映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『英国王のスピーチ』その治療は心を育てる治療

英国王のスピーチ ~ THE KING'S SPEECH ~


監督: トム・フーパー   
出演: コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・ガンボン、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、ジェニファー・イーリー
公開: 2011年2月26日



  

第83回アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞受賞。


劇場鑑賞。


イギリス国王・ジョージ6世と、その吃音症を治療したオーストラリア出身の言語聴覚士の友情の物語。

ジョージ6世は、第二次世界大戦中も爆撃の中、疎開せず家族でロンドンに留まり、国民を励まし続けたことから、「善良王」とも言われる英国史上大変人気のある国王だ。
ちなみに、現英国女王・エリザベス2世の父に当たる。


人気の王だが、性格は極めて神経質だった。幼いころから厳格な父から様々な矯正を受けて育ったせいらしい。

作品中のヨーク公アルバート王子(ジョージ6世)も、とても神経質。常に眉間に皺が寄り、頬が緊張したイメージ。
そんな気が弱くて癇癪も起こし、生真面目でニコリともしないアルバート王子を演じるコリン・ファースが、素晴らしい。

何せ、真面目なのである。
その当時では(いや、現代人から見ても)奇抜な治療法を義務のようにやり続ける。
この生真面目さが吃音症の元になっているのだが、やり続ける。

その努力する姿や、スピーチに立っては上手く言葉が出てこない様子を見ている内に、何だか上手くできない子供を見守る親のように応援したくなってくるのだ。

ラストのスピーチなど、もう「頑張れ!頑張れ!」と思いながら見てしまった。

何とかアルバート王子をリラックスさせようとする療法士・ローグ
やはり身分の高い人だけに上から目線ではあるが、生真面目な王なりに打ち解け、信頼を深めていく。


また、エリザベス妃を演じたヘレナ・ボナム=カーターが本当に良かった
優しさと大らかさと夫への愛情に満ちた妻。 実際のエリザベス妃も大変人気の高い王妃だった。きっとこんな愛情深い人だったんだろうなぁ、と、作中の彼女を見ていても想像が膨らむ。
他の作品では、ちょっとエキセントリックな役柄が印象強いだけに、この高貴さと親しみやすさを併せ持った女性像には目が釘付けになってしまった。素敵な女優さんだ。ハート.gif


ラストの演説には目頭を熱くしつつも、その内容を考えると複雑でもある。そんな時代背景も併せて考えながら見ると面白い。

友情と家族愛に溢れた優しい映画だった。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


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ジョージ6世は、とても家族を大切にした。映画の中でも家族と一緒のシーンは、少し頬が緩み温かい空気。この家族4人でくつろぐシーンが好き。

口の中にビー玉を詰めるなど、「きちんとした療法士」と言われる人も随分とひどい治療法をするものである。
恐らくこの時代では、まだ吃音などの障がいが幼い頃からの心因要素に原因があるなどという考えは無かったに違いない。ローグは体験を積んだ良い心療内科医だった。この時代の最先端と言えるだろう。

王が最後までローグを「ライオネル」と呼ばなかった事は、少し残念だった。でも、そう呼ぶほどの心の触れ合いは築けていたと思う。それで満足すればいいのかな…


ラストのスピーチの成功を喜ぶこっち側と、向こうで聞いている民衆との温度差は、たぶん、とんでもなく大きかったに違いない。

大成功したスピーチの内容は「戦争が始まりますよ」という物なのだから。こんなスピーチ聞きたくない人も、きっといただろう。そう考えると、見ている方も成功を喜びながらも、少し複雑な気分になってしまうのだった。


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