映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『命をつなぐバイオリン』魂で聞く音楽

命をつなぐバイオリン~ WUNDERKINDER ~

   

監督: マルクス・O・ローゼンミュラー   
出演: エリン・コレフ、イーモゲン・ブレル、マティルダ・アダミック、カイ・ヴィージンガー、カテリーナ・フレミング、グドルン・ランドグレー、ベコンスタンティン・ヴェッカー、ジョン・フリードマン、ギデオン・ブルクハルト、ナターリア・アヴェロン、マーク・ツァック、ダクマー・ザクセ、ミヒァエル・メンドゥル、ミヒャエル・ブランドナー、ロルフ・カニース、コルネリア・ザボロフスキー
公開: 2013年2月9日


2014年1月6日。DVD観賞。

1941年。ソ連統治下のウクライナ。この年の6月、ヒトラーは独ソ不可侵条約を破ってソ連へ侵攻。以降4年間に渡って独ソ戦がこの地を中心に行われることになる。

ウクライナで生まれ育ち、音楽を愛した少年少女の物語。

アブラーシャはバイオリン、ラリッサはピアノの才能に長けていた。「神童」と言われ、各地で公演会に呼ばれ、貧しくとも両親の期待を一身に受けて育った。

彼らはウクライナを「祖国」と呼び、アブラーシャの父は「祖国」のために戦争に行った。ラリッサの父は「祖国」のために医師として尽くした。

しかし、そこは彼らの「祖国」ではなかったのだ。なぜなら彼らはユダヤ人だったから。

父の仕事でウクライナに暮らすドイツ人の少女・ハンナは神童である彼らに憧れ、彼らと共にレッスンするようになり、3人は音楽を通して友情を育んでいった。

戦争がなければ、差別が無ければ、彼らの友情はずっと続いていたはず。
彼らの才能は世界に知れ渡り、アメリカだけではなく何処へでも音楽と共に飛んで行けたはず。
カーネギー・ホールでリサイタルするはずだった日、彼らはナチスの手から逃げていた。
あるはずだった未来が無くなった。

どうして戦争をするのか。

「大人が馬鹿なせいさ」
と、アブラーシャは言う。

子どもたちは、どんな血が流れていても何処の国の人間でも垣根なく友達になる。
大人たちは垣根を作ろう作ろうとする。

条約が破られれば敵国の人間を民間人まで排除しようとする。
人種が違えば何処の国籍の人間だろうが排除しようとする。
人間は仲間外れが大好き。
いつも何かを外していないと安心できない。
その究極の悪事がホロコーストだ。


アブラーシャを演じるエリン・コレフくんは12歳でカーネギーホールデビューしたという本物の天才バイオリストで劇中の演奏は本当に彼自身が弾いているらしい。

音楽の素晴らしい作品ではあるけれども、彼らの素晴らしい演奏シーンのほとんどが大人に利用された演奏会である事が悲しい。

ラストの演奏会は…本当に祈る思いで見た。
彼らが大好きだった音楽を存分に楽しめる時代に生まれ変わらせてあげたい。

    命をつなぐバイオリン.png



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ハンナの一家は、ドイツが独ソ不可侵条約を破った時に命の危機に遭い、ユダヤ人たちに助けられた。
人種を超えた友情は戦争によって砕かれた。

音楽は世界を繋ぐ。音楽は平和を作る。人を癒す。
そういう物のはずなのに。

国力を高めるための見世物。
敵を喜ばせるための出し物。

そして…命を賭けたゲーム。

祈るように見た最後のコンサート。
音楽なんて頭に入ってこなかった。

ラリッサは卑劣な脅しとプレッシャーに負けた。

3人の初めての舞台は永遠にトラウマになった。

音楽を止めてしまったアブラーシャ。
それでも彼らは生き延びた。

大人になったら結婚すると思ってた。
湖の魚だけが、そんな約束を知っている。

子どもの夢が叶わない時代。音楽にさえ夢がない時代。
そんな時代が再び来ないように祈るための映画。


「命をつなぐバイオリン」公式サイト

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