『闇金ウシジマくん 2』たかが5円されど5円

闇金ウシジマくん Part2

  

監督: 山口雅俊   
キャスト: 山田孝之、綾野剛、崎本大海、やべきょうすけ、柳楽優弥、菅田将暉、木南晴夏、門脇麦、高橋メアリージュン、中尾明慶、窪田正孝、希崎ジェシカ、バカリズム、大久保佳代子、キムラ緑子、マキタスポーツ、本仮屋ユイカ、光石研、落合モトキ、徳山秀典、相葉弘樹
公開: 2014年5月16日

2014年5月19日。劇場観賞

原作は真鍋昌平氏による同名コミック。
テレビでは深夜帯で2010年10月期に連続ドラマとして放映。2014年1月期には第2シーズンが放映された。劇場版は2012年にPart1を公開。
全て同じキャスト、スタッフによるシリーズ。

つまり…キャラに親しんでいるファンほど萌える作品。←おいらのための映画~

Part2でも底辺の皆さまのクズっぷりとカウカウファイナンスの冷静な取り立ては健在です。

カウカウファイナンスは丑嶋社長と社員の柄崎、高田、事務の摩耶の4人で営業している闇金業者。
債務者のほとんどは普通の金融会社から借金できなくなったブラックリスト顧客。金利は10日で5割。

連ドラ版でも様々な債務者の生活と借金が膨らんでいく様子を描いてきた群像劇である。

今回の劇場版の主な債務者は無職のヤンキー加賀マサル@菅田将暉、上を夢見るホスト神咲麗@窪田正孝、夢を分かち合うはずだった藤枝彩香@門脇麦、そして、暴走族…というけれども愛車はあれかよ、の愛沢浩司@中尾明慶…。

何だか族のメンバー小さいな…と思ってたら、ホントに子どもじゃん…。
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子供しか率いる事が出来ない器の小ささと落ちぶれよう。
つまり…大人になれない大人ってことだよね。妻子までいるのに。

愛沢の奥さんを演じていた木南晴夏ちゃんが今回も素晴らしい演技と存在感。
個人的には犀原にあの迫力とオーラがほしかった。

ストーリーのほとんどは愛沢を中心に回るので、こいつのクズっぷりがとにかく目につくわけだが…。

自業自得で巻き込まれる事になるマサル。菅田くんのクズっぷりもいいね。この人は好青年やらせてもクズをやらせてもハマるんだ。
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せっかく温情を貰ったのに生かし切る事は出来ない。それは、やはりクズだから。最終的には仕事を金を舐めてる人間がウシジマくんはたぶん嫌い。

夢を見る人間はウシジマくんは嫌いじゃない。それが不相応の夢じゃなければ。
やはり、痛い人間は自分を解っていないんだ…と、このシリーズを見るたびに思う。
不相応の夢は無理を呼び、不必要に金を使わせ周りも巻き込む。
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窪田くんの童顔が、ホストでNo.1になるには無理を感じさせる。その違和感までが恐らく計算なのだろうと思う。無理して勝ち取ろうとする大きすぎる夢。

やっぱりね、人間、地道に働いてナンボだと思う。
愛沢なんか見ていると本当にそう思うもの。何で働かないんだ…「暴走族のヘッド」って職業じゃないよね。

クズの皆さんは、ウシジマくんは汚い事やって楽に稼いでいると思っているようだが、ウシジマくんたちは頭を使い身体を張って働いているのである。

敵対して来る大物と渡り合い、愛沢のようなクズに巡り合えば戦わなきゃならなくなり、逃げる債務者は追いかける…。そして、徹底しているのはとにかく会社を守る事。

今回は…というか、今回も高田がイケメンだわ。とにかく凄い。
あの状況で頭の中にあるのは社長が今どう動いているかという的確な判断と、その間に何万損をしているかという計算なんだから。
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まさにウシジマくんの申し子。
摩耶もね。きちんと金と秘密を守る。会社の危機に乗じて金を持ち出そうなんて人間はいない。
結局、金と仕事に対する社長のビジョンがちゃんと社員に伝わっているんだよね。

柄崎は…まぁいい…。 何も考えていない所が愛おしい。。
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「5円」を大事にしていた人間がその価値を忘れる。
環境の変化がお金の価値を忘れさせる。
忘れた時に、人間は落ちていく。

この映画を怖いと思ったら、「怖さ」は教訓にしなければ。

もっとも…みんなが闇金から借金しなくなったらウシジマくんの商売あがったりだけど。
もしかしたら、ウシジマくんはそれならそれでいいと考えるかも知れない。
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以下ネタバレ感想

 

 

可笑しかったのは、えっ…ストーカー蝦沼@柳楽優弥くん、どうなったと思っていたラストのラストになってのあの展開。

蝦沼、彩香のために麗をやっつけ~のウシジマくんが取り立てのために現れ~の…結果、蝦沼も簡単にぶっ倒れ…。 ←ウシジマくんの目的はただの回収。

笑ったわ。

まぁ…麗の顔は気の毒だったけれども、結果的には無間地獄のような欲望から逃れて生きていける。
彩香も。もうこれ以上ホストクラブに金をつぎ込む事はない。

それでも、みんなウシジマくんに向かっていうんだもんね。

あんたってほんとクズ。生きている意味が解んない。

底辺の闇は深い。
ウシジマくんはそれを飲みこんで生きている。

死ぬ意味も解んねえんだよ。

それでも生きてゆく人たちを滑稽だと苦笑しながら、自分の身に置き換えたら笑えない気持ちになりながら、人間を愛でる作品。

見終わったら、財布の中の五円玉がちょっと光って見えた。

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