『まともな男』いたって「普通」で「まとも」

まともな男

原題 : ~ Nichts passiert ~

作品情報

監督・キャスト

監督: ミヒャ・レビンスキー
キャスト: デービト・シュトリーゾフ、マレン・エッゲルト、ロッテ・ベッカー、アニーナ・バルト、マックス・フーバッヒャー、ステファヌ・メーダー、ビート・マルティ、オリアナ・シュラーゲ、テレーゼ・アフォルター

日本公開日

公開: 2017年11月18日

スイス映画賞 最優秀長編映画賞受賞

レビュー

☆☆☆☆

観賞: 2018年11月18日 DVD

 

原題の「Nichts passiert」=「何も起こらない」……何事もない。に、ゾッとする。

何事もなかったわけじゃない。「ない」と思いたいだけじゃ……。

 

◆あらすじ
中年会社員のトーマスは、休暇に家族全員でスキー旅行に行くことにした。しかし、妻とは長く倦怠期が続いており、娘は反抗期。さらには成り行きで上司の娘であるザラも一緒に連れて行くことになる。初日の夜、ザラが行方不明に。トーマスは街角で悲壮に暮れるザラを発見するが、彼女は「レイプされた」と告白する。警察に行こう提案するも、本人は行きたくないと(Filmarksより引用)

「こういう話」だと脳内で想定した展開が覆される

いわゆる、結末の見えない展開。

 

主人公は、見ている限り、妻に弱くて娘に甘い「普通」の「現代のお父さん」である。

しかし、見ている内に「普通」の定義が崩れて来る。

そもそも、普通って何だからの……

誘った女が悪いのか

有名タレントの「性の不祥事」が暴露されるたびに、ネット上で騒がれる「行った女が悪いのか」「やった男が悪いのか」。

 

ああ、そういう話なのか。「誰かが嘘をついている」。

 

「普通のお父さん」には部が悪い展開……。からの……

人間は信じたいものしか信じない

だから、そうするのか!!

あっ!!と言う展開が待っているので、後はネタバレを読まないで見ることをお薦めします。

 

うーーん……気持ち悪いっ!!

スイスの飲酒年齢は16歳

お国柄で色々と気になる点は知っておいた方がいいかも。

アルコール度数15%以下の醸造酒や18%以下のワインは16歳以上、蒸留酒は18歳以上から酒類の購入が認められている。ティチーノ州では18歳のみ購入・飲酒が認められている。また17歳未満が国外から酒類を持ち込むことはできない。

スイスの飲酒年齢・喫煙年齢 | トラベルタウンズ海外旅行

スイスの飲酒運転事故率は世界レベル最悪なのだそうで、国も悩んでいるらしい……いやいや、悩んでないで改正すればいいのに(汗)

 

しかし、この映画の場合は……

「酒のせい」ではないなぁ……。

 

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以下ネタバレ感想

 

初めは、気の小さな「普通の男」が、小悪魔の秘密を抱え込んだことが発端で巻き込まれていく物語なのだと思っていて、ちょっと『記憶探偵と鍵のかかった少女』のアナを思い出していた。

つまり、よく出来たハニートラップ的少女なのかと。

 

変な秘密を一人抱え込まされ、娘はワガママ、預かった子は小悪魔、気の毒すぎる……と、同情していたのに。

 

デリケートな女子の身体のことなんだから、最初から妻にだけは相談しておけば良かった。

冷え切った夫婦関係や、繕った家族関係が元凶。

 

……とも言い切れない結末だった。

 

結局「普通」でも「まとも」でもないじゃないか、とゾッとしたのはセヴェリン親子を大暴走で追いかけ始めた時。
 

この段階で「セラピーを受けているくらいで……人間には、どこから「普通」などという境界はないですよね?」などと言えなくなった。

 

酒のせいでも、過去のせいでもなくて。

あんたは「まとも」じゃない。

 

「君が話してしまったら彼の人生は終りだ。例え無罪だったとしてもだ。」「多くの人が悲しむ。」と、ザラに自分の都合を押し付ける。
 

工作が上手く行かなかったから始末しようとする。
 

とにかく、邪魔をする者は消そうとする。
 

車の事故を起こしてセラピーに通っていた事を妻にも話していなかった。

保身のための嘘を重ねると、人生こうなる。

 

つまり、この男、虚言癖

全ての犯罪者の大元がコレだ……。

 

この先、一体どうなるのか、思い通りにならなくなったら家族はどうなるのか。一蓮托生の道なのか。ラストドライブの表情まで不気味。

 

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