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『誰もがそれを知っている』結末のその先

誰もがそれを知っている

原題 : ~ Todos lo saben/Everybody Knows ~
『誰もがそれを知っている』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: アスガー・ファルハディ
キャスト: ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、リカルド・ダリン、バルバラ・レニー、エドゥアルド・フェルナンデス、インマ・クエスタ、エルビラ・ミングー、ラモン・バレア、サラ・サラモ、カーラ・カンプラ、ロジェ・カサマジョール、ホセ・アンヘル・エヒド、セルヒオ・カステヤノス、ハイメ・ロレンテ

日本公開日

公開: 2019年06月01日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2019年6月19日

 
イランの名匠・アスガー・ファルハディ監督の初イラン外舞台映画にして、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム夫妻の共演作品。

ストーリーは、監督のファンなら「ああ」となる。いつも通りの苦さ。「ああ」……この人たちは、これからどうなってしまうのだろう……。

あらすじ

アルゼンチンに暮らすラウラ(P・クルス)が、妹の結婚式のため故郷スペインに帰省しワイン業を営む幼なじみのパコ(J・バルデム)や家族との再会を果たす。しかしその喜びもつかの間、結婚式の後に催されたパーティーのさなか、ラウラの娘イレーネが失踪……(Filmarksより引用)

邦題は原題通り

邦題はタイトル通り。そういうことか……と納得しても、決してスッキリしないのもいつものファルハディ監督作品通り。

このスッキリしなさを楽しみに見るのだから、この監督のファンだという人間はドMなのだと思う(私も含めて)。

133分の上映時間に長さは感じない。緻密にストーリーを紡いで結末に繋げていく。

犯人は誰なのか

ミステリーなので、一応「犯人は誰なのか」と考えながら見るものだけれども、ファルハディ監督の作品だから、そこには重きを置かない。犯人のことなんて、むしろどうでもいい(笑)なるようにしかならないのだから。

それよりも1つの誘拐事件のおかげで、長い年月フタをされてきた村人との確執が露わになったり、隠していた秘密があれこれ表に出たり、そういう「人間痛い物語」を楽しもう。

ファルハディ監督異色作

ストーリーの流れとしては特に異色でもないのだけれども、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムのような超有名スターがキャスティングされていること、そして何よりイランが舞台ではないことは異色であろう。

女性はヒジャブを被っていないし、人前でハグしたりキスしたりしまくっているし、女性の立場も高そう。

けれども、舞台はスペインの閉塞的な村社会で、誰もが誰もを知っており、皆が何となく外の世界を欲している。そういう点ではいつもの舞台と変わらないのかも知れない。

 
『セールスマン』の感想でも同じことを書いた気がするけれども、ファルハディ監督の作品を観るといつも「ああ、なんてこった」「人生上手く行かないね」と思う。

いたずらな神の手のような傑作。

 


以下ネタバレ感想

 

「ああ、なんてこった」
「人生上手く行かないね」

監督の作品を観ると、いつも、その結末の後の事を考える。
 

フェルナンドは犯人一味であるロシオと夫を問い詰めて金をパコに返すかも知れない。けれども、金が返っても農園もベアももう帰ってこない。

ラウラもアルゼンチンへ帰ったからといって、前と同じように幸せに暮らせるわけではない。イレーネは夫が父親ではない事を知ってしまった。母を見る目も変わるだろう。

 
結婚式のシーンから、遠目に見る村人は全く笑顔ではなくて、誰が犯人でもおかしくなかった。

イレーネも狂言しそうな感じのお嬢さんだった。

ラウラが、夫は金持ちなどではないことを言っていれば……。

というタラレバを語りたくなる。

 
けれども、人生は元に戻れない。

それでも生きていくしかない。

それを学ぶ物語。
 

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★前田有一の超映画批評★
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