『スイッチを押すとき』自殺対策基本法

スイッチを押すとき

  

監督: 中島良   
出演: 小出恵介、水沢エレナ、佐野和真、真司郎、阪本奨悟、太賀、菅野莉央、福士誠治、鈴木砂羽、小倉久寛、田中哲司、西村雅彦
公開: 2011年9月17日

2013年1月16日。DVD観賞。

西暦2011年。
増加する青少年の自殺を防止するため「自殺防止対策法」の制定が発案され、通称「Y.S.C」と呼ばれる自殺抑制プロジェクトが発足した。
政府は、とある手術を施した子供たちを「苦痛なき死」へ誘う【スイッチ】を与え、蓄積したデータを元に若者の自殺の心理を究明する実験を始める。

そして、西暦2026年。
存命被験者数は6名になった。

…という、いかにも山田悠介氏原作らしい設定のストーリー…。

しかし、予想と違って驚いたのは、今まで見てきた山田悠介氏原作のミステリーやホラーと違って絵作りが格段良いところ。
つまり…アイドル出演のホラー関連よりも、お金も気合もかなり入ってる感じがします。

主役も小出恵介だし、この人誰?って(失礼 )いう役者さんは出ていません。
うん。キャストにもお金かかってる感じがします。
普通の映画みたいです。

ストーリーも、もちろん山田氏原作らしく奇想天外な設定ですが、しっとりと作り上げている感じはします…。そう…しっとりと…。

後半なんて、もう普通の邦画恋愛もののようです。

…と書いたら、え?恋愛もの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

そーなんですよ…その「しっとり」と、いつもの感じと違う部分が…逆に面白くないという悲しい結果。

私は家でDVDを見ている時は、なるべく劇場と同じような静かな環境にしてボリュームも上げて、部屋が明るすぎないようにして…と、ガッツリ見るよう心掛けているのですが、申し訳ないけど、初めて後半倍速で見るっていうのをやってしまいました。
え、だって、普通に見てたら寝そうだったし~…たぶん、これ、劇場で見てたら寝てるか退場してるかだ。

中盤までは…普通にツッコみながら(ぉぃ )見れていたのにね…。

しかし、この作品で描かれている事は「今だからこそ」考えさせられるものはあります。
「自殺防止対策法」なんて突拍子もない物、できるワケがないだろ~…と思ってしまう所だけど、日本には本当にそういう法律があるからね。 (「自殺対策基本法」by Wikipedia)

「いじめ防止対策法案」なんてもんまで出来おったし……。

「自殺」や「いじめ」は心の問題であって、そんなの法で取り締まるうんぬんではないと思うのですよ。
こんな事で法律作らなきゃならない時点で何か終わってる…この国、この時代。って気がします。法律なんて作ったら、マニュアル通りに行かないと色んな歪みが出てくるわけで、そういう取締りではなくて、もっと心の教育に重点を置けないものかと。
(昨日、「ぼくたちのムッシュ・ラザール」を観たばかりの身には余計そう思える。)

…で、自殺を本当に法で取り締まろうと思ったら、この映画のように強制的に何か始めるしかないわけで。滑稽ですよ。まるで映画のようですよ。人間らしくない。

そんな国になってしまったんだなぁ、日本…。
と、情けなくなる問題提起作である事は間違いないです。

 


以下ネタバレ感想

 

え~~誰かを虐めて自殺に追い込んだ子どもに埋めこまれるんじゃなくて、ランダムに選ぶのか。それはヒドイだろう…。

…というのが、第1のツッコミ所…。
まぁ…そういう方向に持っていくと「×ゲーム」と同じになってしまうからな…。

「子どもが簡単に自殺するから、原因を探るために始まった実験」だというけれども、あんな環境じゃ誰だって死にたくなるだろ。
あれじゃ、「どうして自殺するのか」の実験ではなくて「どうして生きようと思えるのか」の実験になっちゃってる。

心臓にスイッチを埋めこまれ、いつでも死ねる状態にして、人間がどのくらいもつのか…。

主人公が、優しい良い人のふりをしてかく乱しているんだろうな、という事も、主人公自身もスイッチ持ちなんだろうって事も、早い段階で察しがついてしまった。(山田悠介慣れ )

しかし、あんなダラダラした後半が待っていようとは、予測もつかなかった。

それでも、倍速で見ながら私は待った。最後まで。

きっと、小出恵介(の外の人)は、優しい振りして、恋してるような振りをして、最後にこの女の子を地獄に突き落とす絶望を与えるんだ。そうに違いないと……。

だから、ラストには、ええーーだったよ。これじゃ普通のSF的悲劇じゃないか。
こんなの私が求めていた山田悠介じゃないっ←何を…

結局……この実験でわかった事。

人はね、絶望の中で死ぬんじゃないんだ。
希望を失った時に何かをあきらめるんだ。

↑「希望を失った」=「絶望」だから、このセリフちょっと変だよね…。と、ツッコミつつ…。

人間は絶望を味わった時だけではなくて、「幸せの絶頂だからこそ死を選ぶ」事もあるのだと。
それが結末の実験結果。

 

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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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★★邦画・さ行日本映画

 

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

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