映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『ディア・ドクター』その嘘は、罪ですか。

ディア・ドクター

  

監督:  西川美和
出演:  笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、八千草薫、香川照之、井川遥、松重豊、岩松了、笹野高史、キムラ緑子、滝沢涼子、森康子、市川千恵子、奥野匡、高橋昌也、中村勘三郎、飯沼慧
     
公開: 2009年6月


第33回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞(余貴美子)受賞

この村に医者はひとりもいない。
ひとつの「嘘」
ずっと言えずにいた、もうひとつの嘘。
山あいの村で起きた失踪事件。

その嘘は、罪ですか。


「ゆれる」の西川美和監督最新作。

余計な音楽がない。

風に揺れる稲穂の音や、木のざわめきや皮の音や伊野先生のバイクの音や・・・

そういう自然な音が、自然な風景の中で生かされている。

出演者もそういう自然の中で普通に生きていた。

無医村だった村で、無くてはならない存在になった伊野と彼を支える看護婦と研修のために村に来たボンボン。

村の人にとって、彼らはどういう存在なのだろう。

伊野にとって、村人たちはどういう存在だったのだろう。

高齢者だらけの村に必要な医者とはどういう存在なのか。

伊野先生の存在意義を考えてしまった。


「ゆれる」と同じように

観る人によって、どんな風にも捉えられる展開と結末が待っている。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


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いいんですか?
訴えられるのは私の方だと思うんですけど。


と、鳥飼りつ子は、刑事に言う。

刑事は村人にも看護士の大竹にも研修医の相馬にも製薬会社の斎門にも事情を聞くが、みんなが伊野の事をほとんど知らずにいた。

刑事に返す曖昧な返答。
詐欺に掛かったと怒っている人はいない。みんな「気付かなかった」と軽く言う。

でも

ケガで診療所に運ばれてきた患者が気胸を起こして処置しなければならなくなった時、どういう症状なのか、どうすれば良いのか、何を使うのか。。。

誘うように、操るように、言葉を続ける大竹さんが恐かった。

あの時、思ったの。

村が必要としているのは伊野の「存在」で、詐欺だと思っていた伊野の方こそ操られていたのでは、と。

飛んでくるボールを打ち返し続けてきた。

と相馬に言う伊野。

かづ子に村で死んで欲しかった伊野。

あの人だったら、母をどういう風に死なせたんでしょう?

りつ子の言葉は、とても重い。

村で死にかけた老人を蘇生しようとした時、家族は伊野を見ながら首を横に振る。

老人だらけのこの村で、村人は誰も延命措置など望んではいない。 だからこそ、伊野は知識が薄くても、やって来れたのだろう。

もしも、都会の病院に入ったら、たくさんの管に繋がれ、機械に監視され、生かされ続けるだろう。

たぶん、かづ子も。

大昔は、医者なんて免除はなくて、たぶん、おまじないや薬草を施してくれる「特別な存在」の人がいて、その人が診てくれると何故か身体の具合が良くなって。。。

伊野は村にとって、そういう「特別な存在」になったのだ。

資格なんてあろうがあるまいが村人は伊野が必要だったのだ。

。。。だから、多くの人が気付いてはいたのかも知れない。

あのお祖父ちゃんの家族も。

あの駅で、伊野を追う刑事たちと、電車が通り過ぎるまでに 何が起きたか。考える。 刑事は本当に、側にいた男が伊野だと気付かなかったのか。

刑事もまた考えたはずだから。医師のいない村と、「医師」の存在理由について。

 

ラスト、伊野とかづ子の笑顔に救われる。

・ディア・ドクター 公式HP www.deardoctor.jp/


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