映画@見取り八段

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『カエル少年失踪殺人事件』憶測ほど残酷なものはない

カエル少年失踪殺人事件

~ children… / 아이들 ~

 

  

監督: イ・ギュマン   
出演: パク・ヨンウ、リュ・スンリョン、ソン・ドンイル、ソン・ジル、キム・ヨジン
公開: 2012年3月24日



2012年12月13日。DVD観賞。

韓国で1991年3月26日、「カエルをとりに行く」と言って遊びに行った5人の小学生が失踪し、そのまま行方知れずになった。実話ベースの物語。

「城西小学生失踪事件」は、韓国三大未解決事件の1つとされる。あとの2つはポン・ジュノ監督が「殺人の追憶」で映画化した「華城連続殺人事件」と、パク・チョンピョ監督が「あいつの声」(未見)で映画化した「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」

実話ベースといっても、ほとんどの部分がフィクションだと思われる。どこからどこまでが実話に沿っているのかは、ちょっと解らない。

事件を詳細に追った話なのかと思っていたけれども、見てみたらそうでもなかった。
主人公は事件の取材に関わったテレビ局の人間カン・ジスン。名を上げたい男の出世欲やマスコミのいやらしさがタップリ描かれる。

子どもを失う悲しさや苦しさ、捻じ曲がった推理と情報を通して、マスコミ報道の在り方に一石を投じる問題作…。

…なのかと思っていた。前半部分では。

ここまでだったら、「マスコミ取材の在り方に一石投じる佳作です。」とかご紹介して〆ていたと思うんだけど、映画はこの後もダラダラと続く。

その続く部分が何だかもう、明らかにフィクションだよねという感じなのである。

個人的にはその真ん中部分をバッサリと削っていただいてラストの部分に繋げれば、ただもう素直に涙する切ない話になったのに…。
そういう意味で、残念な作品になってしまった感が否めない。

とは言え、やはり親がいつまでも事件に縛られる気持ちは痛いほど理解できたし、若さゆえ自分の名を上げるために事件を利用した男の後悔も解らなくはない。

事件に関する部分は、やはり涙なしには見る事が出来ないものだった。
子どもが居なくなった悲しみだけではなく、周囲の誤解の目まで受ける親の苦しさ。

出世のためなら捏造も厭わない若きテレビマンと後悔の気持ちを背負って生きる中年男を通して演じたパク・ヨンウの演技が素晴らしい。
特に前半部分の、いかにも汚いマスコミ野郎の薄笑い、といった表情は殴りたくなるほど。

それにしても、どこの国でもマスコミってこんななんだねぇ…。
もちろん、真摯な気持ちで事件を追っている人だっているだろうけれども、数字を取ろうとか賞を取ろうとか、そういう気持ばかりが先行した人間の番組作りは危険だ。

見る方も考えなくてはいけないね。今、報道されている事が真実なのか否か。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


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家の近くの山から出てきた5つの白骨遺体。ジョンホが巻いていた赤いマントが切ない…。

ファン教授が指摘していた「ジョンホの母は、なぜ2ヶ月ぶりの息子の電話に対してそんなに冷静だったのか」
その理由に泣いた。

電話はいたずら電話だった。だから母は逆探知ボタンを押さなかった。でも、警察にはジョンホからの電話だと嘘をついた。
「ジョンホからの電話だったと言えば探し続けてくれるかもしれないと思った。」
この親心…。

事件から月日が経つほどに警察も世間も居なくなった子どもたちを忘れていく。
親の時間はいつまでも止まったままなのに。

その胸をえぐるような苦しみが理解できて泣いた。

なのに、そんな親の心を踏みにじるやり方で自分たちの立身出世を企むハイエナのような男たち。
信じ切っていた教授の推理が全部ただの思い込みだと解り、初めて自分のやった事に絶望するジスン。

パク刑事は異動になり、俺は呼び戻された。
待ち望んだ現場復帰が左遷のように感じた。
それでも人生は続いた。


あそこで終わってれば名作だったのに……。

刑事が、昔馴染みだからと言って一般人に怪しい男を教えたり、容疑者候補の家に勝手に入って証拠品を探したり…ないよね。汗.gif

どこまでが事実でどんな取材をして作ったのか知らないけれども、そういう絶対に「ないよね…」と思われる部分にガックリしてしまった…。

白骨体が出てきて、少し犯人を匂わせるシーンでも作って、ラストの時効成立に繋ぐ…でいいと思うんだけど…。
そういう部分が本当に残念だ。

亡くなったジョンホの父さんが、5人の子どもたちと山へ去っていくラストシーン。
天国で親子は安らかに暮らしているんだ、という願いと祈りがこもったシーン。


実際の事件は2006年3月25日に時効が成立。犯人は今だに見つかっていない。

【関連記事】
・城西小学生失踪事件 by Wikipedia

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「カエル少年失踪殺人事件」公式サイト

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