『観相師 -かんそうし- 』癸酉靖難と千里眼

 

観相師-かんそうし- ~ 관상 / THE FACE READER ~
   

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監督: ハン・ジェリム   
キャスト: ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、ペク・ユンシク、チョ・ジョンソク、イ・ジョンソク、キム・ヘス、チョン・ギュス、キム・ウィソン、チェ・サンウ、キム・テウ
公開: 2014年6月28日

2015年1月21日。DVD観賞

15世紀、李氏朝鮮王朝・首陽大君(世祖)のクーデター事件に、「観相」を見る男というフィクションを入れ込んで絡ませたストーリー。

観相描写は面白いが、占い中心に描いた物語ではない。あくまでも歴史大河。

<あらすじ>
15世紀半ばの朝鮮王朝。キム・ネギョン(ソン・ガンホ)は、その人の顔から性格や寿命まで見抜く観相師として田舎に暮らしていた。ある日、宮廷で起きた殺人事件の真犯人を言い当てたことで人事官に抜てきされる。ネギョンは王の弟・首陽大君(イ・ジョンジェ)が逆賊の相であると判断。実は、首陽大君は新しい王の暗殺を企てており……。(シネマトゥデイより引用)

コメディなのか、というほど明るく始まるストーリー。義弟・ペンホンとキム・ネギョンのやり取りは微笑ましいほど勢いがあって騒々しい。

王の独裁権力に支配される時代。下々の者は少しでも豊かに暮らしたいだけ。成り上がれる機会があれば掴みたいだけ。朝廷でどんな権力争いが行われているか、それが自身の身に影響を及ぼすかなど考えてもいない。

ネギョンも、ただ貧乏暮しから脱したいだけだった。逆臣として失脚した曾祖父のせいで落ちた家名を盛り立て、義弟と息子と幸せに生きていきたいだけだった。

人の顔を見るだけでその性格や運命まで見抜く才能。千里眼。

「濃い眉に小さな丸い目は商才がない」とか、黒子1つで印象と運が変わるとか、観相についての描写も楽しいし、主人公たちがこの後どうなるのかというサスペンス的なハラハラ感もある。

癸酉靖難という史実を知っていれば結末は見える。
けれども、そこに到るまでの物語構想が素晴らしく、139分、のめり込んで見た。

テロップで語られるラストのオチまで素晴らしい。

「観相」という占いと、1人の人間の成り上がり人生と、王朝クーデターのドロドロ物語。

コミカルな顔から不器用で甘い父の顔、人情、焦り、憎しみ…ソン・ガンホの演技を心行くまで堪能し、首陽大君・イ・ジョンジェのクールな残虐さに魅入る。

史実とフィクションの融合が本当に上手い。韓国映画はまた1本、すごい歴史映画を作ったな。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


ジニョンが可哀想で。
だって、最後の言葉がベタな親孝行の遺言なんかじゃないんだ。「父上、助けて」だよ。子どもの言葉だ。
天に響くネギョンの慟哭。

「官吏になると災いを招く」。予言は当たってしまった。

ネギョンが見抜いた「人を殺めてでも王座を狙う相」の男は本当に残酷な男だった。

観相を読むのに、こういう未来は読めなかったのだな…とは思った。都に出て、あっという間に人材登用の役にまで就いて。本人も有頂天だった。だから大事なことを見ていなかった。

「変わりゆく波だけを見て風を読まなかった。波を起こすのは風なのに。人の顔だけを見て時代を読まなかった。」

情け深かった文宗の想いが綴られた遺言は守れず、端宗は王位を追われ、我が子・ジニョンは無残に殺され、ペンホンは声を失った。

お前は首を斬られる…という予言を与えられたハン・ミョンフェが、4代もの王に仕えて老いて亡くなるラスト。

あの男の観相は外れたのだ。

燕山君の母・尹氏の死に関わり墓を暴かれて首をはねられたという下りは鳥肌が立つほど。

そこから入る明るい曲調のED…
千里眼の予言通り首をはねられたミョンフェを嘲笑っているようにも聞こえた。

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