『リング』や『呪怨』のような有名Jホラーはもう全て見てしまった。最近のJホラーはどうなの?という方のために比較的マイナーなジャパニーズホラーの中から独断と偏見でピックアップ。埋もれた作品の中には秀逸なものも…。
DVDレンタルで損しないために…そこそこおすすめできる「J(ジャパニーズ)ホラー映画」まとめ
たまには日本のホラーを見たいなぁ…と、フラッとDVDレンタルしに行って、あまりにも膨大な数の聞いた事もないJホラーに驚く方は多いはず。特に最近流行りのアイドルタレントや若手俳優出演ホラーは借りてもいいかどうか判断が付かない。
そこで、独断と偏見でお薦めできるJホラーをご紹介。
『リング』や『呪怨』のような大ヒットシリーズからはピックアップしていません。
未現像だったフィルムの発見をきっかけに、撮影所で起こり始めた怪奇な出来事を描いたホラー映画。新人監督の村井俊男は、デビュー作の準備に余念がない。ある晩、主演女優のカメラテストのラッシュを見ていると、途中からまったく別の映像がダブリ、一人の女優が映っているのに気づく。それ以後、主演の黒川ひとみの声に別の声がかぶさって聞こえたり、新人女優の村上沙織がセットから転落死したりと奇妙な事件が続出。未現像フィルムを昔テレビで見た記憶のある村井は、このフィルムが気になり、過去の事件を調べていくと……。
◆中田秀夫監督が『リング』の2年前に撮ったホラー映画。霊の映りこみ方や姿形、遺体の不気味さなど『リング』の前哨戦のように思われる部分を楽しむ事ができる。『リング』のファンはぜひ見ておきたい1本。
効果音技師の克彦と純子の夫婦は、郊外の一軒家につつましくも幸せに暮らしていた。しかし、純子には“霊”を感じる特殊な力があった。ある日、少女誘拐事件が発生した。だが、身代金受け渡しに失敗した犯人は逃走中に事故で意識不明となり、少女も行方不明となってしまう。そんな折、純子の力に興味を持つ大学院生・早坂を通して、警察が彼女に協力を求めてきた。純子の力で、少女の行方を探したいというのだ。ところが、その少女は克彦のバンの中から発見される。犯人から逃亡した際、彼の仕事用ケースに隠れたのだ。その時、純子はある計画を思いつく。
◆1999年にテレビドラマとして放映され、2001年に劇場公開。個人的には黒沢清監督作品の中で一番怖い。
日本のホラー映画は暗すぎる物が多かったが、普通の映像の中に「ふいに居る」恐怖を味わったのはこれが初めてかも。
ストーリーも意外性がある。「恐い」と思えない人でも話の面白さで満足できそう。
レビュー:「感染」
経営危機に陥り、まともな治療も出来ないまま多くの患者を抱えるとある病院。建物の老朽化も進み、医薬品や備品も足りない劣悪な環境に、患者ばかりか医者や看護婦の心身も限界に達していた。そんな中、入院患者の一人の容態が急変する。急いで対応に当たる医師の秋葉と魚住だったが、ふとした不注意から患者を死なせてしまう。明らかな医療ミスに動揺し、事故の隠蔽を図る医師たち。そんな混乱する医師たちを尻目に、今度は内臓が溶け始めた急患が運び込まれてくる。しかし、かつてない奇怪な症状の患者に、病院はいかなる対応のすべも持っていなかった…。
◆『パラサイト・イヴ』『呪怨 終わりの始まり』などの落合正幸監督作品。
幽霊ものではなく、心理的に追い詰められていくタイプのホラー作品。映像も物語も悪夢の中にいるように感じられる。
狂っていく役者さんたちの演技が素晴らしい。この映画の星野真里さんは必見。
昭和45年、群馬県のホテルで11人が惨殺される事件が起こる。動機も不明のまま、犯人の法医学教授・大森範久も謎の死を遂げる――。35年後の現代。この事件を題材にした映画の製作に執念を燃やす映画監督の松村。「記憶」と名付けられたこの映画のヒロインには新人女優の杉浦渚が大抜擢された。しかし渚は撮影が近づくにつれ不思議な少女の幻覚に悩まされていく。
◆劇場で観て愕然とし、久々に夜中に思い出して恐くなった映画。
『呪怨』の清水崇監督作品。『呪怨』でも演出されている突然の時間軸の移動、不気味な空間がここでもたっぷり味わえる。
「こういう事だったのか」という気づきの恐怖があるストーリー。
恐怖は後半に待っているのでそこまでは伏線をじっくりと確認して。
ある日、横浜港に到着した巨大コンテナから大量の髪の毛が発見される。そして、その髪の中には少女の遺体が横たわっていた。警察の死体安置所で管理人をする山崎は、美しい髪の毛に異常な執着を抱く奇怪な中年男。彼は、安置されていた少女の遺体から髪の毛を切り取り、その髪でエクステを次々と作っていく。一方、黒髪が美しい美容師の卵・優子は、実の姉が娘に虐待を繰り返すことに心を痛めていた。そんなある日、優子が働く美容室に、山崎が作った美しいエクステが持ち込まれた。やがて、そのエクステを付けた客が次々と怪死してしまう…。
◆『愛のむきだし』『ヒミズ』の園子温監督ホラー作品。他のサスペンス作品などでもスプラッタなシーンが多い監督だが、明確に「ホラー」といえるのはこれ1本だけかも。
「恐い」というよりも「不気味」「気持ち悪い」系のホラー。そっちが苦手な方にはお薦めできない。
とにかく、大杉漣さんのぶっ飛んだ演技が素晴らしい。あの漣さんを見るだけでも価値ある1本!
バイク便ライダーの巧は、ある日誠二と出会い、助けを求められる。しかし、事故に遭っていた誠二は瀕死で手の施しようがなかった。そんな場面を、誠二の恋人・陽子が遠くから眺めていた。その後、バイク便をやめた巧は、新たなバイト先で陽子と出会い……。
映画『不安の種』予告編
出典:https://www.youtube.com/watch?v=n4DrwcPRvV0
◆普段の生活の中で誰でも「少し変」と感じることがあり、戸の隙間が開いていれば何かが覗いているような気がする事もある。そんな「不安」がずっと漂い続ける不気味さ。
ストーリーのオチも笑ってしまうほど恐い。
ある日、女子高生の中村が学校の屋上から飛び降りる事件が発生する。1ヵ月後、奇怪なマスクをつけた謎の集団が学校を占拠し、妊娠中の安田先生を監禁する事態に。そして犯人グループは、安田先生を殺されたくなければ学校内に隠されたピースを探し出してパズルを完成させろ、と脅迫。一方、一命を取り留めた中村のもとには、同級生の湯浅が謎の封筒を持って現われるが…。
◆『先生を流産させる会』の内藤瑛亮監督作品。原作は山田悠介著の同名小説。
映画『パズル』予告編
◆山田悠介氏原作の映画は何本も出ているが、監督の色がここまで出て来ると面白い。原作者の作品には多いシュールな罰ゲームドラマだが、そこに不謹慎なほど明るくカワイイ音楽が流れ、ファンタジックな映像で脚色される。
罰ゲームの内容も極めて不快だが、ここまでするに至る原因がまた不快。賛否は当然大きく分れる作品だと思われる。スプラッタなシーンも多い。
不謹慎なブラックファンタジーだが、登場人物の行く末と犯人の心情部分含めて見応えはある。
ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。
◆『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』の中村義洋監督が制作した本格Jホラー。家や土地が霊に関わる話は日本古来の幽霊物語として恐ろしい。中村監督独特のスピード感ある映像の切り替えや、古い写真のようなモノクロ映像にゾッとする。思い出すと眠れない1本。
映画『残穢』予告編
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