『北のカナリアたち』バイオリンの不安定な調べ

北のカナリアたち

   

監督: 阪本順治   
キャスト: 吉永小百合、柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太朗、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平、石橋蓮司、菅田俊、藤谷文子、高橋かおり、駿河太郎、伊藤洋三郎、福本清三、塩見三省、小笠原弘晃、渡辺真帆、相良飛鷹、飯田汐音、佐藤純美音、菊池銀河
公開: 2012年11月3日

2013年12月15日。テレビ朝日地上波放送観賞

公開当時、1000円で見られる券を貰っていたにも関わらず行かずに終わっていたのは、主役の方の作品は大抵「主役の方のための作品」なのでつまらない物が多くて…ぁ、ファンの方、すいません。

今回は湊かなえ原作作品という事で惹かれる部分もあった事はあったんだけど…。

東京で図書館司書をしている川島はるは、20年前に北海道最北端の離島の小学校分校で教師をしていた頃を思い出す。
その時の6人の教え子の1人、鈴木信人が事件を起こした事を知ったからであった。
はるは自分が島を去った20年間の思いを生徒たちに伝えるべく再び島へ行くことを決意する。

予告でも圧倒された木村大作さんが映し出す北海道の映像、子役さんたちの歌声の美しさ、森山未來くんの演技の迫力……
…は、素晴らしかった。

音楽はヴァイオリニストの川井郁子さん。
ヴァイオリンが奏でる不安定な調べが極寒の大地の映像と共に引き裂くように心に残る。

ストーリーは湊かなえさんらしいモヤっと感が残る物…だけど、またこのネタか…っていうのはある。

原作未読なので何とも言えませんが、ストーリーそのものにいっぱい言いたい事がある…。
それとも、やっぱり主役の人のために色々と改変されてる…ぁ…ファンの方すいません>

子どもの時に心に負った傷はそのまま成長の妨げとして残る。
それが、たとえ自らが負わせた傷であっても。

子どもたちのために始めたコーラスであり、その歌声は本当に素晴らしかったのにね。

でもさ~……とりあえず…トオルよ……。

風景映像の素晴らしさを考えると劇場で見たかった気もするが、内容を知ってしまった今となっては特にDVDで見直そうとも思えない…まぁ…北の大地の映像は予告でも見られたからいいか…。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


原作は湊かなえ氏の『往復書簡』。(「原作」ではなくて「原案」らしいですが~……)
地上波放送だったのでツイッターで実況入りながら見ていたんだけど、原作既読の方々にとっては、結構ブーブーな出来だったようで…。

当方は未読なのでよく解りませんが、20年前の先生は別の女優さんで良かった気がした…でも、この方の主演作だからそれは許されないんですよね。

個人的には壇れいさん辺りが無理なく20年前に合っている気がするんだけど、20年前を別の人が演じてしまったらこの映画のほぼ全てだもんね。

原作知らずの身からすると、ホントに不倫ネタ多いなぁ…と…。
主人公としては苦しんでいる人は放っておけない精神で救うつもりだったんだろうけれども、度が過ぎた。

まぁ…旅立つ時に間に合いたい気持ちは解るけどさ。先生、頼むからバーベキューの間は生徒たちの側から離れないで~~。危ないから。危ないから。

子どもたち自身が抱えていた事情が傷を広げていき、取り返しのつかない事件を起こす。

自分がソロを歌うと結花に言った真奈美。
結花の母親に恨みがあったから結花に酷い事を言った直樹。
そして、飛び込みは自殺でも事件でもなく、純然たる事故だった結花。

誰が結花を突き落したのか
というミステリーは結局は消えた…。
結花を助けるために、はるの夫は水死したのに。

その夫も実は末期の重病で、どうせ助からない命を犠牲にした上、妻を愛人に差し出そうとしていたという…何だか切ないというよりも出来すぎて恐い。

先生のダンナさんを死なせたのは自分。
先生を島から追い出したのは自分。

多くの生徒がそう思い込んで20年を生きてきた。辛い。

「歌を忘れたカナリアは何を考えたのでしょうか」

宿題の答えは、前を向いて生きていくという事。

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象のロケット
★前田有一の超映画批評★

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★★★邦画・か行日本映画

 

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

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