僧の心の闇の映し方が面白い。
 アンブロシオの行動を黒枠でぼかしたシーンは、誰かがどこかから覗いているよう…。
 「悪魔」の描写は現実的。
 人間には、こんな誘惑が本当にいくらでもあるよね…と、思える内容。
アンブロシオが落ちていく様子はとても痛々しい。
 全てはスケキヨ…じゃなくてバエリオが現れてから始まった……
  え、でもこれスケキヨだよね…
   
しかし、信仰心なく世俗の膿にまみれている身としては、そこまでしなきゃいかんの?と思ってしまうところである。これが「悪」なら世の中は悪にまみれている。
 もっとも17世紀の話だから、その厳しさは今とは比にならないのだろう。
 清貧と禁欲の生活を基本とし、性に関しては一切の関心を持つ事を許されず、信仰心があれば全てに打ち勝てると信じていた…。まさに「聖者」。
つまりは、女という悪魔を遣わすのが、一番手っ取り早く落とす方法ってこと…。
 人間には「欲」がある。
 それを信仰という名のもとに抑え抑えたことが、結局は悪魔に憑りつかれる元になるという矛盾。
結果的には、キリスト教うんぬんどころじゃない破戒っぷりを見せることになるアンブロシオを演じるヴァンサン・カッセルさんが素晴らしい。
当たり前だけど、多分に宗教的であり、「スリラー」だというけれども恐くもないです。
 抗う事が出来ない人間の醜さや悲しさを思い知らされる作品。
 宗教に興味がある方にお薦めしておきます。 
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
「厳格と美徳の鑑」と言われたアンブロシオを落とした女への欲求という悪魔。
結果的には、性への欲が人を殺し親を殺し妹をおかすのだから…彼が言っていた「進んで受けるべき罰」としては厳しすぎる。
白い十字架に祈る触れることができないマリアが実の妹だったとは。
夢が何を表すか自分で考えろと言われたけれども、結局は堕ちていく道を表していたのか。
止まらない頭痛はキリストのイバラの冠。
欲望のまま永遠に生きる道よりも、命を奪われ妹の幸せを願う方を選択するラスト。
捨てられて戒律の道を生き、欲求に負けて人間以下の物に堕ちる…気の毒すぎる人生。
禁じる事も欲求のままに生きる事も、どちらもほどほどに、という事か。
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