『海洋天堂』ずっと一緒に

海洋天堂
~ 海洋天堂/OCEAN HEAVEN ~

    

監督: シュエ・シャオルー   
出演: ジェット・リー、ウェン・ジャン、グイ・ルンメイ、ドン・ヨン、ジュー・ユアンユアン、カオ・ユアンユアン
公開: 2011年7月9日

2012年6月15日。DVD観賞。

平凡にして偉大なる、全ての父と母へ……

「子どもを守りたい」というのは、どんな親でも当たり前の感情だ。
できうる限り側に居て見守りたい。
嫌な事は全て跳ね除けて、一番幸せに生きていけるようにしてあげたい。

だが、それには限界がある。親は大抵は子どもよりも先に逝くものだ。
だから、自分がいなくなっても幸せに暮らせるように独立できる人間に育てていく。
社会で上手くやっていけるように常識を勉強させ、1人で何もかもできるように習慣を覚えさせ、無事に巣立って行けるように教育するのだ。

しかし、それが困難な親子もいる。

ワンの1人息子、大福(ターフー)は、重度の自閉症で知的障がいがある。
妻を早くに亡くした環境の中、ワンはターフーに男手一つで出来る限りの愛情を注いで守ってきた。
しかし、そうは行かない現状がワンに迫ってくる…。

21歳という、施設を見つけづらいターフーの年齢。公的支援の少なさ。
理解が無ければ接していけない難しい障がい。
こんなにずっと一緒にいた自分が居なくなった世界で、果たして息子は生きていけるのか…。

いっそ……。
という気持ちがよく解る。
自分の子どもに障がいがなくても、親ならば誰でも理解できる感情だ。

ターフーが何をやっても、ワンは根気強く接し、笑顔で安心させる。
同じ水族館で働き、あらゆる所に連れ歩き、恋人のようにくっついて生きてきた子どもを置いていく引き裂かれる思い。

けれども、物語は決して「泣かせよう」として作られているのではない。
淡々と日常を伝え、父が息子の独立のために手を貸してくれる環境を探す様子を映しだしていく。
厳しい事もあり、決して生易しい事ではないけれども、それでも手を差し伸べてくれる人々の温かさ。

海と水族館のブルーが、久石譲さんの音楽と共に透き通った水のようにしみていく…優しいものが心に残る作品だった。

障がいを持つ子の親でなくとも、余命が少ない身ではなくとも、子どもを思う全ての親が同じように感動できる映画だと思う。

多くの方に見ていただきたい作品です。

2011年の外国語映画の中で、評価が高いブロガーさんが多く、とても気になってた。
公開劇場に縁がなくDVD観賞になってしまったけれども、本当に見て良かった。
レビューが遅くなったので、思い出すために予告動画を見に公式に行ったら、また泣けてしまった。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


よく書くフレーズで申し訳ないのですが、とにかく、父と息子の物語に元々弱いので…

ここまでか、というくらい、あらゆるシーンで泣いた。

こんな子どもを残して死んだら、絶対成仏できないよ。。

だから、ワンさんは海亀になって生き続ける。
ずっとずっとターフーの側にいる。

冒頭の飛び込みシーンは、ここから過去に戻っていく…という話なのか、心中の話なのか
と、始めは思ってしまったのだけど、そうじゃなかった。

「殺す」話ではなくて「生きる」話だった。
だからこそ、優しくて温かくて素敵な話になった。

ターフーを託す人たちの名前が書かれた名札と、それを受け止める人たち。
自分がこの子の親だったら、きっとそうする。同じように考えて同じように託す。

国なんか関係なく、人種なんか関係なく、子どもを思う親の気持ちは同じ。

「海洋天堂」公式サイト

 

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・象のロケット
★前田有一の超映画批評★

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