映画@見取り八段

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『縞模様のパジャマの少年』ブラックアウトのラスト

縞模様のパジャマの少年~ THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS ~

   

監督: マーク・ハーマン   
出演: デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ、リチャード・ジョンソン、シーラ・ハンコック、ルパート・フレンド、デイヴィッド・ヘイマン、エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン
公開: 2009年8月8日


2012年1月12日。DVD観賞。


初見は2012年だったらしい…その後もCSで何度か放映されて何度も見ている。
どうして見ちゃうのか自分でも解らない。何度見ても味わう辛すぎる重さ。

今さら思い出し書き。(この記事は2014年3月に書いています)

ホロコーストものでは珍しいナチスドイツ側から描いた作品である。
…と言っても主人公は少年だ。対するユダヤ人も少年。
子どもは無邪気だ。今、何が自分の身に起きているのか周りがどうなっているのか、あまり理解していない。

少年が着ている縞模様の服はもちろんパジャマではない。ブカブカの薄い灰色の縞模様の服。主人公にはそれがパジャマに見える。

物語は元気いっぱいにベルリンの町を駆ける少年・ブルーノの描写から始まる。
この映画では空がとても高い。8歳の子ども目線のホロコースト。

第二次世界大戦時、ブルーノの家はベルリンにあったが、ナチス将校である父の昇進に伴って遠い田舎に引っ越すことになる。昇進なのに田舎暮らし。父は、ある施設の管理者になったのだ。

それは、ユダヤ人収容所。

しかし、父はブルーノにそこを「農場」だと説明する。
近付いてはならないと言われるが、退屈で友達もいない環境に飽きてきたブルーノはある日「農場」へ行ってみた。そして、有刺鉄線越しに縞模様のパジャマを着た少年・シュムエルと出会う。


原作は児童文学らしい。けれども、映画はPG-12指定。

ベルリンを離れるとき、ブルーノは祖父から「冒険だ」と言われる。
郊外への引っ越しは冒険よりも退屈であり、冒険してみた結果、友達と出会った。
有刺鉄線に阻まれた友情。そんな環境で無邪気に出来る遊びをする2人の笑顔が可愛い。
  

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実話ベースではないし、ブルーノの家族は基本「いい人」である。
母親はユダヤ人にも「ありがとう」と言える人。
父親は良い人として描写されてはいないが、家族に自分の仕事を隠しているという事は将校なのに罪悪感を持っているという事になる。
姉は学校教育によってユダヤ人は「悪」だと教えられる。ありがちな洗脳。

子どもたちには国も人種もない。彼らはただ「友達」だっただけ。

大人たちがブルーノを思ってしたことが、結果的にあのラストを呼び込むことになる。


声も出ない衝撃…ブラックアウトしていくラストとともに、沈み込む…。
ストーリーは当時のナチスの家族としてはあり得ないと思えるほどファンタジーなのに。

これが差別が起こす悲劇。

 

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恐らく、当時の軍人ならば家族にも徹底してユダヤ人は「害」だと教えているだろうし、あんな善良な妻もなかなかいないだろう。

妻は優しく傷つきやすい性質で、夫は家族を愛していた。

収容所にもコーヒーハウスがある。みんな楽しく笑っていて音楽が鳴り響きダンスを踊っている。

今から考えればそんな誤魔化しはせず、ブルーノにもユダヤ人は害だと教育しておけば良かったのに…と、つい思ってしまう。将校としてそこは甘かった。

この父も母と同様にユダヤ人は「人間」だと思っているのである。もちろん将校なのでやる事は酷いし甘い顔はしない。
けれども、後ろめたさがある。だからこそ変な嘘をつく。

優しい母が衝撃を受けた収容所の煙突から見える黒い煙の話…。

夫を理解しようとせず家から出て行こうとした母の行為がブルーノを収容所に走らせた。

収容所の中に音楽は無かった。
みんなが「縞模様のパジャマ」を着ていた。

それでも、ブルーノはここで何が行われているのか解らない。

人の波に押されて行列に並び…辿り着いた先は「シャワー室」。


ブラックアウトのラストの後…この家族はどうなっただろう。
父は、自分の仕事をどう後悔しただろう。

何度見ても一番考えるのは父の気持ち。
自分自身がしてきた事が自分に返ってくるという皮肉。


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