『ハナ HANA~奇跡の46日間~』ファイティン!

ハナ HANA ~奇跡の46日間~~ KOREA ~

   

監督: ムン・ヒョンソン   
キャスト: ハ・ジウォン、ペ・ドゥナ、ハン・イェリ、チェ・ユニョン、パク・チョルミン、キム・ウンス、オ・ジョンセ、イ・ジョンソク
公開: 2013年4月20日

2014年5月12日。DVD観賞。

朝鮮半島では60年前の休戦協定以来、現在に至るまで分裂状態が続いている。
このような国家は他に類を見ない。

というテロップから始まるこの映画。

「休戦」であるから、戦争は今も続いている。2つの国家は敵同士だ。

1991年、日本の千葉県で行われた世界卓球選手権大会にただ一度だけ結成された「卓球南北統一チーム」を描く実話ベースの物語。

1990年、北京で行われたアジア競技大会で、韓国代表選手ヒョン・ジョンファは中国代表のトン選手に敗れ、銀メダルになった。3位は北朝鮮のリ・プニ選手。
5大会連続優勝の中国を破るために第41回世界卓球選手権大会に向けて国家は南北統一チームを結成。
ジョンファは、そこでリ・プニと再会することになる。

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もうボロ泣きっぱなし。
何せ、スポーツもの映画としての高揚感に加えて、こんな事がなければ一生交流など無かったはずの歴史を超えた南北の友情物語も味わえる…という贅沢な盛り込み方である。

どこまで実話なのか解らないけれども…えっ、これは盛りすぎじゃね、と思う部分も多々あるけれども、やはりスポ根ものはベタで正解なのかも。

歴史実話要素がなくても、たぶん感動できた。
けれども、北と南の実情が頭に入っていればより感動できる。

ハ・ジウォン&ペ・ドゥナという二大韓国大好き女優の共演にワクワクしたけれども、脇のキャストも素晴らしく魅力的。

ジョンファとリ・プニのペアだったヨンジョンとスンボクが、カワイイのよ…どっちも「妹」って感じで。
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両国の監督も、また、いいキャラクター。2人ともいいおっさんだよねぇ…この人たちには祖国祖国って感じはないんだよね。選手思いの人たち。
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スポ根…というほどの描かれ方はしていないけれども、卓球の試合のスピード感は見ていて手に汗握るし、自然とチームを応援したくなる。

最初は全く打ち解けなかった両国の選手が徐々に1つになっていく様も、お決まりではあるが気持ちがいい。
試合の演出に若干の不満はあるものの、ほとんど問題なくただ感動に浸った。

目標は、『「万里の長城」を超える』こと。

「ハナ」とは韓国語で「1つ」を意味する。
スポーツは世界を「ハナ」にする
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ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


最初は仲良くするどころか殺されそうな雰囲気だった敵国のチームがだんだん仲良くなる様子が、ベタだけれども楽しい。

お互いの仲間の後ろに必ず「同志」を付ける北の人たち。軍隊のようにピシッと立ち、ピシッと座り、無駄口は叩かず…恐い。

それに比べて南側のはしゃぎっぷりが小学生みたい。
教育の行き届いた幼稚園の子と自由奔放主義の幼稚園の子が初めて一緒になった小学1年生の教室を思い浮かべる…。

けれども、南の選手たちの空気に釣られて、だんだんと年相応な笑顔が出る北の人たちを見ていると、ああ人間って同じなんだな…と思えた。
この笑顔を出せずにロボットのように生きている北の選手たちに同情した。

けれども、リ・プニはいうのだ。

私は祖国が好き。

例え病が治らなくても自由も贅沢もなくても

それでも生まれた国を愛している…そうジョンファに伝えるリ・プニの言葉はたぶん洗脳されたものでも何でもなくて国を愛する人の口から自然と出る言葉なのだろうと思えた。

氷のような冷たい空気を放つのも、柔らかな光のような空気を放つのも自由自在なペ・ドゥナが本当に魅力的。

卓球では国は1つにはなれない。
けれども、今は一緒に闘いたい。

その辺の国が、ちょっと一緒にやるのとはわけが違う。
敵国である彼らには今しかない。

あの説得で本当に見逃してもらえるのか…北ってそんなに甘い国じゃない気がするから創作なんだろうな…。
けれども、スポーツには誰もが応援したくなる力がある。
だから監視の人たちも心が動いたのだと…そう思っておく。
(ホテルの廊下で一斉に「よっしゃー」のポーズは可愛かったわ)

ラストのセットの演出は、奇をてらわないで普通~に見せてほしかった気がする…あの演出は若干試合の余韻を損ねたかと。

別れのシーンは本当にもう会う事もないのだろうと思うと涙が止まらなかった。
だから、2年後の大会で再会できた…というラストシーンは本当に嬉しかった…で、また泣く。

けれども、その後はもう2人が再会できていないというテロップを読むと…肝炎が治療できないかの国の選手はどうなってしまったのだろう、と寂しくなる。

それでも、その国を愛している…と言ったリ・プニだから。
きっと満足な一生なのだろうけれども。

その終わり方が、ちょっと苦い。

・「ハナ HANA ~奇跡の46日間~」公式サイト


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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