『王の男』朝鮮王朝の闇と狂王・燕山君の芸人

王の男

~THE KING AND THE CLOWN~

    

 

監督: イ・ジュンイク
出演: カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン

公開: 2006年12月

韓国でも日本でも大ヒットした歴史大河ドラマ「チャングムの誓い」の前時代の王・燕山君(ヨンサングン)と、王付きの芸人の物語。

燕山君は李氏朝鮮王朝第10代の国王だ。(ちなみに「チャングム」が仕えた王は、その次の11代国王・中宗)朝鮮王朝史上前例のない暴君であり、朝鮮のネロとも呼ばれている。

これを観るまでは、私の中で韓国映画のNo.1は「トンマッコルへようこそ」だった。

今は、これが1番です。

そう思うくらい泣いた映画だった。

感想にネタバレ含みます。

とにかく美しい映画だ。

韓国映画独特の綺麗な音楽に乗って、流れるように物語は進んでいく。

身分は低いが芸に身を捧げて自由に生きているチャンセンとコンギル。
そんな2人に王の側で芸をする、という機会が訪れる。

その時から、彼らの居る場所が狂っていく。
彼ら自身は何一つ変わってはいないのに。。。

周りの皆に恐れられる狂王・燕山君。
しかし、その心は孤独で満ちている。

大臣たちの前に出る王と、コンギルの前にいる子供のような王と。
生い立ちに狂わされた王を演じたチョン・ジニョンが素晴らしい。

彼にとって、コンギルは、初めて心許せる母のような存在だったのだろう。何かしてあげたかった。何でもあげたかった。

身分に合わなさすぎる大臣の位でも。。。

チャンセンはコンギルを守りたかった。
自分たちの夢を守りたかった。
芸人同志の、いやそれ以上の肉親のような愛があった。

しかし、コンギルは動けない。
王の孤独を知ってしまったから。

生まれ変わったら何になりたい?

尋ねるチャンセンにコンギルは答える。

生まれ変わっても、また芸人になる!

チャンセンは、そのひと言で報われ、コンギルは解放され・・・

そして、王も長い悪夢を終える時を迎える。

ラストのひとコマ、

別の世界で生きる2人と芸人仲間たちに、また涙した。

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