『運び屋』予測不能

運び屋

原題 : ~ The Mule ~

『運び屋』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: クリント・イーストウッド
キャスト: ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ、クリフトン・コリンズ・Jr、マニー・モンタナ、クリント・イーストウッド

日本公開日

公開: 2019年3月8日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2019年3月9日

 
88歳のクリントせんせーが90歳のじいさんを演じた映画である。もうホント自由で愛しくて可愛くて、そしてカッコいい。

あらすじ

アール・ストーン(クリント・イーストウッド)は金もなく、孤独な90歳の男。商売に失敗し、自宅も差し押さえられかけたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられる。それなら簡単と引き受けたが、それが実はメキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だということを彼は知らなかった……(Filmarksより引用)

実話ベースの犯罪ドラマ

90歳のじいさんが、ヤクを運ぶ超優秀大量輸送賞ドライバーだというこの話。

完全実話では無いものの、『ニューヨーク・タイムズ』に掲載されていた記事『The Sinaloa Cartel’s 90-Year-Old Drug Mule』(シロアナカルテルの90歳の麻薬「運び屋」)が原案だというのだから、元気な爺さんは実際に存在するのである。
 

まぁ日本でも……90歳のじいさんが麻薬を大量に運んでいても誰も気づかないかも。米か何か運んでいると思うよね。「お年寄りには親切に」は、どの国も共通。

カラッと明るく悪い事

もちろん。犯罪ドラマなのだからハラハラもするし、痛い事もある。けれども、基本的には、じいさん、いつも楽しそう。

ボケているわけではなくて、どんな人生もいつでも楽しむ姿勢なんだもんね。
 

アールの人生はそもそも贖罪だらけ。人生の終わりにお金が欲しい。生きている間に、傷つけてきた人たちのためにお金を使いたい。

遺言じゃなくて今を生きるメッセージ

クリント先生の過去作を並べ、まるで遺言みたいな宣伝の仕方があまり好きじゃなかったのだけど、これは過去を振り返りながらまだまだ元気にやっていく話だと思う。

『ミスティック・リバー』が個人的に大好きなイーストウッド作品で、ああいうジワジワ来る苦さも良いのだけれども、最近の作品は今を楽しんで未来を生きているものが多いと感じる。

これは、老いも若きも元気になる映画。

ブラッドリー・クーパーのカッコ良さもハンパ無かった。「あの世代」も「この世代」も肯定する映画。
 『運び屋』感想 ブラッドリー・クーパー

最高だ。

 


以下ネタバレ感想

 

宝くじが当たってもね、絶対に突然、ど派手な生活に変えちゃいけないって言われてるの、知ってた

と、何度も言いたくなってしまう派手な使いっぷり。

 

開けるなって言われてるのに、開けちゃう。じいさん、自由。
 『運び屋』感想 開けちゃダメ

 
ヘイトなワードをいっぱい吐きながらも、じいさんだから何となく許される。時折り顔を出す説教臭さも、じいさんだから何となく許される。カルテルのボスの所にまで呼ばれちゃうじいさんだから何となく自由。

年寄りの行動は「予測不能」。だから警察にも見破られない。人間の先入観は凄い。

 
年寄りを馬鹿にしていた周りの若い衆が、だんだん変わっていく様子が面白くも温かかった。「年寄り」という切符はこうやって目いっぱい使う物なのだと学んだ(笑)

 
ピリピリしていた売人たちもみんな変わっていく……と思っていた。

 
結局は、あのタイミングで捕まったのは良い事だった。

メアリーの命の灯がアールを救ってくれたのだ。

 
家族と和解し、殴られたけれども逮捕される事で命は助かり、年寄りのやり方を全否定して新しい国を築こうとしたカルテルは壊滅した。

せっかく孫のように接することができるようになったカルテルのフリオが心配。

それ以外は、カラッとした気持ちで見終えることができた。

 
お年寄りが元気な映画を観ると、頑張らなくちゃって思えるよね。

イーストウッド監督の今後の作品が、まだまだ楽しみ

 

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