『テンジャン』奇跡の味噌を探す旅

テンジャン~ 味噌 / 된장 ~

  

監督: イ・ソグン   
出演: リュ・スンリョン、イ・ヨウォン、イ・ドンウク、イ・ソグン、ハン・ジェグォン、チョ・ソンハ、イ・ヨンニョ、パク・チュンソン、ナム・ジョンヒ、キム・ジョンソク
公開: 2010年制作:日本未公開

2013年4月17日。DVD観賞。

その味噌は奇跡を起こす。人を幸せにし、他人を救う。誰もが一度は食べたいと願うテンジャン。
限りなくファンタジーで、その足跡は興味深く、美しく幸せで…そして、切ない。

殺人鬼として投獄され5年間も脱走逃亡生活を続けていたキム・ジョングが逮捕された。
彼を捕まえた時、大乱闘が起きたという警察発表だったが、実際には1杯のテンジャン(味噌)チゲを一滴残さず食べて茫然としていた所をアッサリお縄にしたという話。

国内で14年ぶりの死刑囚として話題を呼んだキム・ジョングの最後の言葉は「テンジャン」だったという。

この事件に興味を持ったジャーナリストのチェ・ユジンは、殺人鬼さえ魅了する「幻のテンジャン」を追って取材の旅に出る。

ほとんど前情報はなく、GEOの店頭で新作入荷DVDとして流されていたのに興味を持って借りてきた1本。

見る前は勝手にこの死刑囚とテンジャンを作った女性のラブストーリーなのかと想像していたけれども、全く違っていた。

チェ・ユジンが追っていく幻のテンジャンの軌跡。
そのテンジャンを作った1人の女性・チャン・ヘジンのミステリアスな過去。
幻の味噌はどういう事情でどんな風に作られた物だったのか…。

紐解かれる様子が美しい映像とファンタジックなストーリーで語られる。

チェ・ユジンがユニークな男なので、局の上司とのやり取りはコメディタッチで楽しい。
最初の方は割とクスクス笑いながら見るシーンが多かった。

「特ダネ」を追ってきたはずなのに、いつの間にか1人の女性の切ない「愛の軌跡」を追っていた事に気づき始めるユジン。

真実が描かれるシーンではいつの間にか泣いていた。

各家庭で作り方も味も変わるというテンジャン。
人の歴史が料理を語るんだな…。

テンジャンチゲの美味しそうな映像と、それが出来るまでを追っていくというグルメ映画としての楽しみも、幻のテンジャンの秘密を探るミステリーとしての面白さも、ファンタジックな切ない恋愛劇としての見応えもある…。

うん。まさにこの映画の鍵になっているテンジャンその物のたくさんの香りが味わえる作品だった。

 

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

「環境が味噌の味に関係する」

そう聞いたチェ・ユジンは、チャン・ヘジンが何処でこの味噌を作っていたのか探る。
100%ナトリウムというあり得ない結晶を持つ塩を探し、花の香りがする甕が作られた環境を探る。
ちょっと見にはグルメ旅番組のようだ。

働いていたおばさんの店からヘジンを連れ出した大手企業の社長は、自分の嗅覚を治してくれた奇跡の味噌の作り手であるヘジンを純粋に愛した。

だから彼女のために彼女の愛する人を探したのだった。

事故に遭ってしまったのは、映像の様子からは偶然には見えなかった。
ヘジンを絶望から救うために自らも…という事だろうか。

ヘジンの愛する人は海に沈んだ。
2人で花びらを集め、2人で甕を作る土を育てた。繋いだ手は花の香り。

残されたのはヘジンが持って出た小さな甕に入ったテンジャンのみ。
遺体は腐る事はなく花の香りがしたという。

幸せになりかけていたのになれなかった悲恋を語る味噌は、殺人鬼の脳裏にも訴えかけるほど甘く優しい切ない味だったのに違いない。

久しぶりに、いいラブストーリー見たな…と思えた。

『キム・ジョングが最期に食べたかった味噌の材料』
梅の香りのする甕。
花びら混じりの土。
太陽に当ててニガリ分をしっかり抜いた塩。
日の出塩田。
子ブタが育てた大豆。
山の奥深くにある漆の水。
梅花酒の麹。
コオロギの共鳴。
日差し、風、そして、涙。

『作り方』
待つこと。

「テンジャン」公式サイト(韓国語)

 

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★前田有一の超映画批評★

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