『サニー 永遠の仲間たち』人生の主役に戻る時

サニー 永遠の仲間たち~ 써니 / SUNNY ~

作品情報

監督・キャスト

監督: カン・ヒョンチョル
出演: ユ・ホジョン、シム・ウンギョン、ジン・ヒギョン、カン・ソラ、コ・ソヒ、キム・ミニョン、ホン・ジニ、パク・チンジュ、イ・ヨンギョン、ナム・ボラ、キム・ソンギョン、キム・ボミ、ミン・ヒョリン

日本公開日

公開: 2012年5月19日

レビュー

☆☆☆☆☆

2013年1月10日。DVD観賞。

 
毎年、年初めは前年度の他のブロガーさんのベストを見て、高評価だったり気になる物を見つけては借りてきて見る。これも、そういう物の中の1本。

たぶん、そういう経緯が無ければ一生見ることはなかったと思う。

だって、ただ、学生時代に仲が良かったおばさんたちが再び集まるってだけの話なんだもん。旧友の1人が死を間近にしているので集まるという設定だってベタな気がするし、全く興味惹かれなかった。

それをこんなに名作にできるとは…。

だから韓国映画は底知れないのだ。

あらすじ

優しい夫と高校生の娘に恵まれ、何不自由ない日々を送りながらも、どこか物足りなさも感じていた専業主婦のナミ。ある日、母の見舞いに行った病院で高校時代の親友チュナと再会する。彼女は、田舎から転校してきたばかりでイジメられそうになっていたナミを助けてくれた恩人。ナミは…(サニー 永遠の仲間たち(Amazonプライム)より引用)

 
このメンバー探しと同時に映し出される女学生時代の回想シーンのキラキラさ加減がハンパないのである。

映画のタイトルにもなっているボニーMの「サニー」シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」「Girls Just Want to Have Fun」「ラ・ブーム」で有名な「愛のファンタジー」など、80年代の名曲と共に現れる17歳の少女たちの青春の1ページ1ページに、とんでもない郷愁感を味わい続ける。

自分の学生時代にこんな経験はなかったはずなのに、見ている内にもう彼女たちの思い出が自分自身の思い出のように頭にインプットされてしまうのである。

特に泣かされるシーンじゃなくても、懐かしくて懐かしくてどうでもいいようなシーンでまで泣けてくるんだから尋常じゃない。「美人でごめんねぇ」とナミとスジが抱き合って泣いているシーンでさえ笑いながら泣いていた私…。

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うん。音楽の力は大きい。この演出力が凄い。

80年代、韓国では民主化運動の最中。機動隊とぶつかり合う暴動の中で、彼女たちはお構いなしに自分たちのための小さい縄張り争いをする。

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そう。女の子にはいつの時代だって政治や論争なんて関係ないんだものね。
大切なのは自分たちのオシャレ流行や音楽や恋や夢…。

うるうるしながら、ずっとずっと見ていたい気持ちにさせられる映画だった。

ラストの展開は、ちょっと出来すぎな気もするけれども、そんな事どうでもいいくらい、もうハマっていた。

サニーのメンバーが本当にキュートで、みんな愛おしい。

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ああ、本当にね…自分もただの主婦だからそう思う。あの頃は輝いていたな、って。

学生時代に特に仲間が居なかった人も、これを見ればきっとこの人たちの人生が自分の人生になってそこに現れる。

最高に幸せな気持ちになれる1本です。

 

 


以下ネタバレ感想

 

自虐ネタ…病院でテレビドラマを見ている患者たちが「あーーやっぱり兄妹だったよぉ」とか「ほら記憶喪失だ」とか言って騒いでるのに笑った。
 

そんな現代シーンと、決して豊かではないけれども家族くっついて暮らす学生時代の家族のお茶の間シーンがクロスする。親も年を取った。

綺麗なマンションで夫と年頃の娘と暮らす主婦生活も幸せではあっただろう。

でも、そこには何だかもう自分が居ないような気がしちゃうんだよね。ナミ。
 

「サニー」探しは、過去の自分を探す旅でもあった。

画家になりたかったナミは普通の主婦になった。一重を気にしていたチャンミは成績の悪い保険の外交員になっていた。口汚いジニは整形して上品な言葉を喋るエセセレブになっていた。文学少女だったクムオクは姑に監視され外出もままならない主婦になっていた。ミス・コリアを夢見ていたポッキは場末の水商売に身を落としてアル中になっていた。
 

そして、あの美少女だったスジは…。
 

みんな夢なんか叶わず、それぞれそれなりの人生。

だからこそ、学生時代はキラキラしている。懐かしい。どんな人生でも夢がある内は主役なんだ。

最後まで見つからなかったスジが現れたラストには本当に自分の友達が現れたのかってくらいの喜びと感動…。

チュナの祭壇の前で踊る「サニー」の可愛らしさ。

死んでもサニーは永遠だ。

そう言ってあの時別れた仲間たちは、ここで本当に永遠のグループになった。

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