『クリーピー 偽りの隣人』ご近所付き合い

クリーピー 偽りの隣人

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監督: 黒沢清
キャスト: 西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之、藤野涼子、戸田昌宏、馬場徹、最所美咲、池田道枝、佐藤直子、笹野高史


公開: 2016年6月18日  観賞: 2016年6月12日(試写会)

 

オンライン試写の後、劇場試写会で観賞。

サスペンスに分類されているようだけれども、立派なサイコホラーだと思う…。
つまり、ホラーに耐性のない方にはお薦めしない。

まさに、その意味通り『クリーピー』(気味悪い)

西島さん…いつまでも真実追っているからこんな事に……(泣)

◆あらすじ
刑事から犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前の同僚野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。だが、たった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。(シネマトゥデイより引用)

わざわざ「偽りの隣人」というサブタイを付けているのはどういうことだろう…。

で、あの予告を見せるのだから初めからネタバレがうんぬんとか、あまり考える必要はないのかも。

香川さん演じるアレはアレで、藤野涼子さんはアレで、ニシジはアアなるんだよぉぉ…と、ある程度知ってしまっても充分に雰囲気や映像で楽しめる(あるいは気持ち悪がれる)事は確か。だって、ホラーだから。

西島さん的には「菊田の想いがやっと叶った結婚生活」というインタビューを読んだが(「ストロベリーナイト」)、その絡み以外にも、香川さんと西島さんは『ダブルフェイス』『MOZU』『流星ワゴン』と、コンビのような主要キャストとしての共演が多過ぎ、竹内さんはつい最近『残穢』「家」にまつわるホラーを観たばかりで、とにかく…キャスト的に色々混ざる

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まぁ、好きな人たちだからいいんですけどね…何か狙ってわざとこういうキャストにしたのだろうかと勘繰りたくなるくらい被ってるよね(笑)

しかし、そういうキャスト被りを吹っ飛ばすくらい気持ち悪いので安心して…というよりも、注意して。

ご飯は観賞前に済ませてね。 想定以上に恐くてグロい。

とにかく、西野がもう不気味で不気味で…香川さん史上一番気持ち悪い役かも。
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「ソロモンの偽証」後、初めての出演作か藤野涼子ちゃん。やっぱりいいわ。この子、上手い。
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東出@野上がボーっとして生きている人じゃないみたいに見えたんだけれど、それもこの作品だとただただ不気味。
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隣のご主人の顔も解らないものかね…という向きもあるかも知れないが、出入りの激しい集合住宅だと割と当たり前のアルアルである。

一戸建てでも、アメリカの田舎町じゃあるまいし隣りの家の壁がすぐ横にあるような日本の住宅で…という見方も近年だともう変わって来ているかも。

「変な人」は多いし、みんな「個人」が大事だし町内会なんて面倒くさい。
人間関係が希薄になって来ている昨今だからこそ、意外とリアルなストーリーなのかも知れない。

つまり、犯罪や「危険」は、社会のそういう隙を狙って潜り込んで来るのである。たぶん。

この映画を見たら、「隣の人を警戒しよう」と思うのではなくて「隣をもっと知ろう」と思わなければならないのかもね。

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もっとも、作品的には、そんな説教くさい物語ではありません。。

日常の隙間に入り込んでくる黒い煙のような闇がいつの間にか自分を包んでいる…そんなドロっとした気持ち悪さを体感する。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

東出@野上も、笹野さんもさ…どうしてそんなにシャカシャカ家の中に入って行っちゃうかな笹野さんなんて特に、野上を殺した相手がいる家に入って行くと解っているはずなのに。

どうやっていうこと聞かせているのかと思ったら、ああ、薬漬けね…なるほど。
「私とご主人とどちらが魅力的ですか?」というけれども、魅力的なのは「私」じゃなくて薬じゃ…。。

そして、子どもには殺人と遺体処理をさせることで罪悪感を持たせ、縛り付ける。

もっとも、澪には罪悪感があるかどうかよく解らなかった。
まぁ、おかしくもなるよね…あんな生活を続けていたら。

「ざまあみろ!!」と言って、1人何処かへ去って行ったけれども、あの子はこれからどうするんだろう。西野と同じ種をまく子にならなければいいけれど。

そしてたぶん、たった1人の生き残り早紀さんもそうなんでしょう…。消えた記憶なのか本当は覚えているのかよく解らないが、澪と同じことをやっていたんでしょう。両親と隣人の遺体が出てきたあの家で。
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その事に、観た翌日、ふいに気付いてゾッとした。
記憶を呼び戻してまで気持ち悪さを提供してくれる映画だ。。

・『クリーピー 偽りの隣人』公式サイト

 

 

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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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★★★★邦画・か行日本映画

 

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奈可久う子(くう)

◆ドラマ・映画 エンタメ系ライター&ブロガー。◆ハウツーサイトやリクルート・キュレーションサイトなどで映画紹介のライターしておりました。(お仕事はいつでも有り難くお受けします)

◆映画の評点はあくまでも私感です。(平均が2.5で1と5は滅多に付けていません)

◆戦争とホロコーストテーマの作品観賞がライフワーク。

◆レビューは上半部はネタバレなし感想、下部は観了した方と感想を共有できるように書いています。(古い記事は簡単感想です。時間のある時にリライトしています)

◆姉妹ブログ「ドラマ@見とり八段」

映画感想@見取り八段

comment

  1. nakakuko より:

    seymourgwさん
    死に顔が笑っていたじゃないですか~~。
    あれって自分が死んでもきっと育てた娘たちがまた種を蒔くのかな、なんて…
    恐いですね!
    リンクありがとうございました!

  2. seymourgw より:

    >その事に、観た翌日、ふいに気付いてゾッとした。
    こちらのブログの上記部分を拝見して、自分も驚愕しました…だとしたらひどすぎる話ですよね。
    すみませんが勝手に自分のブログにリンクさせて頂きました。
    http://seymourgw.hatenablog.com/entry/creepy

  3. nakakuko より:

    BROOKさん
    >早紀を生かしておいた理由が気になるところですが…。
    「趣向」のようなものなんですかね~。
    サイコパスの考えている事なので理解できませんね^^;
    私も、あんな隣人、絶対に近寄りません。
    シチューとか余っても持って行きたくないし!

  4. BROOK より:

    >その事に、観た翌日、ふいに気付いてゾッとした。
    だから、あまり話したがらなかったんですね…。
    早紀を生かしておいた理由が気になるところですが…。
    いろいろとツッコミどころ満載ですが、最後まで面白かったのはやはり香川さんの演技力でしょうか♪
    あんな隣人、怖過ぎです^^;

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