『デビルズ・ダブル-ある影武者の物語-』インシャラー、神の意のままに

デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-

~ THE DEVIL’S DOUBLE ~

            

監督: リー・タマホリ   
出演: ドミニク・クーパー、リュディヴィーヌ・サニエ、ラード・ラウィ、フィリップ・クァスト、ミムーン・オアイッサ、ハリド・ライス、ダール・サリム、ナセル・メマジア
公開: 2012年1月13日

2013年1月31日。DVD観賞。

かのイラク元大統領サッダーム・フセインの長男・ウダイ・サッダーム・フセインの影武者であったラティーフ・ヤフヤーの自伝を原作とした実話ベースの作品。
…という事だけど…本当にほぼ実話なんだろうか、と思える部分が多かった。

サダム・フセインは当然よく知られた名だけれども、息子のウダイには全く無知だったので、それなりに面白かったけど…見事な鬼畜ぶりですね。

権力を行使して、瓜二つの一般人を悪夢のような地獄生活に引きずり込む。
豪華な部屋と豪華な調度品、ブランド装飾品に囲まれた自由のない生活。

脅されつつも自分を保って生き続けるラティフと、鬼畜なウダイの二役を演じたドミニク・クーパーが素晴らしい。

顔は同じ。ウダイは少し声が高い。ラティフには怯えた空気とあきらめが同居している。
弟や父にはひと目で見破ることができる。

ラティフはイランで死んだ。

そう言われた日から、自分が失くなったラティフ。
それでも、精一杯の抵抗をして自分らしく生き延びようとする。

その抵抗が見どころなんだけど…どちらかというと、ウダイの鬼畜っぷりを見る映画かな。

特に心に響くことはなく、ウダイという人間を影武者の目線から描いた作品。
ウダイ・フセインの伝記だと思って見ればいいと思う。

その割には…ちょっと終盤がアクション・サスペンス映画っぽいノリになってる気がするけど…。

あの辺は、実際どこまでが真実なのか、ちょっと気になった。

Wikipediaを読んだら、本当にウダイはキチだということがよく解ったので 、影武者関係なくウダイの伝記を描いた物もちょっと見てみたい気がする。

【関連記事】
ウダイ・サッダーム・フセイン by Wikipedia

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

ラティフが連れてこられたのも、もう二度とラティフとして生きていけないのも、全ては
「インシャーラー」「神のおぼしめし」

ウダイがあんな男になったのも、「インシャーラー」。
女子学生まで連れてきて犯して殺しちゃうんだから、もう権力以上にその狂気が怖い。

父・サダム・フセインがまた、この気狂いの息子に何も言わないんだよね。渋い顔はしてるのに。「生まれた時に殺しておくべきだった」
と言いつつ、何もしない。

何か、納得いかなかったのは、あの女だよ…。
サラブがねぇ、どうしてもそんなに魅力的に見えなかったの。目化粧すごすぎるし。
それは、お国柄の好みなのかしら~。

散々、飼殺して苦しめて、それでもウダイはラティスに死は与えない。
「愛してる」というのは案外本音で、寂しい人だったのだろう。

その辺、もっと深く描いてくれれば、のめり込めたかも…。

逃げ出したせいで父を殺されたラティスが、新婦をウダイに犯されて殺された男と協力してウダイを襲う顛末の部分は、あまり「実話ベース」に思えなかった。

でもま…多くを傷つけた男は自分自身もこの後、悲惨な最期を迎えることになる。

それも「インシャーラー」神のおぼしめし。

・「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」公式サイト

 

 


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