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『凪待ち』しっかり生ぎろ

凪待ち

映画『凪待ち』感想

作品情報

監督・キャスト

監督: 白石和彌
キャスト: 香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー、三浦誠己、寺十吾、佐久本宝、田中隆三、黒田大輔、麿赤兒、不破万作

日本公開日

公開: 2019年6月28日

レビュー

☆☆☆

劇場観賞: 2019年7月3日

 
前情報は知らずに見たけれども、予告から受けた想像と全く違った(笑)「白石監督」だし予告はサスペンスっぽいから、こんな話だろうあんな話だろうと思うと拍子抜けするかも。

つまり、犯罪を描いてはいるけれども映像的な衝撃は少なく、サスペンスは主題ではない。

あらすじ

毎日をふらふらと無為に過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻で再出発しようとする。少しずつ平穏を取り戻しつつあるかのように見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう…(Filmarksより引用)

予告で評価すると間違える系

主役の人のファンの大量ツイートのせいで犯人がネタバレされたと怒っている方をTwitterでチラっと見たのだけれども、そもそもサスペンスが主題ではないので犯人分っちゃっても大丈夫。(大丈夫って言っていいのかどうかは分からないけれども(笑))

むしろ「犯人は誰だ」みたいな気持ちで見に行くと、きっと拍子抜けすると思う。そういう意味では宣伝方法が間違っている。

そういう自分も「犯人は誰だ」のような気持ちで観に行ったので、ちょっと拍子抜けした(笑)終わってみれば良い話でした、という感想。

そう……白石監督なのにバイオレンス味ないし、バイオレンスが好きなわけではないので別にいいんだけれども、ほら、覚悟してたから……拍子抜けPart2…。

 
だから、今から観る方は、そういう映画じゃない、ということは分かって観た方が素直な気持ちで観れるかも。

だって、本当に「良い話」なので。

俳優・香取慎吾

テレビドラマ『沙粧妙子-最後の事件-』で初めて彼の演技を見て、誰だこの天才的青年は……と思ってから、すでに24年ですって。時の流れが恐い。

慎吾ちゃんも、いいおっさんになったもんです。いい意味で。たるんだ肌や輝きのない目つきが郁男にピッタリだった。

ただ、いつの頃からか引っかかり始めた「年に合わないちょっと甘えた雰囲気の語り」は今回も気にはなった。気にはなったけれども、まぁ甘えた役なので……今回は合ってはいた。

感情を爆発させるシーンは相変わらず上手いなぁ、と思うのだった。

ピエール瀧に捧げる物語

人間クズの闇を描いているという点では、いつもと同じ。本当に、もう、終盤までイライラする。

自分をクズだと分っていて、それでもクズへの道を邁進するのだから、依存症って本当に恐い。

監督がこの映画の登壇で、白石組ともいえる役者・ピエール瀧に更生するようにメッセージを贈ったという話だけれども、なるほどね。

そうか。

だから、この物語の結末はこんな感じなのかな。と思う。

厳しさと優しさは、そのためでもあるんだなぁ。

「しっかり生ぎろ。」

届いているといいけれど。

 


以下ネタバレ感想

 

せっかくのネタバレ欄なので一応書いておくけれども、犯人は、「いつものあの人」ですよ。白石監督の作品をいくつも観ている人ならば、まず出てきた瞬間から「そうでしょ」と思うよね(笑)
 
もっとも、今回は音尾さんも怪しかったし、黒田大輔さんもそういう枠だ。

 
あの時、あそこで降ろさなければ。あの時、ケンカしなければ。人の死にはifがつきまとう。理不尽な死を迎えたとあらば、なお、そうだろう。

そこまでのショックもギャンブル依存を治す切っ掛けにはならず、結局、踏まれて助けられて蹴られて助けられて……何度助けられたら止められるのだろう。

依存症の闇と、どこまでも赦す仏のような心の追っかけっこを繰り返し……この人は本当に足を洗えたのかしら。

死にゆく老人と、親を失った娘を背負ってしっかり生きて行って欲しい。

 
津波に多くを攫われた町と、依存に甘えて多くを失った男。

救えるのは、あきらめない広い心だけ。

 

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