『世界にひとつのプレイブック』より高く!

世界にひとつのプレイブック~ SILVER LININGS PLAYBOOK ~

     

監督: デヴィッド・O・ラッセル   
出演: ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーバー、クリス・タッカー、アヌパム・カー、シェー・ウィガム、ジュリア・スタイルズ、ブレア・ビー
公開: 2013年2月22日

第85回アカデミー賞・主演女優賞受賞(ジェニファー・ローレンス)。

2013年2月25日。劇場観賞。

第85回アカデミー賞の受賞速報が伝わる中、WMCのサービスデーを狙って見に行きました。
特に、作品賞にノミネートされていたから、という理由ではなく、予告が面白そうだったから。そして、観賞前にはまだジェニファー・ローレンスの受賞は知らなかったので、かえって良かったかな…。知っていたら、構えて見てしまっていたかも知れないから。

あまりラブストーリーには感心のない方ですが、普通に楽しくて気持ちのいいお話でした。
ラブストーリー…よりは人間物語かな。
心に病を抱えた人たちが、前向きになれる出会いをし、前向きに生きるための手段を見つけ、お互いを癒す事を知る。癒し探し物語。

妻を失ったパットと夫を失ったティファニーが出会い、過去に拘り続けるパットを自身も苦しみながら引っ張り上げていくティファニーの健気さ。

精神を病んだ人を題材にした映像作品だと、夢想的、幻想的な映像表現が使われる作品が多いですが、この映画ではそういう表現はありません。
ストレートで現実的。

演出で表現されないとなると役者さんの演技で変わった人格を表さなくてはならないワケで、ブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスがノミネートされ、ジェニファーが受賞したのにも納得できます。2人とも、とにかく素晴らしかったので。

ティファニーは常に挑戦的な表情。猫系で、もっと大きな鋭い動物…チーターみたいな。常に身構えた感じ。だからこそ、弱った表情にはグッと来るのでした。
  

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受賞は逃したけれども、個人的には実はジェニファーよりもブラッドリー・クーパーの方が凄いと思った…だって本当におかしいんだもの…。
 

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浮気して去って行った妻に拘り続け、接近禁止と言われているのに職場や家の周りに行っちゃう。必ず妻を取り戻せると信じている。夜中に大声で叫ぶ。感情をセーブできない。
…これって本当に妻が居なくなったせいでこうなったの
どうも、そう見えなくて…。

だって、元々病気だったんじゃないのかな、と思うのは、父親が絶対的に変だから。
この父に育てられたらおかしくもなるだろう…。
縁起担ぎで息子の行動を縛ろうとし、賭けに負けたら息子のせいとか、ありえない…。
  
素人目の個人的印象としては、これが作品賞にノミネート…というのは、少々意外な気もします…。同じ病気を抱えた方は、こんなに簡単じゃない、と思うのではないかと。

そういう目を抜きにして観れば、勢いも高揚感もあり楽しめる映画でした。

まぁ…映画なんだから楽しく見れればいいじゃないかと…。ラストもストンと心に落ちてくる気持ちの良い作品です。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


上にも書いたけれども、父親が…ひどい。
パットは確かに変わってるけれども、妻のせいというよりは家庭のせいだろ…と思わせるひどさ。
自分の事しか見えていなくて妻に固執し続けるパットは、リモコンの位置まで神経質に気にし、縁起に固執し続ける父親にそっくり。これはまさに、血のなせる病。

それを啖呵を切って打破していくティファニーが爽快だった。
彼女の方はね、夫を亡くして会社中の男(女も )と寝たから病院に入れられたという…こっちは寂しさが成せる病かな、と納得できました。

一生懸命パットの気を引いているのに、戻らない妻の方ばかり心が向いているパットにイライラしたり…でも、そのパットもティファニーに引かれている様子は見えたり。
ダンスのシーンは、全くウキウキできなかった。
ティファニーは飲んでいたし、失敗するのかと思っちゃった。

最終的には親父が良い事言って、パットもとっくに目覚めていたようで、幸せなティファニーが見れて良かった~。

ああ、ラブストーリーって気持ちいいモンなんだな、と思えました。

心の傷を癒すのは、前向きな心で引っ張っていってくれる人。
そう思えるストーリーでした。

・「世界にひとつのプレイブック」公式サイト

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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