『マエストロ!』天籟の音

マエストロ!

   

監督: 小林聖太郎   
キャスト: 松坂桃李、miwa、西田敏行、古舘寛治、松重豊、大石吾朗、濱田マリ、河井青葉、池田鉄洋、モロ師岡、村杉蝉之介、小林且弥、中村倫也、斉藤暁、嶋田久作、宮下順子、淵上泰史、木下半太、中村ゆり、綾田俊樹、石井正則、でんでん

公開: 2015年1月31日

2015年2月4日。劇場観賞

いやぁ、こんなに音楽を聞けるとは意外だった。
音楽映画と言っても「映画」なわけだからストーリーありきなので。大抵はストーリーが音楽をぶった切るわけだが、これは聞かせる聞かせる…練習シーンも含め本番まで。
この内容なら2時間越えも頷ける。

演奏は役者さんが吹き替えなしで全て演じている…という話だけれども、それは絵図の吹き替えであって、音は当然プロ。ドイツの名門、ベルリン・ドイツ交響楽団のものが被せてある。
迫力のある演奏風景。

あらすじ
若手コンサートマスターの香坂(松坂桃李)は、不況の影響によって解散したオーケストラの再結成に携ることに。しかし、練習場に現れたのは再就職先が決まらない演奏家たちで、久々の音合わせもうまくいかず前途多難な雰囲気が漂う。そこへ怪しげな男、天道(西田敏行)が登場。天道による常軌を逸した指揮にもかかわらず、楽団員たちは自信を取り戻していき……。(シネマトゥデイより)

ストーリーの大筋はいわゆるオーケストラの再生物語であり想定内に進行するものの、再生されていく過程に違和感はない。

無名の指揮者に反抗してダラダラと演奏していた音がピタッと決まっていく様は素人が聞いていても明らかに解るように演出されている。

とにかく珍しいくらい音楽で構成された作品だった。

解散した楽団員たちには、それぞれの事情があり過去があり悩みがあり…。だけれども、そういうエピソードをベタベタと引っ張らない。引っ張らないからこそ差し挟まれるシーンが印象に残る。

練習シーンなのに泣けてしまったりするのだった。

登場人物はみな腐ってもプロなわけで、プライドも邪魔してなかなかまとまらないところを、得体の知れない指揮者への対抗心でまとまっていく。

指揮者とオケの戦いのような演奏風景も見応えある。

演奏シーンは俳優陣が練習を積みに積んだというだけあって「吹いているふり、弾いているふり」ではない安心感。女優は初挑戦だというmiwaさんもすごく良かった。

でも、やっぱり西田敏行は持っていくよね。

体操しているかのように伸びたり縮んだりする動きが可愛い。。演者を殺しそうな目つき、挑戦的な顔、弱った顔、西田さんを見て音楽を聞いているだけでも満足できそう。
  

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誰かと響き会えたら、 一生が永遠になんねん。

ラストの演奏が終わって、響きあう天籟の音が聞こえた。

音楽が好きな人にお勧めしたい、聞き応えある130分。

 


以下ネタバレ感想

 

 

オーケストラの演奏が終わった静寂の中で自分だけに聞こえる音のない音。「天籟(てんらい)」。

香坂はこれが聞きたくて戻るのだ。

父と天道の間にも響いていたはずのもの。叶わなかったもの。「運命」と「未完成」。

あまねの壮絶な幼少時代の思い出に泣いた。
阪神淡路大震災。
両親があまねに残したものは音楽だった。
香坂に父が残したものと同じ。

この世で一番美しいのは音楽でしょ。

天道の妻の言葉が演奏シーンに集約され、天道とオケが響きあって、天籟の音が生と死を包む。

余計なセリフが無くても、それが伝わるコンサートだった。

あなたの棒です。マエストロ。

タクトを渡す香坂…桃李のラストの表情が印象的。

このラストシーンの余韻も天籟…。

・「マエストロ!」公式サイト

  


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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★★★邦画・ま行日本映画

 

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

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