『ストロベリーナイト』「インビジブルレイン」赤・真実・隠ぺい・心の闇…

ストロベリーナイト

作品情報

監督・キャスト

監督: 佐藤祐市
キャスト: 竹内結子、西島秀俊、大沢たかお、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、津川雅彦、渡辺いっけい、遠藤憲一、高嶋政宏、生瀬勝久、武田鉄矢、三浦友和、染谷将太、金子ノブアキ、金子賢、鶴見辰吾、石橋蓮司、田中哲司、岡本玲

日本公開日

公開: 2013年1月26日

レビュー

☆☆☆
2013年1月30日。劇場観賞。

 
「ストロベリーナイト」は、2012年第1クールにフジテレビ系列で放送されていた連続ドラマである。

スタイリッシュな映像と演出、クールで沁みるストーリーと毎回残る余韻、レギュラー陣の徹底したキャラクター作り…。
量産しすぎで飽和状態の刑事ものドラマの中で、一際異彩を放つ名作だった。

連ドラ最終回の時点で映画化されることは決まっており、ファンは公開の日を待ち望んでいたのである。ホントに。

あらすじ

警視庁捜査一課の刑事・姫川玲子率いる姫川班の管轄で連続殺人事件が発生し、警察は合同特別捜査本部を設置する。やがて姫川のもとに「犯人は柳井健斗」という垂れ込み情報が入るものの、上層部から「柳井健斗には触れるな」という不可解な指示が下る。納得できない姫川は単独で捜査を進め、その過程で牧田という男と出会うが…(映画.comより引用)

 
映画の原作は、誉田哲也氏の小説「姫川玲子シリーズ・インビジブルレイン」

単独行動と菊田の切なさ

連ドラファンとしては、久しぶりにみんなで動く姫川班を見たいところだけど、この作品の中では姫川は単独行動が多い。

…事情があって、秘密で捜査しているので。

その姫川を影で見守る菊田を始めとする姫川班の面々が切ない。

でも、姫が何をしていようが信頼してサポートしている様子が、またいじらしいんだよね…。いつも思うけど、みんな姫が飼ってる忠犬みたい。

特に今回の菊田の切なさときたら…

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姫のための自分も単独行動。泣けるよ。

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しかし、今回はもぉ~牧田(大沢たかお)よりも姫川班よりも菊田よりも(ゴメンね )日下さんだった。

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姫が何を探っているのか知りながら、影になって姫と姫川班を支える…。
ドラマシリーズ最後の「ソウルケイジ」で得た、職務とモットーに忠実ながらも姫川を尊重する父親のような印象…。

カッコいい。カッコよすぎます。日下さん!!

今回は、いつもながらのえげつなさながらも、情け深いガンテツとか、いつも上ばかり気にしてる橋爪(渡辺いっけい)もカッコ良かった。
記者会見シーンでは泣いたよ、あたしゃ…

連ドラ見には満足な一本

彼らが守りたかったものは、露見したら人を傷つける真実。

そして、毎度の事ながら上層部のそれと下のそれは全く違うのだった。

そして、姫川の過去もえぐり出し思い出させる事件の真相。

ラストは、余韻を残してバッサリ終る。
それも、いつも通り。

連ドラ未見でも、恐らくは普通に1本の映画として楽しめる作品だと思う。

けれども、ファンとしてはやっぱり連ドラを見て充分に各キャラを愛してから見てほしいところ。連ドラ再放送中の地域は、ぜひチェックしてからお出かけ下さい。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね

 


以下ネタバレ感想

 

ヤクザも警察も、みんな感情がある人間。

今回は、組対四課という暴力組織専門の見慣れない班も一緒に活動。
一緒というか…最初の捜査会議から早くも対立しちゃうんだけど。

組対は、殺しをただの暴力団の跡目抗争だとしか見ない。

殺される人間にも心があります。

という姫川の事件の裏に「心」が絡んでいるという主張も、日下さんの「何事も裏を取らなければ真実に辿り着けない」という主義も認められない。

しかし、事件の真実は9年前の悲惨な事件の隠蔽が発端だった。

1人の女が犯されて殺され、その父親が冤罪をかけられて自殺し、その全てを見てきた男の心に巣食った闇が引き起こした事件。

同じように闇を抱えた牧田と姫川が、彼の闇に引き込まれていく。

真実を隠蔽しようとした刑事たちは、9年前に冤罪に関わった自分たちの尊敬する先輩を守りたかった。
上層部はその気持ちさえ利用しようとする。

潔く真実を全て暴露した記者会見…。
真実を隠し、身を守って引退するよりも、けじめをつけることが正義だとちゃんと解っていた和田さんは、姫に真実を暴いてほしかったんだよね。

みんな、刑事魂の塊だ。

9年前の捜査がちゃんと行われなかったせいで闇を抱えてしまった柳井健斗と、同じ闇に引き込まれて手を貸した牧田。
最初の事件の再現シーンは頭が痛くなるほど突き刺さった。悲しかった。
柳井が染谷くんのせいか「ヒミズ」を思い出した。

柳井に、復讐する覚悟を教えた牧田の気持ちが切なくて泣いた。

隠した方が幸せになれる真実なんてものは存在しない。

背中を向けて別の方向に歩く菊田と姫川に、この後どんな未来が待っているのか…。
もう少し続きが見たい。

原作は、まだ続きが出ているみたいだけど…。


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