『複製された男』道は開かれる

複製された男 ~ ENEMY ~

    

監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ   
キャスト: ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ、ジョシュ・ピース、ティム・ポスト、ケダー・ブラウン、ダリル・ディン、ミシャ・ハイステッド、メーガン・メイン、アレクシス・ウイガ
公開: 2014年7月18日

2015年1月18日。DVD観賞

これは一体どういう事なのだろう。

現状への不満、鬱々とした画面、本物なのか偽物なのか、ドッペルゲンガー、邦題通り『複製』、それとも『ふたりのロッテ』状態、それとも………。

…と、ポーーーっと見続けて、ラストで「はぁぁ!?」「えっっ……?」とぼーーぜんとする……。

<あらすじ>
何も刺激のない日々に空虚なものを感じている、大学で歴史を教えているアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)。ある日、何げなく映画のDVDを観ていた彼は、劇中に出てくる俳優が自分自身とうり二つであることに驚く。彼がアンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)という名だと知ったアダムは、さまざまな手を尽くして彼との面会を果たす。顔の作りのみならず、ひげの生やし方や胸にある傷痕までもが同じであることに戦慄(せんりつ)する。(シネマトゥデイより)

原題は「ENEMY」、「敵」である。

思わせぶりなアダムの講義の内容とかさ…灰色の街の風景とか…街の空に浮かぶ……ん?あれ、なに?…な物とか…。

ストーリーの中にヒントがたくさん隠されている…ように見える。

まぁ普通は、ある日突然自分と瓜二つの人間が現れたとなったら「ふたりのロッテ」を連想するよね。隠された兄弟だよね。

けれども、この人は即時に「自分自身がもう1人居る」…と思いこむ。

この辺のリアリティの無さも、相手に会いたいと願ってしまうところも、妻の不安定さも、何だか脚本がアラだらけのように見えてしまって仕方ない。

また、邦題も…何だよね…うん。そう思ってしまうよね。

けれども、結果、この脚本のぎこちなさも含めての結末なのだった。

どんな風に読み取るかは、その人次第だし、この映画をどう解釈するかによって性格診断とかも作れそう。

ストーリーが面白かったかどうかと言えば、ただ得体のしれない不安感を抱えながらボーーッと成り行きを見守ったにすぎず…。

一番面白かったのはラストシーンに愕然とした後で公式のネタバレレビューを読んで

わぁぁぁ!なるほど~~~!!

と叫んだ時だった。
つまり一番面白かったのは公式答え合わせ。

(答え合わせレビューは絶対に本編を見終ってから読んだ方がいいです)

そんな見方でいいのか…いいんです。

ネタバレを読んだら、もう一回初めから見直したい気持ちになったわ。
そんな映画。

 


以下ネタバレ感想

 

「カオスとは未解読の秩序である」

繰り返される支配への恐怖を解く講義。

「俺の妻と寝たのか」とか言い出して他人の彼女を寝取るような狂った男の末路はどうでもいいが、彼女の方は可哀想じゃんね…。奥さんは気づいているのに、こっちの男でいいのだろうか。俳優業をほとんどやっていないみたいだけれども、この家はどうやって食っているのか。もしかしたら、夢オチなのか。

色々と考えた。考えても解決しそうにない気がして、ただ成り行きを見守った。

途中、灰色の街の空に浮かぶ白いタコのような物を見た時は、SFSFなのと、思ったよ。

ラストシーンの蜘蛛に対するボーーーゼンさは『宇宙人王〈ワン〉さんとの遭遇』のラストを味わった感覚とちょっと似ている。「不条理」ってやつ。

もう1人の男と入れ替わったせいで、お腹の膨らんだクモに食われてしまうのか。これは結局、SFではなくて深層心理の問題なのか…。

で、公式に監督の袋とじネタバレレビューというのがあると解ったので読んでみた。
『公式 ネタバレレビュー』

一定期間が過ぎたら消えてしまうページだと思うので、一応ここにも書いておきますが…。

「浮気をしている既婚男性が、浮気相手から妊娠している妻の元に戻るまでを潜在意識の視点から描いた作品」

……なんだそうですわ、奥さま。

つまり…最終的には愛人よりも蜘蛛…じゃなかった、妻が勝つというお話なのですね。

「敵」とは自分自身、「支配」とは家庭か…。

家族って結婚って、何だか可哀想。

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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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