『チェンジリング』理不尽な世界との闘い

チェンジリング ~Changeling~

     

監督: クリント・イーストウッド
出演:  アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、コルム・フィオール、エイミー・ライアン、ジェイソン・バトラー・ハーナー、マイケル・ケリー、ガトリン・グリフィス、デヴォン・コンティ、ジェフリー・ピアソン、エディ・オルダーソン
公開: 2009年2月20日

2009年3月4日 劇場観賞。

自分の子供が解らない母親がいるだろうか。

例え、数ヶ月会わなくても。。。
母親が「自分の子供ではない」と言ったら、そうに決まっているじゃないか。

そんな当たり前の事が受け入れられない世界。

ただ我が子に会いたいだけなのに。
ただ我が子を探して欲しいだけなのに。

たったそれだけの事が、なぜ受け入れられないのか。
あまりの理不尽さに観ている間、何度も目を見開く。

2時間20分の上映時間。
長く感じるどころか、時間がどんどん過ぎて行った。

ワンシーンも見逃してはならないと思った。

辛いけど、切ないけど、悔しいけど。
これが実話だと思うと、余計見なくてはならない気持ちになる。

子供を奪われたシングルマザーをアンジェリーナ・ジョリーが抑えた演技で好演。

クリント・イーストウッド監督の作品は、心にズッシリ響くが、その重みを真実の重みとして受け止めたい。

ラストに、僅かな僅かな希望。

今までの人生で見てきた映画の中でも上位の何本かに入ると言っても決して言い過ぎではない。秀作。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


ジェフリー・ドノヴァンのジョーンズ警部に 頭に血が上るかというほどの怒り。(怒)

全ては、この人と警察の保身と怠慢から始まった。

見知らぬ子供を連れてきて
「あなたの子供です」
って。。。おい・・。

違うって言ってるのに。どうして認めてくれないの?

スクリーンの中のクリスティンと一緒に心の中で何度も叫んだ。

警察にも頭に来たけどね。。。
あの身代わりの子供は何なの~

警察に言わされた、っていうのは解るけど、最期まで何かアッケラカンとした態度がしゃくに障る。(怒)(迎えに来たあの母親も「お騒がせしました~」で終わりかい…)

こんな理不尽な世界でも、助けになってくれた人たちの存在に少しは救われる。

どんな世界でも正しい行いが出来る人たちの存在が、ストーリーの中の光になっている。

理不尽な権力の世界も切なく重かったが、20人の子供殺害のゴードン・ノースコット事件もまた、心凍らせる物だった。

この事件のおかげで、結局は警察がクリスティンの言い分を正しいと認めざるを得なくなるのだから皮肉な物である。

ジョーンズ警部は、最初、この事件の事さえ調査せずに葬ろうとしていたんだから。。。
本当に正義の欠片も持ち合わせていなかったんだよね。

そんな腐った警察の中でも、真実を求めようと動いた人がいた。

どんな世界でも、光はある。

ラストのクリスティンの

「HOPE(希望)」

のひと言に。。。

観ている者は誰でも、一筋の希望の光を感じただろう。

個人的には、ゴードン・ノースコットの手伝いをさせられていた、あの少年のその後が、 とても気になる。。。

今の時代だったら、強制的にやらされていたという事で情状酌量の余地もあるだろうけど。
年齢的にも、罪にはならないし。

でも。。。あの時代では。。。どうだっただろう。
あの子にも、希望のある未来がありますように。。。

追記・・・彼は許されて、きちんとした生涯を送れたらしい。
参考 ゴードン・ノースコット事件 by wikipedia
ちょっと救われたわ・・・

 

 

 


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★前田有一の超映画批評★

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comment

  1. くう より:

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    >作品がアカデミーのノミネートに
    挙がらなかったのは疑問でしたが、それ以上に
    他が優れていたのかしら?(スラムドッグが益々気になります)
    私も思いましたよ~!
    少なくとも私の中では「ベンジャミン」よりも上でした。
    (いや「ベンジャミン」も素晴らしかったですが、それ以上に)
    「スラムドッグ」はそう言う意味で、本当に楽しみ♪
    ちょ~ハードル上がっちゃいますよね~。
    >こういった良質な映画こそ
    映画館に行った甲斐がありますね~。
    そうなんですよね。。。
    昨年は邦画ばかり行っていたんで、久々に「ハリウッド~」
    って感じの映画を見ちゃいましたよ。
    年の前半から、こんなに良い映画を次々と見ちゃって、
    今年の後半は大丈夫なんだろうか~。。。[絵文字:e-263]
    >くうさんのこの後の映画観賞は何かな?
    とりあえず「ジェネラル」見てきました~(^▽^
    もちろん、堺さま目当て[絵文字:e-266]

  2. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >まさに圧巻の1作でしたね♪
    >アンジーの演技もさることながら、イーストウッド監督の演出も冴えていたと思います。
    本当に。。。セット・効果と言い背景と言い、全てが素晴らしい作品でした。
    >そして、ラストに残る僅かな希望・・・
    >その後のテロップはちょっと悲しくなりましたが、
    それでも、とても見応えのある作品でした。
    そうですね。。。ラストの希望の後のテロップは、悲しかったです。
    でも、実話ですから、それが現実だったんですよね[絵文字:e-263]
    この女性のその後の人生を考えると切ないですね。

  3. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >本当なら、母親が「あらっ、この子は違うわ。」と言ったら、それで終わりになりそうなものなのに、あり得ない理不尽さに、本当に腹が立ちましたね。
    そう。それだけの話のはずなんですよね。
    警察のプライドに利用されたこの親子は悲劇でした。
    >警察にもですが、犯人にも。そして、あの子供にも。
    wikiを見ましたら、あの子は養母と上手く行かなくて
    家出した子だったみたいですね~。
    あの迎えに来たアッケラカンとした女性は、継母だったのね。。。^^;
    >ただ、犯罪の手助けをさせられていた子供がその後ちゃんと生きていけたことに救いがありました。(wikiの記事を読まさせていただきました。)
    私も見ました(追記しました)
    本当に救われた気持ちになれる記事でしたわ。

  4. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >私もジョーンズ警部に怒り心頭でした!
    あの人、絶対に子供がいませんよね。
    結婚もしているかどうか。
    していたとしても男尊女卑っぽい。
    レディファーストの国のように思えるアメリカにも
    あんな時代があったんですね~。。。
    完全に女性の立場は低かったんですね。
    >それにしても自分がああいう立場になったら、権力に立ち向かっていけるかどうか分かりません~。
    あんな大きな国家権力に立ち向かうのは難しいです。
    。。。でも、自分の子供じゃない子を育てて行く人生なんてヤダ。
    泣き寝入りした人も多い時代だったんでしょうね。

  5. くう より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~。
    とんでもなく遅レスですいません~[絵文字:e-263]
    >また、ジェフリー・ドノバンもある意味好演、名演です。
    今までパッとしなかったようですが、
    これで見方が変わるかもしれません。
    ですよね!
    憎たらしい役を憎たらしくやるのも演技力の賜物だと思います。
    本当~に憎らしかったですもんね^^;
    これからの活躍にも注目です。

  6. ルル より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >完成度の高い秀作だ。
    ホント!おっしゃる通りです。
    作品がアカデミーのノミネートに
    挙がらなかったのは疑問でしたが、それ以上に
    他が優れていたのかしら?(スラムドッグが益々気になります)
    しかし、実話を巧みに纏め上げた
    監督の手腕はお見事でした。
    こういった良質な映画こそ
    映画館に行った甲斐がありますね~。
    くうさんのこの後の映画観賞は何かな?
    予定を知らない分、こちらに来た時
    ワクワクしちゃいます(^_^)♪

  7. BROOK より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    まさに圧巻の1作でしたね♪
    アンジーの演技もさることながら、イーストウッド監督の演出も冴えていたと思います。
    そして、ラストに残る僅かな希望・・・
    その後のテロップはちょっと悲しくなりましたが、
    それでも、とても見応えのある作品でした。

  8. kiriy より:

    SECRET: 0
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    TBありがとうございます。
    本当なら、母親が「あらっ、この子は違うわ。」と言ったら、それで終わりになりそうなものなのに、あり得ない理不尽さに、本当に腹が立ちましたね。
    警察にもですが、犯人にも。そして、あの子供にも。あの子供がその後どうなったのかは分からないことですが、あまり良い想像はできませんね。ただ、犯罪の手助けをさせられていた子供がその後ちゃんと生きていけたことに救いがありました。(wikiの記事を読まさせていただきました。)

  9. ミチ より:

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    私もジョーンズ警部に怒り心頭でした!
    あの人、絶対に子供がいませんよね。
    結婚もしているかどうか。
    していたとしても男尊女卑っぽい。
    子供がいなくなったから(他の)子供をあてがっておこうという安易な押し付けがムカついてたまりませんでした。
    それにしても自分がああいう立場になったら、権力に立ち向かっていけるかどうか分かりません~。

  10. KGR より:

    SECRET: 0
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    アンジーの熱演が光りました。
    監督の力量がうかがわれます。
    また、ジェフリー・ドノバンもある意味好演、名演です。
    今までパッとしなかったようですが、
    これで見方が変わるかもしれません。

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