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『ひろしま』戦争はまた起きるのですか?

ひろしま

映画『ひろしま』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: 関川秀雄
キャスト: 岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路、岸旗江、利根はる恵、神田隆、薄田研二、三島雅夫、河原崎建三

受賞

第5回 ベルリン国際映画祭 長編映画賞

日本公開日

公開: 1953年10月7日

レビュー

☆☆☆☆

観賞: 2019年8月17日 NHK・Eテレ放映にて。初見。
 

原爆で親も兄弟も失った少年の「先生。戦争はまた起きるんですか?」が現代にも突き刺さる。

戦後75年、原爆を落とされた国がどんなに悲劇を訴えても核開発が止まらない世界。

このレビューは短感です。ネタバレには配慮されていません。

あらすじ

日本映画の黄金時代を支えた独立プロによる名作を紹介するシリーズに、原爆体験者の手記を『少年漂流記』の関川秀雄監督が映画化したドラマが登場。広島の高校に通うみち子は、原爆によって発症した白血病が悪化し、教室で倒れてしまう……(「ひろしま」Amazonより引用)

史実、そのままの史実

新藤兼人監督の『原爆の子』と同じく、『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を原作としている。

 
が、ストーリーはあまり追わず、104分の視聴時間の大部分が逃げ回る被爆者たちの映像で構成されている。

私は今まで一体、どんな戦争映画を観て来ただろうかと考えた。「リアルな映像ですね」と感想を書いてきた物のどの程度がリアルだっただろう。

この映画の中にある物は本物だった。本物など見たことないけれど、本物だと感じた。

原爆投下後、わずか8年で制作された映画。

ここに旬があり、ここから先は日本の戦争映画はどんどん先入観やお涙頂戴物語になっていく。

広島市民約9万人の参加

真っ黒な海草のようになってフラフラ逃げまどう人々。どこへ逃げたって同じなのに何処へ向かっているのか。

大量に動く人の群れは、実際に原爆を体験した人も含む広島市民、約9万人のエキストラだったという話。

辛いと思いながら参加した方もいただろう。
けれども「伝えたい」気持ちの方が勝ったのだろうと思われた。迫力の映像。

モノクロの映像迫力

古い映像なのに、古いからこそ地獄から沸いてくるような迫力があった。

恐ろしいシーンは恐ろしく、親子のシーンは辛く。

時代的に当然モノクロなのだけれど、ある程度復興した後は色が見えるような臨場感があった。

ネタバレというほどではないけれどストーリーに触れておく

月丘夢路が主演と書かれているサイトもあるけれども、特に「主演」はおらず(月丘夢路さんは広島出身の縁でノーギャラ出演されているという)、場面場面で主要人物が変わって行く感じ。

ストーリーは原爆投下から7年後の高校授業風景から始まっており、教室で倒れた被爆者の回想から投下シーンへ移って行くのだけれど、結局、その女生徒の妹などはどうなったのかラストまで分からない。あまり話の構築には力を入れていないのかなと感じた。

原爆孤児で高校を中退してしまった少年の方が後半の主人公になって行き、彼の目を通した戦後の広島が描かれていく。

意外だったのは、戦後7年になると被爆体験した生徒はクラスの1/3にも満たないほどだった事。広島に住んでいながら、教師も含めて被爆者に対する理解が浅かった事。原爆病で苦しむクラスメイトを「原爆に甘えている」などと言うものさえいた事。

「原爆」を理解させるために、その苦しみを認知させるために、広島は大変な努力を重ねてきたのだと改めて知った。

 
原爆で両親も兄弟も失い孤児になった少年が、高校も中退してしまい、荒れた生活の中、やっと得た工場の仕事を辞めてしまった理由。

「この間から工場で大砲の弾を作るようになったんです。僕はそんな物は作りたくないから辞めました。先生、戦争はまた始まるんですか!?」

令和の現代でも「戦争はまた始まるの?」と思う事が多々ある。いや、現実には第二次世界大戦後、世界のどこかでは今も戦争は続いている。

戦後わずか8年で作られたこの作品のセリフが、現代にも突きつけられる。

この映画自体が史料であり遺産

戦中の記憶がハッキリと残っているだろう世代も、もう若くて80歳。

今現在作られている戦争映画もすでに「戦争を知らない子どもたち」が作った作品だ。

この映画はリメイクなどせずにこのまま残し、このまま伝えていくべきだと思う。

伝言ゲームになった歴史は必ず改ざんされる。

 
ラスト、記念式典の原爆ドームへと向かっていく地面から起き上がる亡霊たちの群れ。

あれをあのまま伝えなければ、「過ちは繰り返しませぬから」は実行されない。

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