『ダウト -あるカトリック学校で-』裏付けのない疑惑

ダウト -あるカトリック学校で-
~DOUBT~

  

   

監督: ジョン・パトリック・シャンレイ   
出演: メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ヴィオラ・デイヴィス、アリス・ドラモンド、オードリー・ニーナン、スーザン・ブロンマート、キャリー・プレストン、ジョン・コステロー、ロイド・クレイ・ブラウン、ブリジット・ミーガン・クラーク

公開: 2009年3月

1964年。ニューヨーク下町のカトリック学校。
そこには、学生達が恐れる厳格な校長、シスター・アロイシスがいた。

若干のネタバレ含みます。

物語は光が差す明るい礼拝堂から始まる。

優しくて人好きしそうなフリン神父の行う礼拝。
彼を信頼し、尊敬する礼拝係の生徒。

フリン神父はいう。

疑いを持つ事も絆を作る。

その説法を聞くシスター・アロイシアスの中にフリン神父に対する疑惑が生まれてくるのだった。

執拗にフリン神父に疑惑を向けるシスター・アロイシスと、最初はやんわりと、やがて激しくシスターに抵抗するフリン神父の対決が見事。クライマックスの対峙シーンは、圧巻である。

信仰・厳格・寛容

シスター・アロイシスは、疑惑と厳格の中にいる。
フリン神父は、寛容と進歩を強調する。

疑惑が真実なのかは、観る者に委ねる結末。

そして「何が正しいのか」も観る者に委ねる作品。

真実を暴くことで、全ては解決し、誰もが幸せになれるのか。

疑惑に向かって、ひたすら突き進むシスターは、ハッキリ言ってとっても恐い。

少年の母親に会ってからは、特にそう思う。
この人のしている事は、本当に正しいのか・・・

私には人間が解る。
貴方がウィリアムの手を掴み、彼が引っ込めた。
その時から疑惑は生まれたのです。

貴方には同情できない。
後悔など感じない人間だからです。

確証がない疑惑は、冤罪を作る。
フリン神父が車内痴漢行為の冤罪を掛けられた人みたいに見えて、ちょっと同情する。。。。

しかし、フリン神父が無実だとも言い切れない。
いや、かなり怪しくも見えるのだ。

・・・だから。。。
何だか見終わって、とてもモンモンと考えてしまった。

たぶん、この映画を観た人のほとんどが、シスター・ジェイムズのように戸惑いを感じたんじゃないかなぁ。。。

それでも、シスター・ジェイムズは、泣き崩れるシスター・アロイシアスの手を優しく取る。

人に疑惑を向けた者には、それだけの苦しみが待っている。

シスター・アロイシスの涙は、何を意味するのか・・・

・ダウト ~あるカトリック学校で~ 公式HP

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・象のロケット
★前田有一の超映画批評★

comment

  1. くう より:

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    >フリン神父が紛らわしいことをするから悪いのよ~と思いつつ(苦笑)。
    そして校長が追求しすぎるから悪いのよ~^^;
    >自分の中に人を疑う心があったこと。
    シスター・アロイシスの涙はその驚きと恐怖からだと思います。
    次々と疑いが。。。と言ってましたもんね。
    あんなに追求してしまったのは初めての事だったのかしら。。。
    神父が学校を辞めたものの出世したと言うのも
    自分の間違いを指摘されたようでショックだったんでしょうね。
    神父に「癖」。私もあると思います~^^;

  2. くう より:

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    >劇的な何かが起こるわけではないのに、緊迫感があって、、、
    そうですよね~!
    ただ一つの事件をちまちまと追っているだけなのに、
    すごく緊迫した演出。そして名優対決。
    凄かったですわ^^;
    シスターみたいな人は、実際にいると私も思ったわ~!
    噂話を追求しつくしちゃったり。。。
    白黒はっきりさせないと気が済まないタイプなんでしょうね。
    ああいう人が職場や学校にいると大変なんだよね^^;

  3. くう より:

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    >校長が言っていることは「正しいこと」、神父が言っていることは「最善のこと」。
    そうですね。。。
    校長は頑なすぎ、神父は砕けすぎな気もしました。
    守りたい物が違うって事なのかしら。
    まぁ現代教育から考えれば少年の心こそ大事に
    してもらいたいですね。
    子供を傷つけるのは、いつも大人の思いこみ。
    母親の涙が全てを語っている気がしました。

  4. くう より:

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    >結局どっちもどっち的なところがありますよね。
    そうなんですよね~。
    何の確証もないのに、あんなに疑うのも狂気じみている
    気がするし、神父も神父で絶対怪しげだし^^;
    >エイミーがあまりの名優2人に挟まれる毎日に体調を崩した
    そうなんだ~(◎-◎)
    シスター・ジェイムズも眠れないと言っていましたが、
    中の人エイミーも眠れない夜をすごしていたのね。。。^^;
    すごく解る気がします~。。。

  5. sannkeneko より:

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    フリン神父が紛らわしいことをするから悪いのよ~と思いつつ(苦笑)。
    ただシスターと神父の教会内での立場(上下関係)に、
    シスター・アロイシアスとフリン神父の考え方の違い。
    その下地があるからこその"ダウト"ではないかと。
    自分の中に人を疑う心があったこと。
    シスター・アロイシスの涙はその驚きと恐怖からだと思います。
    とにかくクライマックスのあのやり取りは圧巻でした。
    ・・・でも神父にも"癖"はあると思うんですけどねぇ、少年だけではなく。

  6. 由香 より:

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    こんにちは~♪
    見応えがありましたよね~
    劇的な何かが起こるわけではないのに、緊迫感があって、、、メリルとホフマンのやり取りには手に汗を握りましたよ。
    それにしても、、、メリル演じたシスターみたいな人って実際にいそうじゃありません?怖い怖い・・・

  7. SECRET: 0
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    どんな世の中でも正しいことが最善のことであるとは限らないんですよね。
    必要悪という言葉だってあるくらいなんですから、校長が言っていることは「正しいこと」、神父が言っていることは「最善のこと」。
    そのどちらを選択するかは当事者次第であって、何も決められない者だけが涙を流すような気がしました。

  8. KLY より:

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    結局どっちもどっち的なところがありますよね。神父だって疑いが何も無いとも思えないし。エイミーがあまりの名優2人に挟まれる毎日に体調を崩したと言うんですから、凄まじい現場だったんだろうなー。
    でも彼女にはとんでもなく勉強になったんだろうと思います。(笑)

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