『バースデー・ワンダーランド』前のめりで行こう

バースデー・ワンダーランド

作品情報

監督・キャスト

監督: 原恵一
キャスト(声優): 松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親

日本公開日

公開: 2019年04月26日

レビュー

☆☆☆

劇場観賞: 2019年04月27日

 

前のめりで人生渡って行くことが大切だということ。そして何よりも、世界に「惨酷なこと」なんてあってはならないこと。

そういうメッセージはストレートに伝わる。それだけに、ちょっと惜しい。

このレビューは短感です。

あらすじ

一生に一度の誕生日、あなたを奇跡の冒険へ!
誕生日の前日、自分に自信がないアカネの目の前に突然現れたのは、謎めいた大錬金術師のヒポクラテスとその弟子のピポ
――「私たちの世界を救って欲しいのです!」と必死でアカネに請う2人。そしてアカネが無理やり連れて行かれた世界は…(Filmarksより引用)

美しい作画と世界観

原作は柏葉幸子の小説『地下室からのふしぎな旅』。

ロシア出身のイラストレーター、イリヤ・クブシノブが担当したキャラクターデザインはとても写実的な美人。日本の小学生としてはちょっと大人びすぎた感じはあるものの、松岡茉優の声が入り動き出せば気にならなくなる。

イリヤ
イリヤ・クブシノブ ロシア出身、日本在住のイラストレーター

不思議な異世界風景の美しさや、モフモフころころの羊。謎の王子や謎の魔法使いが存在する神秘的設定は童話らしくてワクワクする。ワクワクはするのだけれども……。

なぜかチグハグなのである。

チグハグの多さ

異世界だからチグハグは当たり前なのだろうけれども、まず違和感を持ったのがこの映画の中で「かわいい」を担当するキャラクター、ピポ。

魔法使いだか妖精だかは知らないけれども、写実的に寄ったキャラクターの中で、この子(と、他にもいるっちゃいるのだが)だけがまるで別の人が描いたように作画が違うの。
 『バースデー・ワンダーランド』感想

他にも、猫キャラが出て来るシーンがあるのだが、それもまた主人公サイドとは何となく「絵柄が違う」。

悪夢的にわざと作っているのかなとも思ったのだけど、こういう浮いたキャラクターの存在のように物語も少しずつ何となくチグハグしているのだった。

テーマは単純

主人公は気が弱くてハッキリと意志を告げられない少女で、その成長物語なのだろう。

逃げずに意志を伝えること、他人を傷つけないこと、「惨酷」を止めることなど、あまり深く考えずにストレートに届く。

そういう点は子ども向けなので、GWのお子様連れにお薦めしたい。したいけれど……子どもが楽しむには長い。

ひと工程も2工程も省いて、もっと短くしても良いのではないのかな……と思うのだった。

全体的な感想としては

せっかくの美しい世界はスクリーンで楽しみたい。けれども、肝心のストーリーは今ひとつ楽しめない。

結局「緑の風の女神」とは、あの世界でどの程度ありがたい存在で、本来はどのような役割をすれば良かったのだろう。

それすら謎のままだった。でも、続編などはもういいや。

 


以下ネタバレ感想

 

ネタバレというほどの話ではないけれども、主人公がクラスのボスにヘイコラしてしまってハブにされる友達を救えない下りから始まったのだから、異世界から帰ってきたら、そこに話が戻らないといけない気がするのだ。

せっかく「前のめり」を身に着けたのだから、自分の意志を伝えられるヒロインに成長したところを見せていただきたかった。
 

あと、まぁ……

あまりバースデイである意味は無かったかな(笑)
 

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