『嫌われ松子の一生』 お星さまをつかもう

嫌われ松子の一生

     
監督: 中島哲也
出演:  中谷美紀、伊勢谷友介、香川照之、瑛太、市川実日子、黒沢あすか、柄本明、木村カエラ、柴咲コウ、片平なぎさ、ゴリ、竹山隆範、谷原章介、宮藤官九郎、劇団ひとり、谷中敦、BONNIE PINK、武田真治、荒川良々、土屋アンナ、AI、山田花子、角野卓造、甲本雅裕、濱田マリ、大久保佳代子、キムラ緑子、阿井莉沙、奥ノ矢佳奈、木野花、山下容莉枝、あき竹城、嶋田久作、渡辺哲、山本浩司、マギー木下、ほうか、蒼井そら、本田博太郎、榊英雄
公開: 2006年5月

第30回 日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞(中谷美紀)

この人の人生には、幸せの文字がない。

選択する事はことごとく裏切られ、愛する男には捨てられ、家族からも捨てられて。。。そして、こんな人生の結末

映画全体は、歌や、ちょっとしたコメディに包まれているが痛すぎて笑えない。
赤のコントラストが強すぎる映像の中に吸い込まれると悪夢を見ている気分になる。

この人の根底には愛に飢えた心がある。
父に対する愛。
二度と帰れない故郷に対する愛。
そして、妹に対する羨みと、それを越えるほどの愛。

それが、報われず報われず。。。

でも、やはり愛さずにはいられない。

「殴られてもいい。1人よりはマシ」
ここまで愛に飢えた人間を真っ正面から見せられたのは初めてかも知れない。

女として、この人生は絶対に歩みたくない物だ。
しかし、実際は「松子」は、全ての女性の中にいる。

不器用に愛してしまったり、愛されたくてたまらなかったり。

全ての女性が一歩踏み外せば松子になる。

人はどれだけ愛されたかよりも、どれだけ愛したか。

松子が、求めて求めて彷徨い続けた幸せは、今、長い階段の上にある。帰りたくて帰れなかった「お帰り」の声に迎えられて。

豪華なキャストとポップな映像。一見キッチュだけれども深い中島哲也ワールドを「下妻物語」に引き続き見せていただく事ができた。主演の中谷美紀の演技は、まさに体当たり。

ストーリーを最初から最後まで案内する形になった笙役の瑛太の淡々とした演技も良かった。この甥に、もっと早く出会っていれば(出会っていたわけだけれども)彼女の一生もまた変わったかなぁ。。。

まーげてー、のばしてー、お星さまをつかもう。。。

物語の到る所に流れる童謡が一番心に突き刺さるラストシーン。
勝手に流れる涙を止める事ができなかった。

痛いけれども。秀作。

この記事は2009年に楽天ブログからインポートしてきた過去記事です。コメントはお引っ越し出来ましたが、トラックバックは引っ越せませんでした。


嫌われ松子の一生@ぴあ映画生活トラックバック
・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

comment

  1. くう より:

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    >この映画、くうさんもご覧になってたんですねー。
    映画は、ほぼ週一ペースで行ってるんですよ~(^.^)
    最近は邦画ばかりです。
    >先週はこの「松子」と「ダンドリ。」と「タイヨウのうた」に泣かされっぱなしでした。
    >涙腺がおかしくなっちゃったかも知れない。
    この3本だったら、私は「松子」が一番ですね。
    次が「ダンドリ」かな。
    >映画の中の「♪まーげてーのばしてー」は今でも頭の中をリフレインしてて
    >家で歌ってたら娘に「何その歌?」と突っ込まれているどうしようもない私です(^_^;)
    確かに。。。
    あの歌って、本当にある童謡(?_?)
    ドラマでも、使われますかね。他の歌だったらヤだな~。

  2. ミマム より:

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    こんにちは。
    この映画、くうさんもご覧になってたんですねー。
    他の方のところのTB欄で発見してしまいました(^^)
    先週はこの「松子」と「ダンドリ。」と「タイヨウのうた」に泣かされっぱなしでした。
    涙腺がおかしくなっちゃったかも知れない。
    映画の中の「♪まーげてーのばしてー」は今でも頭の中をリフレインしてて
    家で歌ってたら娘に「何その歌?」と突っ込まれているどうしようもない私です(^_^;)

  3. くう より:

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    >私も、後半は泣きっぱなし、笑いっぱなしでした(*_*)
    後半、松子のやる事なす事が特に痛いから。。。
    光源氏のファンレターとか笑えましたね~。

  4. 奈緒子と次郎 より:

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    私も、後半は泣きっぱなし、笑いっぱなしでした(*_*)
    本当に、オススメ映画です!

  5. くう より:

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    > 私は辛辣を過ぎ、毒舌をすぎた評論を書いてしまいました。
    いえいえ。。。
    評は色々ですもの。
    こちらこそ、コメント残さずすいません(+_+)
    この映画は特に評が分かれて当然の映画だと思います。

  6. くう より:

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    >私の中にも「松子」います。
    私の中にもいます(^.^)
    >んーますます観てみたい!
    >来週行こうかな。
    たぶん、早く行かないと終わっちゃう。
    最近、映画が詰まりすぎで。。。
    邦画は終わるのが本当に早いです(+_+)
    やってても、夜の回だけとか。。。

  7. くう より:

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    >主演の中谷さん、撮影が本当に厳しくて、逃げ出したこともあった、とか?
    インタビューで、そのように言われていましたね~(^o^)
    >最近ぜんぜん映画を観ていないので、ほんとに行きたいです。子どもと一緒に楽しめるオススメのものもあったら、教えてくださいね~。
    これは、子供は無理(+_+)悪夢にうなされそう。
    そうだ、R指定だし(^^;)
    そう言えば、最近子供も見れるようなのないな~。。。
    夏まで待ってください。
    「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見よう!

  8. くう より:

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    お越しありがとうございます♪
    >中谷美紀がいっくら弾けて笑いを取っても、根底がとても暗く重いので、自分も乾いた笑いしかしていなかったような気がします・・(汗
    そうですね。心から笑えるような明るさはないですもん。。。
    >松子の最後も衝撃的だったので、本当に笑えたのはインパクトがあったゴリだけかな・・(汗
    最後は本当にビックリしました。
    可哀想すぎて。。。
    ゴリですかぁ(^o^)好演してましたね。

  9. くう より:

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    お越しありがとうございます(^.^)
    > 人によって「幸せ」の大きさとゆーのは
    >様々だと思うのですが、松子にはその基準
    >となるべき「幸せ」がなかったんですよね。
    少女時代から愛に飢えてますから、充分に愛される
    幸せを知らないんですよね。
    > この映画を観た後で「下妻」を見てハマ
    >ってしまっただけに、やはり下妻→松子をと
    >順を追って観賞するべきだったと感じました。
    そうかも。。。
    私は「下妻」でファンになったので、興味を持った映画でした。
    中島監督でなければ、別に見たいと思わなかったと思います。
    今後の作品にも期待します♪

  10. くう より:

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    >私もこの映画気になってるんよ
    >やっぱええねんなぁ
    見る人によって、好き嫌いが出来る映画だと思います。
    映像も、ぶっ飛んでるし。。。
    ある意味、後味も悪いかも。
    >原作読みたくなってきました。
    >事実のお話??なんでしょうかねぇ?????
    いや、原作は小説です。
    これはこれで面白いらしいです(^.^)

  11. くう より:

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    >本よりも映像にしたほう面白いかもね。でも「嫌われ」てはいないと思う。映画、早く観なきゃ・・・。
    行くなら早く行かないと、たぶん終わりが早いと思う。
    原作読んでから見ると違和感ばりばりかも。。。
    全然違うらしいから。
    「下妻」は見た?
    あれが好きならば受け入れやすいかも。

  12. くう より:

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    書き込みありがとうございました(^.^)
    >松子は何と言うか「不幸だけど幸せ」な人生だったと思うんですよ。
    >あの不幸もどっちかと言うと自分が呼び込んでる部分があるし。
    そうですね。自ら選ぶ道が、そういう道だ、と言う。。。
    >なかなか複雑な読後感でしたが、確かに全ての女性に(男性にも?)松子的な内面はあるのかもしれませんね。
    。。。と思いました。
    私自身も。
    愛されたい欲求は全ての人間にありますものね。

  13. くう より:

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    PASS:
    >今朝の朝刊で、この作品、とっても賞賛されてました。
    >映像技術も凄いけど、話が良いから、技術がただのお飾りになっていないみたいな。
    まさにそうですね。
    中島監督、鬼才です。
    >一見転落して行くだけの松子の人生は、松子にとっては幸せそのものだって。
    受け取り方は、たぶん様々。
    私には幸せに見えなかった。。。
    >観てみたいな~と思いました。
    >下妻も、面白かったものね。
    下妻みたいにカラッと笑っていられないです(+_+)
    好き嫌いができる映画だと思います。

  14. 冨田弘嗣 より:

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     私は辛辣を過ぎ、毒舌をすぎた評論を書いてしまいました。そういう意味で、私からまったくみなさんにトラックバックはしていないのですが、抗議を含め、たくさんのコメント、トラックバックをいただいています。これには感謝にたえません。
     私ごときにトラックバックしていただき、ありがとうございました。  冨田弘嗣

  15. ゆう116 より:

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    私の中にも「松子」います。
    んーますます観てみたい!
    来週行こうかな。

  16. SECRET: 0
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    主演の中谷さん、撮影が本当に厳しくて、逃げ出したこともあった、とか?
    早速、観に行かれたんですね~!
    ああ、みたいものがどんどんたまっていきます。
    最近ぜんぜん映画を観ていないので、ほんとに行きたいです。子どもと一緒に楽しめるオススメのものもあったら、教えてくださいね~。

  17. メビウス より:

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    こんばんわ♪TB有難うございました♪
    中谷美紀がいっくら弾けて笑いを取っても、根底がとても暗く重いので、自分も乾いた笑いしかしていなかったような気がします・・(汗
    松子の最後も衝撃的だったので、本当に笑えたのはインパクトがあったゴリだけかな・・(汗

  18. たましょく より:

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     TBありがとうございますm(_ _)m
     人によって「幸せ」の大きさとゆーのは
    様々だと思うのですが、松子にはその基準
    となるべき「幸せ」がなかったんですよね。
    だから、幸せを掴んだとしてももっともっ
    と「幸せ」になりたいとゆー欲が出てしま
    う。
     この映画を観た後で「下妻」を見てハマ
    ってしまっただけに、やはり下妻→松子をと
    順を追って観賞するべきだったと感じました。

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    私もこの映画気になってるんよ
    やっぱええねんなぁ
    原作読みたくなってきました。
    事実のお話??なんでしょうかねぇ?????

  20. ちさちろ より:

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    本よりも映像にしたほう面白いかもね。でも「嫌われ」てはいないと思う。映画、早く観なきゃ・・・。

  21. ノラネコ より:

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    TBどうもです。
    松子は何と言うか「不幸だけど幸せ」な人生だったと思うんですよ。
    あの不幸もどっちかと言うと自分が呼び込んでる部分があるし。
    マゾ?それとも心理学でいう共依存という奴でしょうか。
    なかなか複雑な読後感でしたが、確かに全ての女性に(男性にも?)松子的な内面はあるのかもしれませんね。
    愛すべき女性の一代記として、見ごたえは十分あったと思います。
    ちょっと途中でお腹一杯になっちゃったけど(笑
    http://noraneko22.blog29.fc2.com/

  22. えしゃ母 より:

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    今朝の朝刊で、この作品、とっても賞賛されてました。
    映像技術も凄いけど、話が良いから、技術がただのお飾りになっていないみたいな。
    一見転落して行くだけの松子の人生は、松子にとっては幸せそのものだって。
    観てみたいな~と思いました。
    下妻も、面白かったものね。

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