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『君の名は。』わたしの片割れ

君の名は。

 

監督: 新海誠
キャスト: 神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、悠木碧、島崎信長、石川界人、谷花音


公開: 2016年8月27日  観賞: 2016年8月27日

高校生の男女が入れ替わる。SFのような、「世にも奇妙」的な、まぁ少年マンガにも少女マンガにもよくある設定。

予告から受け取った情報はそんな程度。

そこに清々しくて可愛らしい青春ストーリーがあって、ちょっとスッキリさせてくれれば儲けものだよね…そんな風に思っていた。

甘かった…。

◆あらすじ
1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。(シネマトゥデイより引用)

田中将賀さんのキャラクターは好きだし、声を充てているのが神木くんと、『ちはやふる』でその声にホレた上白石萌音さんだというのが「観に行こうかな」と思った切っ掛け。

他はそれほど期待していなかった。

前半は「RADWIMPS」のPVみたいじゃないか、と思い、あ~思った通り男女が戸惑いながら入れ替わり生活に慣れていくんだな、と思い、「カワイイし、そこそこ面白いよね」と思った。

映像は三葉の住む伝統深い田舎町の自然や、この作品に重要な「空」、瀧くんが住む都心のよく見る風景も含め丁寧で美しい。

自分の居場所に不満を抱き、田舎に住む者は都会に憧れ田舎を持たない都会者は味わった事のない郷愁感に涙する…。

しかも、三葉の設定は珍しい立場。
土地に縛り付けられた身体が憧れと共に自分探し思春期真っ最中の瀧くんを呼び寄せ、お互いがいつの間にかお互いの「半分」になっていく。よく出来たストーリーだ。

慣れるの早すぎないなど不満もある。

けれども、そんな事はもうどうでもいいの。

だって、これは、選べなかった人生の話なのだから。

ここから先は何も読まず、できたらどこでもネタバレには一切触れずにこの作品を見てほしい。

日々を「喪失」することの意味と、再生を願って生き続ける私たち日本人が受け取るべきものが詰まった名作だから。

風化させてはならない。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね

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泣きっぱなしだった後半。

三葉は実は瀧くんに成りきってしまい、奥寺先輩に惚れてしまったから「失恋」なのかな、とか、失恋したから一切の連絡を絶ってしまったのかとか、そんな風に軽く見ていた。

まさか、命を失っているとは思わないから。
2人の入れ替わりに魔法の力を授けた「彗星」が、そんな素敵な物ではなくて多くの人の命を奪う大災害の塊りだったなんて思わないから。

三葉が瀧くんの生活を楽しんだように、瀧くんも三葉の友達を故郷を家族を愛しただろう。「自分の半分」を突然奪われる喪失感の大きさ。

アイデンティティを半分喪失したら、自分が生きていないように思えるのは当然で。

彗星の落下で町民と共に消えた飛騨の糸守町。
記憶から消えた「名前」を、覚えている限りのスケッチだけを頼りに探し当てる。口噛酒を納めた御神体へ辿り着く。

捻じ曲がっていた3年が、片割時(彼は誰時)の間だけ融合する…。

人間は本当は死んだ人になんか二度と会う事は出来ない。

だから、この作品の中で描かれているのは本当に大きな「願い」なのね。

あの災害で。亡くなった多くの命や、故郷や思い。

願いはそこへと届く。

道は全く違うけれども、『シン・ゴジラ』に通ずるものもある。

私たちは、風化してはならない願いを、今、振り返っているのだ。

出来すぎでもあり得なくても、ラストに向けての糸守町救済への流れを祈るように見た。

ラストシーンにまた泣いた。

時間も人も出会いも何もかもが「結び」。

もちろん「名前」も。

『君の名は。』公式サイト

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★前田有一の超映画批評★

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comment

  1. nakakuko より:

    BROOKさん
    アイテムがたくさん散りばめられたストーリーでしたね。
    で、回収されるたびに涙。
    新鮮さが命な作品だと思うので、ネタバレ厳禁ですわね~^^

  2. BROOK より:

    単純(?)な男女入れ替わりではなく、
    後半になるに連れて“伏線”が巧みに回収されていく展開は非常に面白かったです。
    まさか、そういうことだったとは…と。
    たしかにネタバレには触れずに鑑賞して欲しいですね♪