『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇』ソロモンの鍵

劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻ノ篇

    

監督: 堤幸彦   
出演: 戸田恵梨香、加瀬亮、向井理、大島優子、竜雷太、北村一輝、栗山千明、香椎由宇、有村架純、遠藤憲一、KENCHI、浅野ゆう子、神木隆之介、城田優、田中哲司、安田顕、真野恵里菜、三浦貴大、イ・ナヨン、渡辺いっけい、森山樹
公開: 2013年11月29日

2013年12月4日。劇場観賞。

「漸ノ篇」を見た時に予想した通りの結末になった。
〇〇レ〇ワー〇ド…がキーワードに出てきたらこうなるしかないだろうし。

しかし、この手の話は名作がたくさんあるので…。

ドラマ版からのファンだった者にとっては、何でこんな事になったんだか…という感想。
もっとも、このドラマの場合はテレビ放送の時から、どこまで風呂敷広げるんだろうという不安はあったんだけれども。

このスタッフの作る物は、2013年現在TBSで放送されているアンドロイドらしきものが色々動き回っているものも含めて小ネタ入れが激しすぎる。

つまり、ふざけすぎ。
連ドラの時はそれも楽しかった記憶があるのだけれども、何だか年々おふざけが過ぎるようになってきた気がする…。

こんな所まで行きつく話にしちゃったなら、最後くらい真面目にやればいいのに。
お陰さまで笑う事も泣く事もできない作品になった。

個人的には連ドラは本当に好きだったので、もうあれで終わった事にしたい。
〇〇レ〇ワー〇ド…なのだから、これは全く違う話という事で。映画は無かった事にしたい。

ともあれ…冒頭のホラー的な不気味さや、終末世界の混沌とした様など映像的には見ごたえがあった。  

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いつも思っているのだけれど、堤監督には一度、きちんとしたホラー映画を1本作っていただきたい。
『サイレン』は見たけれども、あれはゲームベースだし、オリジナルで…(いや、原作つきの方がいいかな えっと…変なネタに走らず本当に恐いJホラーを1本見たい。絶対にいいと思うの。あの量産ニノマエの不気味さを見たら…)
   

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このシリーズの最後がこんな事になっちゃったのは残念感でいっぱいだけれども、当麻と瀬文の絆の深さには感じいるものがある。切ないね。

…ということで…何を書いてもネタバレになるので、後はのネタバレ欄で。
(あ、良い事書いてないので、感動した方は読まない方が… )

    

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ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


当麻の父親が研究していたというパラレルワールドが混ざり合う道がある…というのが結末なのだろうとは予想していた。

考えてもいなかったのは、当麻自身がその「鍵」であったという事。

「湯田」は「とうだ」ではなくて「ゆだ」。
湯田→ユダ→Judah →プロフェッサーJ…ね。いうまでもなくキリストを裏切る「ユダ」である。

でも、この場合はセカイが「神」にあたる者だと思っていたので、最終的には湯田はセカイを裏切るのかと思っていたよ。違うんだ。

上にも書いたけれども、この手の話はいくらでも名作があるので…「銀の三角」だったり「バタフライ・エフェクト」だったり(あれはパラレルワールドとは言えないかな…)「まどか☆マギカ」だったり…。

ラスト、違う世界の天使みたいになってしまって冥界に漂っている当麻は、ホント、まどかかと思った。
「まど☆マギ」のあのシーンは滂沱の涙と共に見たのに、この映画のあのシーンはどういう気持ちで見たらいいのか解らなかった。

ただ、刑事らしき人たちにボコボコに蹴られたり殴られている瀬文を見て、この新しい世界には法律がないんやね……とは思った。

実は、見ている間にどんどんセカイの言い分の方に共感してきてしまって…それで当麻の方を応援する気がなくなった、というのもある。

自然を汚し、自分勝手に好きな事をし、争いを起こし、差別するこんな下等な人類。
いつか罰が当たるのは解っているわけだから、これが終末ならそれでもいいんじゃないかと。
そう考えると当麻たちが守ろうとしている物って一体何なのだろう、と。

この人たちが全知全能の神だというのならばそれがファティマの予言通り終末なのだから、滅びても仕方ないんじゃないかと。

そんな風に思ってしまったのである。

結果、瀬文は裁判も受けずにボコボコ殴られる世界に飛ばされる。
この人たちのいる世界は本当に救うべき世界だったのか。

ラスト、当麻の姿を見つけることが出来る瀬文と当麻の繋がれた腕。
そこだけ感動できた。

やるせない感動だけど。

とにかく…こんな展開になっていても、どうしてもふざけたいんだな…と思うと時々イラッとさえした。

「漸ノ篇」の感想にも書いたけれども、お湯をかけて生き返るというマンガみたいな吉川がずっと行動を共にしているせいで、真剣に見ることが出来なかった。
北村さんは大好きだけど、吉川はシリアスなシーンにホント邪魔。気が散る。

勢ぞろいしたスペックホルダーも活躍もなく、ニノマエこれだけ~と思うとそれも情けなく…。

セカイが手をかざせば消えていくんだったら、さっさと当麻も消せばいいじゃん。長いんだよ。と、何度も思った。

途中で当麻が寝ちゃってニノマエが起こすシーンがあったけれどもこっちの方が寝たいくらいだよ。

「漸」もそうだし「爻」も削れる所がいっぱい。「結」は2本に分ける必要は全くなかったはず。

「ケイゾク」まで絡めようとしたラスト。う~ん…あれじゃアサクラでまた続けようとしているようじゃないか。(ってか、津田は結局何だったんだ…)
せめて中谷さん@柴田を少しでも出してほしかった。そういう関連ネタなら歓迎する。「ATARU」ネタなんか要らないでしょ。

青池のあの英語混じりなんだかよく解らない日本語も、娘を守ろうとする母親の真剣なシーンに水を差す…。泣けないんだよね。ああいう事されると…。。

あれ、なんか書いてる内に愚痴がどんどん噴き出してきた。どうした事だ。

とにかく~…壮大すぎるストーリーは名作にはならず、結果、ドラマファンにまでガッカリ感を残すと…。
引っ張りすぎるとこうなるよ、という悪しき例に終わった。

私は、連ドラの思い出だけを胸に生きていきます。刑事魂。

「劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻ノ篇」公式サイト

 

 

 

 

 


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