『叫』私は死んだ。だから皆も死んでください。

叫(さけび)

監督: 黒沢清
出演: 役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒菜、オダギリジョー、加瀬亮、野村宏伸、平山広行、奥貫薫、中村育二、佐藤貴広
公開: 2007年2月

        

DVDにて視聴。

こういう作品を見ると、思う事がある。

人間って、霊の姿になってしまうと理性のような物は無くなって、恨みの塊になってしまうのかな。

理不尽な死を自分自身の体験に得て「恨み」という感情だけが残り、理不尽さを撒き散らしたくなる。
つまり…手当たり次第、という事。

例えば「呪怨」でも、「何でこの人が死ななくてはならないの?」という人たちがどんどんやられていく。
それは、もうすでに「人間」というものの枠からは外れた者の所業に見える。

その「恨み」が「叫」なのだ。

「赤い服の女」が自分の元に現れる理由が吉岡には分らない。
その真実を知った時、吉岡に堕ち続ける深い闇が見えてくる。

ラストの春江の声なき叫びが、あまりにも物悲しくて底が無くて…そして恐かった。

ただ…

黒沢清監督は現代の鬼才と呼ばれ、もうカルトに近いほどのファンも多くて、ちょっと批判を書くとファンの方に怒られるんだけど、私はいつも感想書くのに困る。

幽霊描写が・・・・・

暗闇の中の赤い服のコントラストや、振動する水、光と影の恐怖を誘う美しさなど、Jホラーとして素晴らしいのだが、どうして、あんなにハッキリ幽霊の顔を見せてしまうんだろ。

特に、それが有名女優だったりする日には、恐怖半減なんだよね・・・。
ギャグですか?と聞きたくなるようなシーンさえあって、作品をどう見ればいいのか解らなくなってくるのである。

そこそこにボカす事が、Jホラーの暗い画面には適していると私は思う。
暗闇にハッキリ浮いた紙のような有名女優の顔は、別の意味で恐いよ。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


葉月里緒菜がピューーンと空飛ぶシーンでは、思わず爆笑してしまった…もしかしたら笑っていい所
そこ以外でも、もう、しょっちゅう出てくる葉月里緒菜の幽霊アップには、どう目線を持っていけばいいのかサッパリ解らない。超音波発するような叫びの顔も、不気味を通り越して何となく笑えてしまう。

事件を追っていたはずの吉岡自身が春江を殺していたというオチは面白かった。
小西真奈美には幽霊も出来るんだな、と初めて知った。意外性が良かった。

ラストのコニタンの「叫び顔」は、葉月里緒菜の叫びよりも遥かに悲しくて怖かった。

ブラックホールのようにポッカリ空いた黒い口…

声のない叫び。

ムンクの「叫び」を、ちょっと連想した。

暗闇に吸い込まれそうだった…。

・叫 公式ファンサイト

 


叫@ぴあ映画生活トラックバック
・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

受信場として使用していたSeesaaのトラックバック機能終了に伴い、トラックバックの受け付けは終了させていただきました。(今後のTBについて)

★★★邦画・さ行ホラー

 

いいねする
ブログランキング・にほんブログ村へ ブログランキング・にほんブログ村へ
シェアする
フォローする
   
スポンサーリンク
この記事を書いた人
icon

奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

映画感想@見取り八段

comment

タイトルとURLをコピーしました