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映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『ソロモンの偽証 前篇・事件』子どもたちは何に傷つくのか

ソロモンの偽証 前篇・事件

  

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監督: 成島出   
キャスト: 藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、西畑澪花、若林時英、西村成忠、加藤幹夫、石川新太、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、池谷のぶえ、塚地武雅、田中壮太郎、市川実和子、江口のりこ、森口瑤子、安藤玉恵、木下ほうか、井上肇、高川裕也、中西美帆、宮川一朗太、嶋田久作、余貴美子、松重豊、小日向文世、尾野真千子

公開: 2015年3月7日


2015年3月3日。劇場観賞(試写会)

中学生くらいの子どもは面倒くさい。
彼らは大人が思っているよりもずっと大人で、大人が期待しているよりもずっと子どもだ。
純粋で傷つきやすく壊れやすい。

雪に埋もれた少年の遺体の瞳が黒々と光る。全てはそこから始まった。
冷たさと気持ち悪さと妙な熱さの融合。

あらすじ
クリスマスの朝、藤野涼子(藤野涼子)は校庭で雪に埋もれた遺体を発見する。柏木卓也(望月歩)。涼子と同じ2年A組の生徒だった。警察の捜査の結果、柏木は自殺と発表されたが、涼子の元には1通の告発文書が届いていた。「城東第三中学校二年A組の柏木卓也くんは自殺したのではありません。本当は殺されたのです。突き落したのは…」



「傷つくから」という理由で大人は子どもから多くの真実を取り上げる。その結果、子どもはモヤモヤした思いだけを抱えて生きていく。隠す事は果たして正しい事なのか。

子どもは決してお人形ではなく多くの疑問や悩みを持っている。大人が忘れてしまった純粋さがそこにはある。「守る」つもりで隠すことが傷を広げていく。

親世代なのに、なぜかいつの間にか中学生の気持ちになって見ていた。何度も泣きたくなった。涼子たちが痛々しくて、可哀想で。周りの大人たちの狡さ、汚さ、滑稽さ、そして温かさや優しさに泣きたくなった。
ああ、私もね、この子のように面倒くさい中学生だったよ…。昔の自分を振り返る。こういう感覚は『桐島、部活』で味わったものと少し似ているかも。


ミステリーとしては、後編に繋げるための助走からスピードがついた状態でパッタリ終わった感。

この終わり方じゃね…後編を見ないわけにはいかないでしょ…上手い。できたらインターミッション入れて4時間一気に見せていただきたかった。

主要生徒たちそれぞれの顔がジックリと描かれた2時間である。

主役はほぼ子どもたちであり、キャラクターが魅力的だ。

原作者・宮部みゆきの許可も貰って役名と同じ芸名にしたという藤野涼子は、これがデビューだとは信じられない演技。彼女の涙につられて何度も目を潤ませた。強そうで脆く、冷静そうで熱く、明るそうで影がある、複雑な思春期の少女を丁寧に演じる。
   

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ちょっとポスト高良くんって感じの板垣瑞生くん。神原和彦役。綺麗な顔立ち。
    

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そして、どこかで見た事ある…とずっと考えてしまった野田くん役は前田兄じゃないか。弟はよく見るけれども兄はお久な気がする…上手くなったね。

どこかで見たパート2は大出俊次役・清水尋也。「高校入試」の沢村であり「渇き。」のボク。髪型でずいぶん雰囲気変わる~。  

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生徒役を支える大人の俳優陣も演技の素晴らしい豪華キャストで固め、それぞれに不気味だったりカッコ良かったり、クズだったり…。ピッタリとこの世界にハマる。

ミステリー要素だけではなく、人間模様を楽しむ精神的にズシンと来る作品。後編に真実が語られる学校裁判…ということで、4月が待ち遠しすぎる

エンドロール後に予告が入ります(←たぶん試写会だけじゃないと思う)ので最後までしっかり楽しんでください。


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誰かが傷つくと思わないの

私たちはもうすでに傷ついています。


そうなの。大人は自分たちの物差しで「子どもが傷つく事」を選別する。傷つくと思われる物事を隠してしまう。

だから余計に知りたくなるんだ。
こんな大きな事件に巻き込まれなくても、そういう体験はきっと誰もが持っている。

しかし、それを知ろうと行動する人は少ない。涼子は行動する道を歩む。もう偽善者と呼ばれないように。
涼子が柏木に言われた「偽善者」と同じことを語る神原の存在が不気味でもあり不思議でもあり…。この作品が「犯人」探しなのだとしたら、彼が一番怪しく見えるけれどもね。彼自身も柏木にかつて言われたのかも知れない。「偽善者」と。

三宅樹里が不気味だったわ。母子揃って。永作博美にこういう役って初めてかも知れないと思った。

黒木華の怯えようもただごとじゃないし、柏木の存在はちょっとホラーっぽい。

原作未読なので結末は解らない…その方がきっと面白い。

あんなに黒々と目を見開いて、何かを掴むように延ばした手。
あのご遺体が自殺とは、ちょっと思えない。

真実を隠ぺいした校長もただの駄目な大人なのか企みがあるのか…。
田畑智子さんの女刑事もねぇ…。あんなに頑なに真実を隠すのは本当に子どもたちのためなの


踏切に立つ自分を見つめる涼子が可哀想で泣いた。
そこにかつての自分がいるような気さえした。

「偽善者」であった後悔が涼子の中にある。だからこそ立ち上がったのだもの。
頑張れ、頑張れ…と彼女たちを応援しつつ、後編を楽しみに待つ。


「ソロモンの偽証 前篇・事件」公式サイト

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