『ブロークン』毒の雲

ブロークン ~ Broken ~

   

監督: ルーファス・ノリス   
キャスト: ティム・ロス、キリアン・マーフィ、エロイーズ・ローレンス、ロリー・キニア、ロバート・エムズ
製作: 2012年(日本未公開)

2015年1月11日。DVD観賞

近隣3軒のご近所づきあい…。

モラルに欠ける父親とギャングのようなギャル3人が住む家。
精神薄弱の息子を守る過保護すぎる両親の家。

そして、明るい未来しか想像できない無邪気な主人公が愛する家族と暮らす家。

それぞれの家にそれぞれの事情。
人間も家も一方向からしか見なければ違う側面は見えてこない。

<あらすじ>
11歳の少女・スカンクは糖尿病を患っているが、父親に愛され兄と転げまわる無邪気で幸せな日々を送っていた。
ある日、スカンクは隣りの家の主人・オズワルドが向かいの家の息子・リックを激しく殴っている姿を目撃する。それが原因でリックは徐々に精神不安定になっていった。
学校に入学したスカンクもオズワルドの娘から嫌がらせを受け、幸せだった世界に陰りが見え始める。

大好きな歌、大好きな道、大好きなレンガのお家。
スカンク視点の映像がキラキラと美しい序盤。鮮やかに空や緑を映し出す映像が好み。

しかし、そこからスカンクの世界に「イヤな物」が映り始める。

暴力、嘘、恐喝、セックス、裏切り…。毒の雲。
大人の階段を上るって辛いことよね…。

それでもスカンクは病を抱えているということもあって守られている。
同年代の他の少女たちよりも遥かに純真だ。

オズワルド一家の洗礼を受けて精神病院送りになっちゃったリックを心から心配している。
で、お見舞いに行っちゃったりもしている…。その優しさが…大変な結末へと繋がるんだけれども…。

娘がレイプされたと嘘をつけば確認もせずに相手の元へ殴り込みをかけ、家族を守ってるつもりのオズワルドはもう別格として、完璧な人間など誰もおらず、一番常識人であるスカンクの父親、弁護士のアーチーさえも思春期へと向かう娘を怒鳴りつけたり住み込みお手伝いさんのカシャと出来ちゃったりする始末。

リックの母親に到っては自分はシャワーさえ浴びずにただ息子の心配をしている始末…。

親って存在は可笑しくて哀れで馬鹿馬鹿しいよね、ホント…。
それでも子どもを愛してるんだよってことが凝縮されたラストシーンが好き。

 


以下ネタバレ感想

 

登場当初からクズで乱暴で頭がおかしい印象しかなかったオズワルドが、まさか最後の最後であんな活躍を見せるとは…。

リックの家の荒れようを見て驚愕するオズワルドに「あんたのやって来た事も大概だけどな…」とツッコみつつも、早く助けてくれ~~と祈ってしまったよ。

いや…悲惨なラストを想像してしまっていたので、良かったわ。ホントに。スカンクが死ぬような事にならなくて。

オズワルドも元々暴力は全て娘たちのためのものであって、悪人ではないんだよね。愛情の深さと表現が自己主義で盲目的なだけで。

みんなが実は人間的で、どんな人でも誰かに愛を注いでいるというのが、オズワルド一家に一番よく表れていた。

冒頭のスカンクの楽しそうな歌がラストの笑顔に繋がる。

マイクとカシャは結局どうなるんだろうとか、リック一家は一命を取り留めたんだろうかとか、色々と気になる点はあるが、あの最高の笑顔でもうどうでも良くなる。

子どもは生きて元気に笑っていてくれるだけで、宝物なんだもの。

 

 

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★前田有一の超映画批評★

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