『アンナ・カレーニナ』結婚は両手が自由な束縛、不倫はがんじがらめの束縛

アンナ・カレーニナ~ ANNA KARENINA ~

   

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監督: ジョー・ライト   
出演: キーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ、アーロン・テイラー=ジョンソン、ケリー・マクドナルド、マシュー・マクファディン、ドーナル・グリーソン、ルース・ウィルソン、アリシア・ヴィキャンデル、オリヴィア・ウィリアムズ、エミリー・ワトソン、カーラ・デルヴィーニュ
公開: 2013年3月29日

2013年3月29日。劇場観賞。

第85回アカデミー賞 衣装デザイン賞受賞

ロシアの文豪トルストイのあまりにも有名な小説を原作とした作品。

アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞した豪華なドレスや調度の数々、美しい舞踏会の風景、綺麗な役者さんたち…を視覚的に楽しむ映画だと思った。
   

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舞台風な変わった演出なので、見る方によって好き嫌いが出ると思う。
今までにも何度か書いてきたけれども当方はミュージカルが苦手なので、役場の一斉ハンコ押しリズムを聞いた時は「えっ、これミュージカルだったのか?」と一瞬引いたけれどもミュージカルではありません。

ただ情緒的に物語にのめり込める普通の映画とは違って、先ほども書いたけれども舞台っぽい演出になっている。実際に幕が変わるように演出されたシーンが何度も出てきます。

ストーリーは原作を知っている方と知らない方では解釈が変わりそう。
あの長さを2時間だから…こんなものだろうと思うけれども、あまり主役のアンナ・カレーニナには同情できない作りになっている。
だって、ダンナさんのアレクセイ・カレーニンがとってもとっても良い人で、結婚生活に何の不満も出ないだろ…と思われるから。
おまけに、ジュードだし~。何が不満なんだアンナよ、と、私は思ったよ。
   

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これだと、ただ金持ち美女とイケメンが出会ってしまって自分勝手に不倫の道に走り自業自得で…って感じ以外には見えないかな…。(まぁ…原作も身も蓋もなく言ってしまえばそういう事かな… )

リョーヴィンの描き方が薄いので、その生き方との対比もあまり見えないかも知れない。

しかし、原作を全く知らずに見ても、それはそれで奥様不倫記として面白い…かも。

個人的には、リーヴィンとキティの「あのシーン」はかなり好きだ。
原作とは違って文字積み木のような物で語るので、その指使いまで楽しめる。ここはとても甘くて微笑ましいシーン。

あと、オブロンスキー兄さんがなかなか憎めない可愛いキャラだった。

舞台的演出だからのめり込めないかも知れないような事を書いてしまったけれども、私はかなりストーリー的にも楽しんだ。

アンナとヴロンスキーが踊るのを見つめるキティのシーンなど、なかなかスリリングな演出になっていて見ていてハラハラしたし、追い詰められていくアンナの様子も痛々しかった。

アンナの結末も衝撃的映像…。

結婚という幸せを得る事って忍耐なんだな…。
原作でもそう思ったけど、そう考えると何だか虚しい。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


ネタバレと言ってもあまり書くことがない…。原作もたぶん読む人によって受け取り方が違うし。
身も蓋もなくあらすじを説明すると…

金持ち美人の奥様アンナ・カレーニナが、兄の浮気を諌めに行ったのに自分自身が年下の美青年にハマって不倫の道に走ったあげく子供が出来たけれどもダンナとの間に出来た愛息も捨てられずに未練たっぷりで離婚もできず、寛容すぎるダンナがアンナの不倫を公認するものの自分自身が愛人の愛情に疑心暗鬼になりはじめ、列車に飛び込んで自殺しちゃう…。

…という、ダンナだってジュードなのにジュードなのに何が不満なんだダンナをもっと大事にしなさいっ。と叫びたくなるようなストーリーだった。

上にも書いたけれども、原作ではダンナは世間体だけが大事でアンナに対しては愛情はあるけれども社交界の美しい華として大事にしている…という部分が大きいので、アンナにも同情される余地があるのだ。

この映画のアンナはその点ダメだな。

だから何て馬鹿な女なんだとは思うけれども、そういうアンナが痛々しい。

だって、人は好きになっちゃったら止められないもんね。
不倫を推奨するわけではないけれども、仕方ない思いに駆られて突っ走り、何もかも…自信さえ失くして死んでしまうアンナの気持ちは女として解らなくもなかった。

馬鹿だなダメだな、とは思うけれども、仕方ない子だ、とも思う。

アンナが全く愛情を与えなかった愛人の子どもを自分の子供と一緒に育てているアレクセイ。
あの優しげなラストには救われた。

やっぱり…この映画はアレクセイが素晴らしい。

・「アンナ・カレーニナ」公式サイト

 

 

 

 

 

 


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