『愛がなんだ』変がなんだ

愛がなんだ

『愛がなんだ』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: 今泉力哉
キャスト: 岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ、中島歩

日本公開日

公開: 2019年04月19日

レビュー

☆☆☆☆

劇場観賞: 2019年4月23日

 

原作は角田光代の同名小説。『八日目の蝉』『紙の月』……犯罪者には犯罪者たる理由。「執着」。

好きすぎて相手との距離が量れない。これだけはもうどうにもならない。誰にも、嫌いにさせることはできない。それも自由の内だし。自由にしているだけなのに、なぜ「変だ」と言われるのか。

でも、きっと、自分でも分っている。

痛い……。

あらすじ

28 歳のテルコはマモル(マモちゃん)に一目惚れした5ヶ月前から、生活はすべてマモちゃんを中心に動いている。仕事中でも、真夜中でも、マモちゃんからの電話が常に最優先。仕事を失いかけても、親友に冷たい目で見られても、マモちゃんがいてくれるならテルコはこの上なく幸せなのだ。けれど、マモちゃんにとっては、テルコはただ都合のいい女でしかなかった……(Filmarksより引用)

このレビューは短感です。後ほど追記する可能性はあります。

痛い

テルコを見ていて「痛い」としか感じられない。「きみ、愛されてないよ?」と言ってあげたい。でも、言ってもきっと「だから?」と返されるだけである。だって、誰に何と言われようとも「好きは正義」なんですもの。

周りから見てどんなに痛々しくても。

尽くすことが幸せなのだから、それは自由なのだから……。

ストーカーってなに

そんな恋愛は変だよ。いけないよ。と思いつつ、じゃあ「いい恋愛ってなに」って話。

そう。突き詰めればストーカーだって個人の自由だ。それが愛だと思うなら。仕方ない。仕方ない事ばかり溢れる。

本当に思うの。愛って、なに!!?

 
この映画を観ていて、イライラする理由は分っている。

マモちゃんに振り回されているテルコ自身は幸せだが、周りから見て全く幸せそうに見えない事。それが理由。

でもね、そういう幸せ、私は知っている。

人生を振り返ると、あれこれ痛い。

その目、その顔、知ってると思えるキャスト陣の演技

なんだこの子、なんだこの男、なんだこの女……と思いながら見て、でも、こんな恋愛したことあるような気がしている。見た事あるもん…あんな顔、こんな顔、と思えるくらいに岸井ゆきのと成田凌が上手い。そしてライオンのような深川麻衣と狙われた草食動物のような若葉竜也も凄い。

 
「執着」と「距離感」について考えさせられる。

これが解明できれば、恋愛だけではなく「人と生きること」が、もっときっと楽になる。

 
痛いけれども、そこかしこ懐かしい顔をこの映画の中に見た。

 


以下ネタバレ感想

 

「俺の事、好きじゃなくて良かった。」

 
張り倒したいと思った(笑)

 
テルコは確かに気持ち悪いよ。連絡を待つ事だけが優先で、会社までサボってしまう。会社でも仕事していない。クビになるのが当然。結婚を人生のゴールのように思っている。

なのに。

スミレさんに対するマモちゃんの顔が、丸っきりテルコと同じで笑っちゃう。

 
そんなスミレさんも、バーベキューを「仲間」にすっぽかされる程度の人間関係の中で生きている。決してカッコ良くなんかない。

 
愛に固執しない姿勢を見せている葉子だって、離れていったナカハラをわざわざ繋ぎ止めに行く。罠にかかったようなナカハラが可哀想……だけれども、これも宿命。

 
みんながみんな、愛を求めて行動している。「押し付ける愛」「求める愛」「崇拝と暴君という名の愛」……最後まで誰も抜け出せていない。

 
「そんな恋愛は変だ。」

と、外から言うのは簡単なことで。

本当の愛って沼なんだ。

 

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