『ボクたちの交換日記』「やろうと思う」と「やる」の間には大きな川が流れている

ボクたちの交換日記

    

監督: 内村光良   
出演: 伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、木村文乃、川口春奈、佐藤二朗、佐々木蔵之介、カンニング竹山、大倉孝二、ムロツヨシ、ベッキー
公開: 2013年3月23日

2013年3月27日。劇場観賞。

上映時間115分。短めだけど、もっと短く感じた。駆け抜ける「房総スイマーズ」。

もうデビューした頃からウッチャンナンチャンが好きで…えっと正直に言ってしまうとウッチャンが大好きで。
この映画に大きな期待をしていたわけではなかった。ウッチャンが好きだから見なくてはと思って観たというだけ。

もっと、軽くて、ただ笑えるだけの話だと思ってた。
結果、やるせなくて切ない後味。でも、爽やか。
上手くいかない大人の青春の1ページをたっぷり見せてもらった。

派手さはないけれども、とても真っ直ぐでいい映画だった。

ストーリーは、売れない芸人コンビの交換日記の内容をそれぞれが語るモノローグに沿って進む。

小出恵介の甲本の語りが良いんだ。ホント。「ROOKIES」でも小出くんの「ねえ、先生…」から始まるモノローグに泣かされてきたんだもの。

伊藤淳史の田中の真面目な語りもいい。

面と向かっては言いたい事が話せないからと交換日記を提案する甲本と「嫌です!」と言いながら続ける田中。

2人が芸人になると決めた房総の海の風景。2人が練習する桜がピンクの霞に思えるほど咲き誇る公園。背景までが2人の青春と一緒に心に残る。

それぞれの生活でのパートナーがまた素晴らしい。
昼は薬剤師をして夜はホステスをして甲本を支え続ける久美@長澤まさみちゃん。たぶん、何かを目指す全ての男性の理想だと思った。柔らかい笑顔と優しい言葉。良い女だなぁ。
  

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田中を見守る麻衣子@木村文乃。この人も優しい出しゃばらない人。木村文乃さんには珍しく控えめな役かも。
  

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芸人さんでも何でも、大成するのは難しい。努力だけじゃない。運もある。
そして、影で支えてくれている人の存在もある。

監督自身もそういう人たちの存在に感謝する気持ちも込められた映画なんじゃいかな…と。芸人さん達へのエールと共に、この世界で大成した今のウッチャンならではの色んな思いが溢れている気がした。

芸人じゃなくても、お笑いが好きじゃなくても、何かに打ち込んだ経験のある人は共感できる部分がたくさんある作品。

解散が決まっているFUNKY MONKEY BABYSの主題歌「サヨナラじゃない」が神がかっているほど合いすぎていて、EDに聞き入りながら泣いた。

桜って、綺麗なだけじゃなくて切ない花でもあるんだよね…。

    

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ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

原作がある事は知っていたけど、ウッチャンが映画を作るために作った話を書かせたのかと想像しちゃった。

いや、実際には鈴木おさむ氏の原作小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」は2011年に発行されていて舞台にもなっているらしい。

見ながら、誰かモデルになっているコンビがいるのかとか…ウンナンもこうなっていたかもしれないという話なのか、とか…。

実際には、どんなコンビも売れない時代があって、こんな事になったりなりそうになったりして頑張っているのだろう。芸の道は厳しい。

でも、実際に相方のために自分を犠牲にできるのか。それを死ぬまで黙っていられるのか。と言ったら、それはなかなか出来ないと思う。

再会のシーンは老けメイクが上手く行って無さすぎるのもあって、ちょっと時間の流れを感じるのに無理があったんだけど…

それでも、甲本が死ぬ前に田中が真実を知ることが出来たのは良かったと心から思ったよ。

黙って差し出す古い交換日記を開いて、

また始めるのか?

嫌です!

かつてのやり取りをする2人。

再会シーンから入るEDのファンモンに泣けたんだ…。
「さよならじゃない」。あのままサヨナラにならなくて本当に良かった。

※公式に寄せられた芸人さん達のコメントを読んでまた泣けたわ…。たぶんほとんど本音のメッセージ。
「ボクたちの交換日記」公式サイト

 

 

 

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