『MAMA』過ちの結果

MAMA
~ MAMA ~

   

監督: アンディ・ムスキエティ   
出演: ジェシカ・チャステイン、ニコライ・コスター=ワルドー、ミーガン・シャルパンティエ、イザベル・ネリッセ、ダニエル・カッシュ、ハビエル・ボテット、ジェーン・モファット
公開: 2014年5月17日

2014年7月28日。DVD観賞。

ギレルモ・デル・トロ制作総指揮のホラーである。

『永遠のこどもたち』ほど胸に迫る感じはないけれども、泣いたよ。随所でウルウルした。

泣きながらビクッとなったり泣きながらツッコんだり、ツッコミながら泣いたり…
だって、本当にそんな感じだったから~…。

精神を病んだ投資仲介会社の経営者・ジェフリーは共同経営者と妻を殺害し、幼い2人の娘を連れて逃亡。行方知れずになった。
5年後。兄の行方を捜し続けていたジェフリーの弟・ルーカスは、山小屋で動物のように育った2人の姪、ヴィクトリアとリリーを発見する。
子育て経験のない中、姪たちと暮らしたいルーカスは、心理研究家のドレイファス博士が用意してくれた家で恋人のアナベルと子どもたちを育て始める。

発見された子どもたちがガリガリで真っ黒で素早すぎて、まずビクッとするわけだが…それは別にホラー演出というわけではなく、とにかく可愛そうなのだった。

オオカミに育てられたわけではないけれども、5年間どう暮らしていたのかオオカミ少女のようになってしまっている子どもたち。

別にルーカスと結婚しているわけではなく、子ども好きでも無さそうなアナベルがひたすら気の毒に思えた。

しかも…その設定から『ダーク・フェアリー』を思い出しちゃって、あんな納得いかない結末になったらイヤだなぁ、と嫌な予感が走る。

だって、姪たちと一緒に暮らしたいのはルーカスの自己満足だもんね。自由に音楽を楽しんで生きて来て結婚する気もなかったのに、突然2人の野生動物のように懐かない子どもを育ててくれと言われても~…。

それでも、ちゃんと関わって行こうとするところが偉い…偉すぎると思う。ルーカスのことが本当に好きらしい。まぁ…イケメンだし。(パパもおじさんもイケメンだ)
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綺麗にしていればものすごく可愛いヴィクトリアとリリー。
この子たちが可哀想なところから物語は始まるので、同情と切なさで溢れている。叔父であるルーカスが心からこの子たちを愛している様子は伝わるので、そこはホッとするところ。
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オオカミ少女を観察したい大人の欲も加わって、ホラーじゃなくても普通に話に入り込む事は出来る。けれども…ホラーなのである。

一体、何者が彼女たちを育てていたのか。彼女たちが「ママ」と呼んでいるものは何なのか。
姿かたちがハッキリと見えるまでは、結構ドキドキするシーンの連続。
何度、志村うしろーーーーー!!と叫んだことか……。←いや心の中で。
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タイトルが「MAMA」であるから、当然話は母性の方に向いて行くわけで…ルーカスおじさん、本当にイケメンで優しくて良い人なんだけどさ…やっぱりちょっと残念なんだよね。

血のつながりもなく子ども好きでもなく、ただルーカスに協力してちょっといい家に住めるだけのつもりだったアナベルが子どもたちと深く接していく事になるのだった。
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冷たく澄んだ映像は上質なクラッシックホラーを思わせる。夢で過去を暗示するシーンはアニメチックなのに妙にリアルでちょっとギョッとする。

個人的にはクライマックスはあれでいいのか……って気もするけれども…ファンタジーっぽいと言われればそれも納得だし。

少なくとも「もう一度見たい」気にさせてくれるホラーではある。
この切なさと品の良さが、やっぱり好きだ。

 


以下ネタバレ感想

 

 

大叔母様、わざわざ夜中に来たから何かいい働きしてくれるのかと思ったら、あっさり憑りつかれて終わっただけで笑える…。

『インシディアス2』と連日で見たので、ほんっとーーに男って役に立たないよね…という感想になってしまうわけ。

結局、ルーカスったら入院して子育てはアナベルに全て任せ、肝心の乱闘シーンでも早々に気絶しちゃうし…私だったらキレて出ていくわ。

子どもは好きだけど、いうこと聞かない四足歩行の子どもなんて手に負えない…おまけに得体の知れないMAMA憑きだし~。

ドレイファス博士が「乖離性人格障害」だと診断していたようなので、そういうオチもありなのかな…と、ちょっと思っていた。けれども真っ直線に霊だったね。しかも…ここでも霊はクローゼットの中にいるのだった。海外の大きな屋敷のクローゼットはナルニアにも繋がるし霊界とも繋がる。

山小屋に連れて来られた時、赤ちゃんだったリリーと違ってちゃんと言葉も理解していたヴィクトリアは年が少し大きいだけに「ママ」に対する感謝も愛情もあるけれども異界のものだとも理解している。

アナベルの愛情にも応えたいと思い始めてからのヴィクトリアの葛藤が切ない。

MAMAとは、1878年に閉鎖された精神病院の患者だった。
引き離された自分の赤ちゃんを取り戻すために病院の職員を殺害して崖に追い詰められ、子どもと共に飛び降りた可哀想な女。

真実を夢で知るシーンや赤ちゃんの遺骸を探し出してママに差し出し、呪いを解こうとする辺り、ちょっと『リング』を連想する。

ただMAMAの姿がよく見えない間は恐いんだけど、ハッキリと見えちゃってからの映像はちょっと…まぁ…ファンタジックでいいのかなとも思うけれども好き嫌い分れると思うの…少なくとも恐さは激減だよね。

クライマックスのママは『コープスブライド』かとツッコんだ。
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上にも書いたけれども、ラストはもしかしたら『ダーク・フェアリー』みたいにアナベルが子どもたちを救うために自ら犠牲になるのでは~と嫌な予想をしていたので、そうはならなくて良かった。

けれども、リリーだけがママについて行っちゃうという結末はまた切ない。
ただただルーカスとアナベルの元に残されたヴィクトリアの幸せを祈るばかり…。

・『MAMA』公式サイト

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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